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2014年2月22日 (土)

美術:「写真の境界」

  名称   写真の境界 Boundaries of Photgraph
  会場   横浜市民ギャラリーあざみ野 展示室1
  会期   2014年2月1日(土)~2月23日(日) 、詳細は要確認
  鑑賞日  2014年2月19日(水)

  参考   公式HP

 写真の境界とは何か、興味をそそられて出かけた。そして、写真技術と作品処理の境界の存在を感じた。

 ダゲレオタイプに始まる写真技術を長いこと支えたのは、光学と化学技術。近頃は、電子技術が化学技術を大分侵食したが、化学技術が全く廃れた訳でない。これに撮影技術が加わる。

 さらに、プリントされた作品に処理を施したりして、ディジタルとアナログ世界を行き来したりもする。複雑な境界と言えるし、確固たる境界などないとも言える。

 作品展示は、順に多和田有希・春木麻衣子・吉田和生。

 春木は伝統的な写真技術による作品作り。作品は、ネガポジ法によるタイプCプリントで制作されている。こだわりは、撮影対象の厳選のようだ。

 暗い室内から明るい外の風景を撮影した作品「okinawa01」。開口部は添え物と思えるほど黒地が多い。あるいは、大半が白く抜けて残るわずかな部分に風景が留まる作品など。白い部屋に白基調の作品、黒い部屋に黒基調の作品が展示されていた。
01

 

 多和田はインクジェットプリント使用。加えてニードル・消しゴム・サンドペーパー。ニードルは彫刻用具だろう。すなわち、インクジェットプリントで仕上げた作品を、ニードル・消しゴム・サンドペーパーで加工する。プリントを素材にした彫刻か。

 「White Voice 2」。この光景は岡山県西大寺の会陽だろうが、それに大きな意味はないだろう。人と人の隙間などに白い何かが塗られているようで、実は作品を引っ掻く・擦るなどして色を消し去っている。発露されたエネルギーの表現か。
02

 「Continental Drift Theory 3」。これも同様に処理。道路は自動車のライトで明るく輝き、ビルからは上空に向けて投光されているようだ。都市が放出するエネルギーか。
03

 

 吉田もインクジェットプリント使用。ただし画像加工している。

 集めた写真をPhotoshopで重ねた作品「Air Blue」。雰囲気は感じられるが、ベースの写真は「富士の原生林、木があって、その上に空がある。木と木の葉っぱの間にできている空を撮影」だそうだ。
04

 「Makros」。空の写真を、インクを全く吸収しない紙に出力したら、インクが水滴のまま紙に乗った状態になった。それを撮影したり、スキャンニングしたそうだ。撮影・プリント・撮影・プリントの過程を経ている。さらに繰り返されているだろうか。
05

 

 伝統的な写真技術を取り囲む境界を仮定すれば、その内側で作品処理の境界に抗おうとするのが春木。ハイキー、ハイコントラストな写真とも言えそうだが、対象への迫り方に独特な心構えがあるようだ。

 境界の外側にいるのが多和田・吉田。写真は作品制作の素材で、もはや写真の言葉を使わなくても良いだろう。別に否定する訳でなく、固有の名称・ジャンルが形成されても良いとの意味だ。

 私は多和田の作品に親近感を抱いたが、それは別にして、新しい世界を垣間見ることは刺激になる。私と同時に鑑賞していたのは数名、もう少し入場者がいても良いように思った。

   (2014年2月21日記録)

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