美術:金沢21世紀美術館開館「中村好文 金沢の小屋においでよ!」
名称 中村好文 金沢の小屋においでよ!
会場 金沢21世紀美術館
会期 2014年4月26日(土) ~ 2014年8月31日(日)、会期終了
鑑賞日 2014年8月28日(木)・29日(金)
参考 公式ホームページ
中村好文は住宅建築中心に活動、家具製作も行なう建築家。著書も多いが、私は「意中の建築 上・下巻」を斜めに読んだだけ。案内されていた岡山の国宝「閑谷学校」に寄り道したことが記憶に残る。
誰もが実現できないが、誰もが憧れそうな小屋生活。今回の企画は、酔狂で羨ましく思えるけれど、それは私の素人考え、そこに留まるものでもないだろう。とにかく面白そうだから観るのだ。美術館の無料ゾーンに展示されているのも嬉しい。
展示は二カ所に。光庭に、原寸サイズのエネルギー自給自足を目指すひとり暮らし用の小屋「Hanem Hut」。長期インスタレーションルームに、鴨長明を初めとする過去の小屋主の紹介、「Hanem Hut」の設計図や制作記録ビデオ。
光庭とは、美術館中央の屋外空間で、四方がガラスに囲まれている。美術館内からはドアーを通って出入りする。小屋の外形は、3160㎜W×4098㎜D×3203㎜H。写真は美術館内から。
写真は小屋の全景、居間、水回り。おおよその様子がお判り頂けるだろう。
写真は居間の片隅に掲げられているもの。そこに映る人物は、中村が小屋を設計するに際して触発された7人の小屋主。
長期インスタレーションルームには、7人の小屋主・小屋の概説が展示される。そのおおまかなメモを次に整理しておく。
1.ヘンリー・デヴィッド・ソロー 小屋名「森の生活」
小屋暮らしは1845年(28歳)~47年(30歳)、44歳で没
小屋のワイヤ―フレームの模型展示。
2.立原道造 小屋名「風信子(ヒヤシンス)ハウス」
1914年生まれ、39年に24歳で没。小屋は未完。段ボールの模型展示。
3.高村光太郎 小屋名「高村山荘」
1945年(62歳)~52年(69歳)、73歳で没
戦意高揚の詩を作った責任を痛感して岩手に引き篭った際に住んだ
4.猪谷六合雄 小屋名「特になし」
1929年(20歳)~晩年(?)。写真展示?
5.ル・コルビジェ 小屋名「休暇小屋」
1952年(64歳)~65年(77歳)、77歳で没。
小屋のスライド展示。
6.堀江謙一 小屋名「マーメイド号」
1962年5月12日~8月12日(24歳)。
ヨット模型展示。小屋に見立てている
7.鴨長明 小屋名「方丈庵」
1208年(54歳)~16年(62歳)、62歳で没。
他に「Hanem Hut」制作に関するスケッチ、図面(青焼き)などの展示。制作記録のビデオには、光庭で挙行された神式の地鎮祭などが記録されていて笑いが浮かんだ。宗教的行事が許されるのかなどとも思ったが、厳密にやってこそ何だろう、遊び、趣味?
エネルギー自給自足の啓発もあるだろうし、モノづくりの啓蒙も込められているだろう。子供たちに理解は難しいだろうが、でも素材を与えて小さな小屋を作らせれてあげたら、喜ぶだろうななどとも思った。とにかく、楽しい企画だった。できれば、有料で良いから資料集を準備して欲しかったが、それが残念。無料の企画では無理だろうけれど。
(2014年9月2日記録)
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