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2013年12月30日 (月)

2013年回顧(1)  ヴェルディ・ ワーグナーと世阿弥 

 2013年は G.ヴェルディ と R.ワーグナー の生誕200年の年。と言って私は、琵琶湖ホール・神奈川県民ホール合同企画の「椿姫」「ワルキューレ」を、県民ホールで鑑賞したのみ。年一度の企画の筈だが、一年で二度楽しめたのは県民ホールの改修工事が2014年春を挟んで予定されていたため。でも、オペラの両雄が並び立った。

 いずれも、指揮:沼尻竜典、オーケストラピットには神奈川フィル(ワルキューレは、日本センチュリー交響楽団との合同オーケストラ)。
 「椿姫」のタイトルロール・砂川涼子は、声量充分、クリアーでドラマティック。カーテンコールの控えめな仕草に、もっと胸を張って良いんだと叫びたかった。
 「ワルキューレ」、福井敬(ジークリンデ)は欧州の歌手に比べると華奢に見えるが、歌唱は堂々、あちらにもこちらにも出演する訳がわかる。横山恵子(ブリュンヒルデ)は、戦乙女のドラマティックな歌唱と、神界を追放される薄幸な境遇の歌唱と、双方に惹かれた。

 

 国内に目を向ければ、世阿弥の生誕650年の年。横浜能楽堂企画の「時々の花」の3回シリーズ、各回は

  第1回 青春の巻 能「敦盛」
  第2回 朱夏の巻 能「井筒」
  第3回 玄冬の巻 能「檜垣」 

だった。通しチケットを入手したが、第1回目は利賀フェスティバルとバッティング、見られなかったのが残念。「井筒」「檜垣」は、2時間前後を要する大曲。

 「井筒」は、世阿弥自身が「上花也(最上級の作品)」と自賛するほどの自信作であったそうだ。「風吹けば沖つ白浪竜田山 夜半にや君がひとりこゆらん」と謡う若い女性が主人公。シテは梅若紀彰、後シテは紫の長絹に飾り糸のついた初冠で清々しかった。伊勢物語の世界が浮かび上がった。

 「檜垣」は老女物で能の中で重きを置かれる曲。美しい白拍子として多くを魅了した老女の霊が、生前の業に苦しんで僧に助けを求める内容。シテは野村四郎。後シテの枯れた様になお女性を留めていて悲しい。
 前説の歌人・馬場あき子が、「能は男の芸能なのに、秘曲に老女もの」のような話をした。異性に仮託して、男性の人生をあぶりだしていると受け止めた。

 「井筒」「檜垣」は共に三番目もの、幽玄味の濃い複式夢幻能に世阿弥を感じたような感じないような。能の世界を理解するにはなお多くの時間を要するが、少しづつ伝統芸能の世界に踏み込む感触があって面白さも感じる。

 

 オペラと能、音楽を伴う身体表現という観点に共通性がある。ただし、音楽に連続と断続、身体表現に動と静の対比がある。洋の東西の差かとも思える。両極端なものを観ているようで、案外閉じた円環の端と端で、結局は両隣とも思った。来る年も、どちらかに絞り込むことをせずに良いと思われるものを適宜鑑賞しよう。

   (2013年12月30日記録)

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