美術:愛知トリエンナーレ2013・岡崎地区松本町会場(2013年10月18日)
愛知トリエンナーレ2013に行ってきました。一泊二日の駆け足、見落としも多々ありますが、全会場を一通り回りました。まずは、一番最後に訪れた岡崎地区松本町会場から。
名鉄東岡崎駅から、真っ直ぐ歩けば30分近くかかるでしょうか。松本町会場は猫の額ほどの地域ですが、魅力的な会場でした。作品はともかく、その一角が。なんて言ったら横面叩かれそうですが。
一角の中心が松應寺。その変遷は後に判ることですが、周辺の家並みを一目見て、昭和中期の面影を色濃くとどめていることに気付きました。一角のレイアウトはP字を左右反転した形に通路が出来ています。縦棒の下側が入り口。
アーケードを進むと正面に松應寺。振り返るとスナック・琥珀があって、夜になれば営業しているとか。アーケードを良く見れば、木造です。
アーケードの途中から左に折れると、正面に聖徳太子殿があります。
作品展示は空き家を利用した3点。
「旧今代」は、《丹羽良徳:日本共産党でカール・マルクスの誕生日会をする》のビデオ・インスタレーション。中京地区の共産党議員がコメントしているような内容だったけれど、良くは見なかった。ビデオ・インスタレーションは、よほどのことがなければ、付き合いきれない。しかし、かってこのような人目に付かないようなところで活動していたのだろうと、妙にリアリティを感じました。
「旧入舟」は、《山下拓也:床?S?M〆の入舟》。二階の床板などを外して構成するインスタレーション。良く出かける横浜黄金町バザールなどでも多く見かけるタイプ。既視感がありました。
「旧あざみ美容室」は、《青木野枝:ふりそそぐもの/旧あざみ美容室》。鉄を切り抜いて構成するインスタレーション。円形に切り抜いた鉄は、意外に柔らかな感じ。切ない思いも感じられました。
どのような経緯で、この一角がトリエンナーレ会場に選ばれたのか、それをとても興味深く感じました。アーケードを見ても、昭和20年から30年代の作りでしょう。そして、作務衣を来た僧侶と思われる方が、孫だろう子の手を引いてふっと現れたりする。この光景に、アートは脇役に回るしかないでしょう。
空き家の増えた一角、かっての賑わいを取り戻すことは無いでしょう。しかし、たくましく生き抜く人たちの光芒を、訪れた人たちに垣間見せる手伝いが出来たとすれば、アートの本望でないかと思えるのです。
(2013年10月20日記録)
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