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2014年1月21日 (火)

音楽:R.ワーグナー:歌劇「タンホイザー」序曲のお勉強

 以下の文章は「We Love 神奈川フィル」に投稿したものです。

神奈川フィル 第295回定期に向けてのお勉強 2時限目
    『リヒャルト・ワーグナー:歌劇「タンホイザー」序曲』

 歌劇「タンホイザー」は、歌劇「さまよえるオランダ人」に続く作品で1845年初演、上演には3時間弱を要します。正確なタイトルは「タンホイザーおよびワルトブルクの歌合戦」。まず物語りの内容を掻い摘まんで。

 バカな男に惚れたバカな、いや清純な女の悲劇、なんて言ったら多くからお叱りを頂くでしょうか。まあお許し頂いて、ここで男はヴァルトブルク城の騎士歌人のタンホイザー、中世の騎士は皆歌う習慣があったそうです。そして女は、チューリンゲンの領主の姪のエリザベート。

 愛しあう二人なのに、魔がさしたか男は異界に出かけて快楽の女神ヴェーヌスと愛欲の日々。ふと故郷を思い出して脱出する。ワルトブルクの城近くに放り出され、通りかかった親友から女が待っていると聞き、罪を感じながらも城に帰る。何たるご都合主義、悲劇に至るのは目に見えているようなものだ。

 二人は再会、男の身勝手を女は一笑に付す、いや笑いもせずに許す一途さ。さて当日は歌合戦の日、課題は何と「愛の本質について」。多くの騎士歌人は女性に仕える愛を歌うが、男は自由な愛を主張、ヴェーヌスを讃えて非難を浴びる。我に戻って悔やむも時遅く、追放され、教皇の赦しを得る巡礼に加わる。赦されるまで帰れない。

 巡礼が通るたびに男の姿を探す女。思い届かず、自らの死を以って男の赦しを請う。

 赦しを得られず、やつれた男は自暴自棄、異界に戻ろうとさまよう途中で友に会う。現れたヴェーヌスは男を引き寄せようとするが、友が引きとめる。そこへ女の葬列、我に帰る男。女が命と引き換えに、男の赦しを神に願ったと聴かされ、男は女の亡骸に寄り添って息を引き取る。そこへローマからの行列が特赦を知らせる。その時に起こる奇跡はひ・み・つ。

 やはり、バカな男に惚れたバカな、いや清純な女の悲劇。演歌の世界みたいでしょう。

 序曲の演奏時間は約15分間、要約した悲劇を歌唱なしのオーケストラだけで表現。管弦楽曲として聞いても、ワグナーの重厚な音楽を楽しめるでしょう。でも、悲劇の進行を想像しながら聞けば、楽しさ倍増・三倍増。

 三つの部分、巡礼の合唱・異界の官能の世界・再び巡礼の合唱で構成されています。
 冒頭、巡礼の合唱が管楽器で演奏され、弦が加わり、各楽器で繰り返されながら高揚、やがて遠ざかる。代わって異界の妖艶な世界がヴィオラで、木管で、そして弦が讃歌を奏で、ヴィオリン・ソロなどを経て高揚。異界が遠ざかっていくと、再び巡礼の合唱が聞こえてきます。

 華麗で魅力的な旋律、それを支える伴奏も魅力的。短い間にオーケストラの総合力が試されると思います。若い頃は、ワグナーの重厚さに大きな魅力を感じませんでした。でも、徐々にその魅力に惹かれていったのも、その重厚さだったように思います。

 2012年3月、水口聡(Ten)のタンホイザー、演出・ミヒャエル・ハンペ、 指揮・沼尻竜典、そしてオーケストラピットに神奈川フィルが入って「タンホイザー」が上演され、印象深いものがありました。またの機会を切望しておきます。

 さて今回は、サッシャ・ゲッツェルの首席客演指揮者就任を祝う演奏会。神奈川フィルと共に繰り広げられるウィーンの響きを存分に楽しみましょう。

   (2014年1月21日記録)

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