演劇:東京芸術劇場プレイハウス「ローザス ドラミング」
振付 アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル
出演 ローザス
音楽 スティーブ・ライヒ「ドラミング」
会場 東京芸術劇場プレイハウス
公演 2015年4月16日(木)~4月18日(日)
鑑賞 2015年4月17日(金) 19:30~20:30(アフタートーク有)
参考 公式HP
前売りチケットを入手していなかった。まあ、コンテンポラリーダンス公演だし、立見席券も売り出すとのことだから、1時間前に到着すればゆうゆう入場できるだろうとの思惑は見事に外れた。当日券を求める人は、2階にあるプレイハウス前から列が伸びて階段を下り、階段下を一周してさらに少し伸びていた。さすがに、立見席があっても入場できないかも知れないとの絶望感が頭を過ぎった。それでもなんとか入場できた。ローザスの人気だろうか。「ドラミング」上演がこれで打ち止めになるからだろうか。信じられな~い。
思い返せば、ローザス公演を初めて観たのは1989年横浜アート・ウェーヴでのこと、この時が初来日でもあった。上演作品は、バルトークの「弦楽四重奏(何番だったか)」と「ミクロコスモス」を生演奏で踊った。四半世紀以上前のバルトークは、どのような位置づけであっただろうか、現代曲であったか。シンプルな黒のワンピースの裾を跳ね上げて、インナーを見せる振付が妙に印象に残っている。そして激しく動き回ることも。ダンサーに日本人らしき女性が一人いて、今も活躍し、今回はアフタートークに出演した池田扶美代だったと後に知る。私にとっては印象深いカンパニーだ。
ローザスは、初めて観た時と大きく異なることは無かった。シンプルと言うより、日常のままで舞台に出てきた思いのする衣装。舞台上を疾駆、そして、時々どう四肢を動かしているのだろうかと思わせる振付。ただダンサーたちは若く、自分だけが年を重ねたように思えることだけが大いに異なった。
ダンサーは12名、男性4名・女性8名。舞台袖でメンバーが客席の様子を伺う感じで並んでいる。全員が素足。やがて女性ダンサー1名が中央に進んでソロ。その後、2人だったり、3人だったり、5人だったり、メンバーが入れ替わりながら踊る。素朴な印象が漂う。疾駆する。動きはシャープで、時に可笑しさも感じる。全員が動き回る時、少しぎこちない場面があったのは、あるいはタイミングがずれたかと思った。ストーリーがある訳でもなく、絶対的な身体表現のみで気持ちが高揚していく。全体的に素朴と見せかけて、実は緻密な振付の存在がある。
スティーブ・ライヒの音楽「ドラミング」は、もう一方の主役。4つのパートからなり、演奏時間合計は小一時間。パート1は「4組のボンゴのための」とある。ユーチューブに登録されているので、聴いて頂けるとジャンルを超越していると感じるだろう。今回は録音だったので、視覚情報は無かったが。
全体の編成は、マリンバ3台・4対の調律されたボンゴ・グロッケンシュピール3台・女声二人と・ピッコロ。パート2はマリンバと女声、パート3はグロッケンシュピールと女声と口笛とピッコロ、パート4は全楽器と女声。当日の録音が、この通りになっていたかはどうかは心許ない。事前学習は重要と反省、ただし実践できるかは五分五分だ。
何回聴いても、私には音楽の詳細を把握することが困難と思われる。ダンサーはタイミングをどのように掴むのだろうか。旋律もないし、カウントしているのだろうか。頂点に立つ人たちの凄さを感じる。と同時に、身体表現と音楽の関係も興味深い。
客席に年配の方も見かけたが、私もその一人。風体を見ても、傍目には似合わないと映っているだろうと。まあ、他人に迷惑を掛けない限りにおいて傍目は気にしないことにして、これからもたまには出かけよう。身体表現の行く着く先として、モダンとかコンテンポラリー・ダンスは興味深く感じるから。
それにしても、クラシック系公演で立見席とは。良いことだ。音楽を含めて私は3回目。
過去は、神奈川県民ホールにおける聖トーマス教会合唱団他「マタイ伝による受難曲」、神戸松蔭女学園チャペルにおけるバッハ・コレギューム「バッハのカンタータ(何番かは記憶にない、カウンターテナーの米良美一が加わっていた)」。神戸松蔭は小さな会場だが。
(2015年5月4日記録)
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