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2016年9月16日 (金)

雑感:文楽9月公演「一谷嫩軍記・三段目」を見て

 昨日(2016年9月15日)の文楽、「一谷嫩軍記・三段目」の脇ヶ浜宝引の段は、「行く空の、月もさやけき夜の道、御影の里を立ち出でて、四方の景色もすみのぼる、高根に響く、布引の、滝の白糸湊川、流れもとう(りっしん偏に刀)利天上寺、麻耶のお山を右手に見て、気も磯伝い須磨の浦、一谷にぞ、着きにける」と始まります。

 年に数回しか見ない初心者に語りを理解するのは困難です。でも引用した部分は固有名詞が多いし、他にも、鉄拐山、鵯越などの地名が出てきます。

 一昔以上前の事ですが、六甲山系を良く歩いたので各々の場所は判ります。その頃、源平古戦場とは知るものの、物語りの大筋までは知りませんでした。今なら各々の場所をもう少し味わえたでしょう。土地の記憶、史実と物語を混ぜ合わせて、かけがえのない財産と気付くには時間がかかりまそた。そして、知れば知るほどに楽しめることが大きくなります。物事はスパイラル状にしか理解が進まないのでしょうか。一点集中もありそうですが、私は気が多いので今のまま進みます。

 ところで文楽、3月に引退した人形遣いの吉田文雀は先日亡くなり、豊竹嶋大夫が昨年末に引退、昨年春に竹本住大夫が引退と、人間国宝が減って随分と寂しくなりました。桐竹勘十郎が3代目を襲名したのは一昔以上前ですが、年の近い吉田玉男が二代目を襲名したのは昨春、襲名披露は「一谷嫩軍記・熊谷陣屋の段」でした。理不尽な所のある物語ですけれど、涙を滲ませながらもあまりの格好良さに、見えない筈の人形遣い、二代目玉男に惚れました。新旧交代期なのでしょう。

 今回の熊谷次郎直実は桐竹勘十郎が遣いましたが、これまた格好良い。二人はこれからの文楽人形遣いの中心になって切磋琢磨していくことでしょう。太夫で特に口跡鮮やかと感じたのは豊竹呂勢太夫、調べると芸歴40年近いですけれど、まだ新なのでしょう。三味線は以前から鶴澤燕三が好きです。芸が判る訳でもないので、雰囲気などに影響されている所は多分にあります。伝統芸能は厳しい世界で簡単に発展などできないでしょう。少なくとも現在よりは後退しないように、行政・文化団体・メセナなどが支援をして欲しいものです。私も今より出かけるようにします。

 昨日は、国立劇場50周年を祝う「寿式三番叟」が、三段目に先立って上演されました。

 写真は古いものですけれど、三段目に出てくる場所のいくつかです。最初は須磨浦公園から尾根道に上る途中で東を向いて海岸線、御影はどの辺りでしょうか。2番目は尾根道から一の谷への分岐、下ったことは無いのですが須磨寺に行くでしょう。3番目は鉄拐山、4・5番目は鵯越駅と周辺の案内図、6番目は麻耶山頂のとう利天上寺です。来年4月は、国立文楽劇場に出かけると思いますが、その後で、久しぶりに六甲山を歩いてみようかなどと思いました。
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   (2016年9月16日記録)

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