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2013年10月 2日 (水)

音楽:神奈川フィル第292回定期演奏会

  指揮   沼尻竜典
  独奏   石田泰尚(Vn)
  合唱   神奈川フィルハーモニー合唱団
  演奏   神奈川フィルハーモニー管弦楽団

  曲目   ストラヴィンスキー:詩篇交響曲
       グラズノフ    :ヴァイオリン協奏曲イ短調
       チャイコフスキー :感傷的なワルツ(ソロ・アンコール)
       R.シュトラウス  :アルプス交響曲

  会場   横浜みなとみらいホール(1階13列22番)
  公演   2013年9月27日19:00~21:20(休憩15分)

 

「アルプス交響曲」

 編成は、ビオラ12、コントラバス8。他の弦や管は重なって数が判らないが、スコアどおりだっただろう。パーカッションは4で1多い。演奏終了後に挨拶で登場したバンダは9。とにかく舞台狭し。

Alps 曲は大きくは5分される。始まりが「夜・日の出」。クラリネット・ホルン・弦がppで持続音を奏で、ファゴット・弦がppで夜の動機(右図参照)(*1)を示す。繊細にして饒舌な夜の静寂が瞬く間に客席を覆う。金管が夜目にも堂々たる荘厳な山容を描写。太陽が少しづつ上り始める輝ける日の出が全合奏で描写される。

 主要部に入り、まず「登り道」。低音弦で力強く歩き出す様が描写される。この主題は、後に要所で出現。力強いだけでなく軽快な演奏は、どんどん高度を上げえる登山者の後を追いかけているようだ。この後、様々な事物に遭遇。森に入り、花の牧場を経由して山頂に立つ。下山途中の嵐。

 そして「日没、夜」。夜の帳が漂い始め、再び、繊細で饒舌な夜に包まれる。印象的なフィナーレ。

 神奈川フィルは、標題を髣髴させる印象深い演奏を展開した。ある時は輪郭明瞭、透明感のある一枚の風景画を描き出す。ある時は足元を追いかけ、激しくぶれる動画のようだ。

 繊細で力強い弦が曲の魅力を支え、管が輝きを増した。冒頭のファゴットは美しいばかりでなく、一瞬のうちにR.シュトラウスの世界に引き込む。「森への立ち入り」におけるヴィオリン・第1プルト、「危険な瞬間」のチェロソロ、いずれも短いけれど美しい。「頂上にて」のオーボエソロもしっかり聴いた。ホルン・トランペットも輝かしい。
 珍しい楽器のヘッケルフォーンは、その姿も音も認識できなかったのが残念。

 沼尻竜典と神奈川フィルは輪郭鮮明なアルプスを描き出した。両者の相性は良いと思えた。


「詩篇交響曲」

 定期で取り上げない限り聴くチャンスのない曲。早く聴くべきであったと思うことも少なくないが、今回はそれもない。演奏の良し悪し以前に、曲への興味が喚起されない。そういう曲もある。

 気になったのは合唱の精彩不足、この合唱団に好感を抱くが。オーケストラのすぐ後ろが定位置だが、今回はオルガン前席。それも関係するのか、クリアさ後退、音が籠った。

「ヴァイオリン協奏曲イ短調」

 ソロ・コンサートマスターを独奏者に迎えてのグラズノフは、やや小品とも言えそうな曲。内容は堂々としたものだが。

 演奏は、谷間にひっそりと咲く繊細で気高い花を思わせた。技巧的なカデンツァ。オーケストラに同質の響きがあるのは当然、ハープの響きも魅力的。

 仲間を守り立てる暖かさが感じられて良いものだ。ましてや、ソロ・コンサートマスターをソリストに迎えてのコンチェルトに悪い要素などある筈がない。あっという間に終えた思いだ。

  *1 引用:オイレンブルク・スコア
        リヒャルト・シュトラウ スアルプス交響曲 (株)全音楽譜出版社

   (2013年10月1日記録)

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