VOCA展2020 現代美術の展望
美術展・博物展が軒並み臨時休館の上野界隈ですが、上野の森美術館の「VOCA展2020」は、関連企画こそ中止ですが開催中です。こんな状況ですが、開催することに敬意を表して昨年に引き続いての鑑賞です。
VOCA展は、全国の美術館学芸員、ジャーナリスト、研究者などに40才以下の若手作家の推薦を依頼し、その作家が平面作品の新作を出品するという方式により、全国各地から未知の優れた才能を紹介します。
客はそれなりに入っています。若い人が多いように思いますが、アーティストやその卵の雰囲気が感じられます。そして同時代の傾向が気になっているような印象を受けます。
作品は、こんなのもありなんだと思わされますが、決して悪い意味でなく、硬い頭に刺激を受けるということです。そして作品に付けられている小解説に、理解力の不足を痛感させられます。通して得られたキーワードはミメーシスとレイヤー。云えば模倣と層ですが、それで意を尽くせない深い意味が含有されているでしょう。
2枚目の写真は、VOCA賞「Nerhol:Remove」。連続写真を重ねて、部分的に掘ることで動きと時間を層化していると云えるでしょうか。興味深い作品です。
3枚目は写真は、大原美術館賞「浅野友里子:くちあけ」。くちあけとは採取の解禁を意味するそうですが、東北や韓国の奥まった地域で食されるトチの実やドングリの救荒作物として受け継がれ、国境で分断されない遺伝子に刻み込まれた生命の繋がりを表すとの解説ですが、そこまでは理解が進みません。
4枚目は特に賞を得たわけではありませんが、私の直感にヒットした作品、「三瓶玲奈:Lamdscape」。一目見て想起したのがかつてのFM放送「ジェットストリーム」、夜の静寂の何と饒舌なことでしょうとのナレーションが思い浮かびました。
協賛は第一生命、それが無くては成り立たないでしょう。直接何かできるわけではありませんが、記憶にとどめておかないと。 (2020年3月15日記録)
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