« 2015年11月 | トップページ | 2016年7月 »

2016年6月

2016年6月19日 (日)

音楽:宮前フィル第40回定期演奏会

  指揮 河地良智001

  演奏 宮前フィルハーモニー交響楽団

  曲目 ベドルジハ・スメタナ:連作交響詩「わが祖国」
     ユリウス・フチーク :剣闘士の入場(アンコール)

  会場 多摩市民会館大ホール
  公演 2016年6月12日14:00~16:00(休憩15分)

 スメタナの連作交響詩「わが祖国」は6曲で構成される。単独で演奏される機会の多い「ヴァルタヴァ(モルダウ)」は通俗名曲の類と言える。ただし全曲通しで演奏される機会はそう多くないように思う。

 チェコの「プラハの春音楽祭」は、スメタナの命日の5月12日に幕を開ける。毎年、冒頭に演奏される曲が「わが祖国」。チェコの人たちにどれだけ愛されているかは想像できる。特に1990年、ラファエルクーベリックが42年ぶりに祖国の土を踏み、チェコ・フィルを指揮した「わが祖国」の演奏は名演の評判が高く、ライヴ録音のCDで聴くことができる。重い歴史も秘めているようだ。

 私は何十年か前に一度聴いたことがある。指揮者もオーケストラも既に定かでないが、海外オーケストラだった。雑誌で読んだ関連記事に、選曲の理由として「ハーピストを帯同したかったから」との指揮者の言葉が記録されていたような。印象的な動機(B♭-E♭-D-B♭)を2台のハープが奏でて曲は始まる。ただし、第1曲「ヴィシェフラド(高い城)」は2台、第2曲「ヴァルタヴァ」は1台が演奏して、以降の出番がない。

 宮前フィルはアマチュア・オーケストラである。若い友人がトロンボーンで参加している縁で聴きに出かけた。2回目だ。自称後期初心者の私、年に数十回の演奏会に出かける。大半がオーケストラ、もちろんプロである。アマは宮前フィル以外を聴いたことがない。ゆえに演奏も、そこに至る過程も、各奏者のモチベーションも、何もかもに興味を抱いている。

 編成は基本的に10型、ただし一部に変則的なところがある。トロンボーンは全曲3本の指定だが、ステージ上には5人、1人はバストロンボーンだが。概ね総奏では全員が、それ以外は3本で奏でていたようだった。
 人違いかも知れないが、第1ヴァイオリンの最後方に、前回(一昨年)のコンマスだった方が座っていたような。
それが正しければどのような意図があるのだろうか。
 最近は年2回の定期演奏会のようだが、貴重な機会を全員で楽しむのはアマの特権、楽しむことが最優先で良いように思う。聴く方だって楽しめるし、次第に思い入れも強くなると言うものだ。

 第1曲「ヴァルタヴァ」、吟遊詩人を思わせるハープのカデンツァが終わり、次第に盛り上がる時に、何かざらっとした響きを感じたけれど、その時だけで以降、気になることはなかった。

 第3曲「シャールカ」は、愛する男性に裏切られたシャールカの復習がテーマ。クライマックス、シャールカに殺される騎士ツティラートの叫びをトロンボーンで表現するが、小気味よい演奏、ばっちり決まっていた。恰好良かった。

 全体を通して実に立派な演奏と感じた。難解な曲を見事に演奏したとも。2時間ほどを存分に楽しめた。心より敬意を表します。また聴かせて頂ける機会のあることを切望いたします。

 そうそう、頂いたプログラムも写真入りの大層充実したものでした。付け加えておきます。

   (2016年6月18日記録)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年6月13日 (月)

能楽:伝説の能面・狂言面 第1回

  番組 能「翁」 (観世流)
       翁         梅若 玄祥
       三番三       山本 東次郎
       千歳        梅若 雄一郎
       面箱        山本 泰太郎

     新作「横濱風流」 (大蔵流)
       シテ(大山祗ノ神) 山本 則重
       アド(木花開耶姫) 山本凛太郎

  会場 横浜能楽堂
  公演 2016年6月11日(土)
  鑑賞 2016年6月11日(土) 14:00~15:40

 横浜能楽堂の開館二十周年を記念する4回続きの企画の第1回。底流となるテーマが「伝説の能面・狂言面」,
すなわち、各流・家の選りすぐりの能面・狂言面を用い、面に相応しい名曲を舞うとの意図がある。

 何が伝説かをプログラムから引用しよう。
 『能面の中で、室町時代から江戸時代初頭にかけ打たれた優れた能面を「本面」と呼ぶ。その後、「本面」を手本として、今日に至るまで「写し」が打たれてきた。現在では、通常、この「写し」を使う。「本面」は限られた演者が特別な催しで使うのみだ。中には「宗家・当主」であっても、生涯に数回しか使わないものもある。今回の公演には、毎回、「本面」が登場する』。
 要は、面・曲目・演者の全てが集う貴重な機会。本企画中では、重要文化財指定の三つの面などが登場するそうだ。

 今までに能楽堂に足を運んだ回数は、十回以上・二十回未満程度。能・狂言の理解も進まない初心者に、伝統まで重なって大丈夫かと思われるかも知れない。が、そこは意外と大胆、気軽に出かけてしまう自分がいる。能・狂言に限らないけれど、良いものを見る・場数を踏むことが理解促進に不可欠と考えるから。知識は後回しでも何とかなる。

 「翁」は作者不詳、祝いの時に舞われ、能の曲目中で最も神聖なものとされる。よって演能の機会も少ないのだろう。できたのは最も古く、時代は平安時代末まで遡れるようだ。変遷を重ねて現在の形式、千歳・翁・三番三に至ったようだ。かつて三番三(三番叟)だけは観たことがあるけれど、それでも天下泰平・五穀豊穣の思いはひしひしと伝わって来た。「翁」は何が加わるのだろうか。

 「翁」の特異性は次のような一面からも伝わるだろう。出演者は一定期間「別火」と呼ばれる物忌みを行い、精進潔斎する。当日は鏡の間に「翁飾り」と称する祭壇が設けられ、全員で神酒を頂き、洗米を含み、荒塩で身を清め、火打石で切火を受けた後、登場する。ただし、これは話として知るだけで、一連の所作を客が見ることはない。

 一分前に楽屋から笛の音が響く。最近は何でも5分遅れくらいで始まることを思えば、能は厳格だ。
 定刻、本幕で橋掛かりから、面を入れた箱を掲げる面箱を先頭に、翁・千歳・三番三・囃子方・後見・地謡と続いて登場する。「翁渡り」と称するそうだが、最初からいつもと出方が違う。それに囃子方・後見・地謡の衣装も素袍・侍烏帽子の最高の礼装で、いつもと違う。一目瞭然、ここまでを知識として得るのはなかなか困難だろう。

 進行は、翁による「とうとうたらり」の謳い、千歳の露払いの舞い、翁の天下泰平・五穀豊穣を寿ぐ舞い、最後の狂言方による「三番三」は揉みの段、「黒色尉」の面を付けて鈴の段と続く。

 新作「横浜風流」は、山本東次郎の台本制作。
 「翁」の鈴の段に掛かろうとする時にシテ・アドが登場、三番三との芸能問答を繰り広げる。三番三の鈴の段が終わるとシテが舞い、アドが舞う。謡はなかなか聞き取りにくいし、面を付ければなおさらだ。耳は澄ましっぱなしだけれど、なかなか慣れない。ただこの時の狂言謡の一部はそうでなかった。何しろ横浜市歌が織り込まれていた。横浜市民なら誰もが歌えると言われる市歌だから。ただし歌われた訳でなく、謡われたのだが。
 風流とは、三番三の舞の部分に神仏などが現れ、太平を寿ぐ特殊演出のことだそうだ。現在はめったに上演されず、特に明治以降の新作の例はほとんどないそうだ。

 全体を通して、一貫した物語性は無いように受け止めた。しかし時が刻み込まれていることを強烈に感じた。今まで見た能とは多くの点で異なるが、一つ一つをつぶさに語れない。ましてやその芸術性など。けれど見て仕方ないとも思わない。そういう時期を得ずして先には進めない。まあ冥途の土産になりそうだ。次に見る機会がいつになるかなどは判らないほど貴重な機会だった。

 図は、翁の付ける白式尉、三番三の付ける黒式尉(重文)、シテ(大山祗ノ神)の付ける大登髭。いずれも当日のプログラムより引用。
001 002 003

   (2016年6月13日記録)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年6月11日 (土)

美術:横浜南郊いたち川沿いのパブリックアート

 横浜南郊の円海山の西側、瀬上池に端を発して栄区を西流し、大船の北側で柏尾川に合流するいたち川、鼬川とも。河川整備が進んでいますが、自然っぽい所が少しは残っていて、中型の鳥の飛翔する姿などが見られます。

 この辺りは武蔵・相模で言えば相模に属した一帯、そしていたち川は柏尾川に合流して相模湾に注ぎます。円海山の東側に端を発する大岡川など、横浜市を流れる川が東京湾に注ぐのとちょっと違う。と言うことは、円海山辺りの尾根道が、武相国境にして分水界(嶺)。話題に上ることは少ないですが、子供さんを連れてハイキングに行った時などに教えてあげて下さい。もし興味があれば「いたち川散策マップ」が、横浜市役所売店などで販売されています。確か100円でした。

 話題がそれて始まりましたが、これからパブリック・アートのことを。いたち川左岸沿いに以下のパブリック・アートが設置されています。もれがあるかも知れませんし、右岸沿いは多分ないと思います。銘板に第4回横浜彫刻展と刻んであるので、1996年公募展の入選作品でしょう。もう少し作品に対する敬意があって良いと思うのですが、置かれている場所の周囲をもう少し整えては如何かと。置かれているだけましなのでしょうか。

1.杉野みちの:流レニ乗ッテドコマデモ
001

2.楢原北悠:誕生 BIRTH
002

3.山上れい:風譜-TRIO- 
003

4.伏石康男:歩み 
004

5.佐々木実:WOMEN 
005

6.星野健司:ライダー・トリックスターIX 
006

7.田中寿:ムーンダンス 
007

 他の作品が鶴見駅付近の鶴見川周辺や大倉山駅周辺に設置されています。断片的にしか調べていないので、いずれまとめてご紹介したいと思います。

   (2016年6月10日記録)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年6月 9日 (木)

路上観察:生麦の「蛇も蚊も」(2016年6月5日)

 生麦は横浜市鶴見区内の町名、鶴見川河口右岸に位置する町です。

 江戸時代は町(村)内を東海道が貫き、徳川将軍家のために江戸城に海産物を献上した御菜八ヶ浦の一つでもありました。また幕末の文久2(1862年)年、東海道上で発生したイギリス人殺傷事件は、生麦事件として歴史に記録されているので、生麦の地名に聞き覚えのある方もおられるでしょう。

 「蛇も蚊も」は町内の神明宮と道念稲荷社の祭事で、横浜市指定無形民俗文化財指定の伝統行事、毎年6月の第一日曜日に挙行されます。案内などによると確かな記録はないようですが、大筋は次のように伝わるそうです。  300年ほど前に辺り一帯で疫病が流行った際、氏神の「すさのう尊」の力を借り、カヤで作った雌雄一対の大蛇に悪霊を封じ込めて海に流し、疫病退散を祈念したのが始まり。いわば夏越の祓神事でしょう。

 横浜には知る限りで似たような行事、本牧神社の「お馬流し」、富岡八幡宮の「祇園舟」もあります。いずれも漁師町であったことが共通しています。

 私は町外者で詳細は知りませんでした。ただ、大きな流れとして、午前中に雌雄一対の大蛇を作り、午後から担いで辺り一帯を回る程度の情報は持ち合わせていました。昨年は午前中だけ見届け、今年は午後になってでかけました。とにかく二年がかりで大きな流れを把握したので整理しておきます。

 神明宮は旧東海道から数10m内陸側に入った所、道念稲荷社は旧東海道に面しています。なお道念稲荷社の写真は祭り当日の撮影ではありません。
001 002

 神明宮で雌雄一対の大蛇が、カヤを束ねて制作されます。制作は子供の出る幕ではありませんが、周辺で楽しそうにはしゃぎ回っています。古くからの庶民の町だからでしょう、人出は多いです。
003 004

 午後になって辺り一帯を巡行するために宮外に出ていきますが、まずは宮の周りを回ります。
005

 17時近くになって戻ってきます。雌雄の大蛇が並んで境内に入る所を脇で見ていたのですが、通り過ぎる時にカヤの匂いが漂ってきて、すがすがしい気持ちになりました。植物、すなわち自然の匂いを久しぶりに嗅いだ思いです。
006 007

 境内に入った大蛇は、何回か雌雄を交わらせて終わりました。夏越の祓と共に子孫繁栄の意味も含まれるのでしょう。
008 009

 本来は海に運んで流すそうですが、現在は環境保護の観点から翌朝に燃やしてしまうそうです。そのためにとぐろを巻かせてその場に置きます。結構固く出来ているようで、なかなかとぐろを巻かせられませんでした。
010

 素朴な祭ながら、町中総出で運営しているように見受けました。伝統を絶やさない、そして次の世代に繋げるという心意気でしょう。ただし、カヤを何トンか使うので、この先どうなるのだろうかと入らぬ心配をしてしまいます。興味を持たれたら来年出かけては如何でしょうか。雨天決行だそうです。

  (2016年6月8日記録)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2015年11月 | トップページ | 2016年7月 »