音楽:神奈川フィル第293回定期演奏会
指揮 広上淳一
独奏 ダニエル・ホープ(Vn)
演奏 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
曲目 B.ブリテン : ヴァイオリン協奏曲
M.ラベル : カディッシュ(ソロ・アンコール)
G.ホルスト : 組曲「惑星」
会場 横浜みなとみらいホール(1階13列22番)
公演 2013年10月18日19:00~21:00(休憩20分)
ブリテン、ホルスト、ダニエル・ホープと揃えばイギリス・デイ、いやイギリス・ナイト。取って付けたような組み合わせでもおかしいし、大幅に編成替えのある組み合わせではスタッフも忙しいだろうし、プログラムを作るのも豊富な知識と多くの苦労がありそうと思う次第。
ブリテン・ヴァイオリン協奏曲
ダニエル・ホープは大柄で、ヴィオリンが子供用の分数ヴィオリンに見えた。そして、紡ぎだす響きは柔らかだが、ぐいぐい押して行く力強さがあった。
例えば、第1楽章。最初の独奏ヴィオリンは、歌うようにやさしく響かせて、一気に引き込まれてしまった。第2主題からはぐいぐい押して、緊張感は大いに高まった。第2楽章のカデンツァでは、テクニックの冴えが伝わってきた。
自国の大作曲家の作品、ダニエル・ホープの得意とするところだろう。神フィルのサポートも手堅い。
あまり意識して録音を聴いたことはなかったが、目の前で繰り広げられる演奏を心して聴けば、これは名曲の類に含めて良いと思った。名演奏ゆえに曲が引き立ったとも言えるが。至福の一時になった。
ホルスト・組曲「惑星」
1階席からはメンバーの前列は判っても、奥は重なって良く判らない。第1ヴィオリンは前列に5プルト、奥に2プルトの計14名と見えた。ヴィオラが10名、コントラバスが7名。全体で100名はいないと思うが、オルガンにも灯りが点って、前回の「アルプス交響曲」に続いての大編成。
第1曲「火星」の冒頭のリズムが執拗に繰り返されれば、一気にホルストの世界であり、神フィルの世界に入り込む。短い間で音楽に没入させてくれる曲・演奏が、良い曲であり、良い演奏と思う。
第4曲「木星」の次々に登場する主題、それまでの各曲にまして朗々と管、たゆたうように弦。第4主題、一般的には、平原綾香の「ジュピター」と言った方が通りは良いだろうけど、何とも美しい旋律が奏でられた。この辺りが佳境。
第7曲「海王星」の女声合唱、どのパートか判らないが、ちょっと浮き出て響いた。全体のボリュームは、もう少し抑えて良いように感じた。合唱メンバーは舞台脇の左右二階席に分かれて配置されたことも影響しているだろう。指定は舞台外だが、二階席ではないだろう。遠い宇宙の果てに、消え入るような感じが薄れた。
全体的に、2台のティンパニーやパーカッション、ホルンを筆頭とする管楽器が、入れ替わり立ち代り見事に響かせる。ヴァイオリン、チェロのソロもあり、弦も重厚な響きを押し出してくる。部分部分を取れば美しいのだが、何か一つ引っかかるものがあるとすれば、終わり方かもしれない。
(2013年10月21日記録)
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