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2013年9月12日 (木)

随想:SCOT Summaer Season 2013 観劇料なしのこと(やや長文)

 四半世紀も利賀村に通うと、大それたことはないにしても小さな思い出はいくつもある。

 横浜生まれで横浜育ちの私が感激したのは、初めて行った年に天の川を見たこと、蛍の乱舞を見たこと。数年を経ずして共に見られなくなったが。
 民宿で、一時の歓談をした人たちは方々から来ていた。後で引用する鈴木忠志の話にも出てくる。一時の歓談をした人の中に、次の年の舞台に立っていた人がいた。
 何時だったか、野外劇場の数列前に、当時の竹下登総理大臣、小渕恵三・綿貫民輔衆議院議員が並んで観劇していたことがあった。著名人も多く見かけた。きりの良い舞台終了後に鏡割りをするが、吉行和子に注いでもらったことがあった。元気だろうか。

 

 後に今年の思い出になるであろうことの筆頭は、観劇料が無くなったことだろう。詳しくは鈴木忠志のブログを参照願いたいけれど、要点をかいつまめばこんなことだろう。

 『30年ほど前、一緒に写真をと言った女性は五島列島福江島から来た。高校卒業、就職したらこんな時間は取れないだろうからと。野外劇場の舞台は一時間強、それを見るために費やした時間と金銭を思い絶句した。小樽や境港から来た若い女性も居た。日本のどこから来るにも利賀村は遠い。

 当時の観劇料は3千~4千円、全舞台(注:10前後)を見ればかなりの出費。会話した人だけ無料にもできず、さびしい気分の握手をした。本当はウレシイ握手なのに。

 私も若い頃は貧しかったから、来日公演を見るに決心が要って、入場料金を理不尽に感じたりもした。滅多に接することの出来ないものだからこそ低料金で見せるべきではないか、などと勝手な理屈を捏ねたりした。

 30年近く引きずったこの気分に、今年から分かれることにした。利賀村での舞台公演、全活動を公開する。若く貧しい若者たちにどれほどの助けになるかは分からないが、40年近くにわたって、励まし助けてくれた人たちへの、ささやかなお礼になればという思いだ。先のことは定かではない。ともかく今年は、ガンバッテ、ヤッテミルカ!』

 私の場合、観劇料がなければ費用は三割がた減っただろう。今は舞台数が往時の半分くらいだけれど。今でも民宿に泊まらず、キャンプサイトで寝起きしながら舞台を見る人もいる。「爪に火を灯す」など今では死語かも知れないが、そういう状況に置かれていて、それでも舞台を見たいと思う人には福音だろう。カンパニーがどうするかなどの詮索は無用としたい。それなりの見通しはあるだろう。

 ただ、ドネーションまで拒否している訳でない。封筒に名前を書き、その中にお札なり硬貨なりを入れてボックスに投げ入れる。それと、事前登録は必須だから、勘繰れば誰がどれだけ投げ入れたかは判かると言うものだ。そうだとしても、一般的なドネーションと大して変らない。

 私は、今までの経験に照らして相当額を投げ入れた。今のところは何とかなるから。今後、融通が利かなくなれば些少な額で見させて貰おう。一回こっきりの観劇でもない。生きている間、折に触れて楽しもうと思うならば、観客とカンパニーは共存共栄の筈だ。どこかでバランスをとらなくてはならない。
 ただ、それが生活の芸術化へ一歩近づくきっかけになるなら素晴らしい。仮にそうならなかったとしても、その試みは素晴らしいと思うが。

   (2013年9月12日記録)

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コメント

私も鈴木氏のブログを読みました。
次女は時間がないのも一因ですが、やはり利賀までの交通費は負担のようです。
JPAFや芸術公園の方々、もちろんSCOTの役者さんなど会いたい方も多いだろうし、何よりSCOTの芝居がいやで職を辞したわけではないので、行きたい思いは強かったようです。
封筒に名前があることを知って、何割増しかで入れましたが、それは下らない見栄です。もし知り合いがいなければもっと少額にしたかもしれません。(苦笑)
新堀さんとツーショット写真が撮れたことの喜び分の割増しかも。(笑)
しばらく日本を離れますが、帰ってきたときに出てくる元気があれば、また訪れたいと思っています。

投稿: strauss | 2013年9月13日 (金) 12時49分

 公開にしたことはとても良いことと思います。それでも、東京起点の二泊三日の旅程で行動すれば、チケット料金の数倍の交通費・宿泊費が入用だから、なかなか大変です。もちろん、劇団とは何の関係もないことです。劇団に課せられた使命は、なんとか工面してでも行きたいと思わせる魅力づくりでしょう。往時に比べて希薄なことは確か。
 私が始めて出かけたのが40歳の時で、多少の余裕も出来てきた頃でした。もし、20代(始まってなかった?)・30代前半だったらやはり考えたかも知れません。
 日本を離れる日程は確定したのですかね。追ってメールで。

投稿: F3 | 2013年9月14日 (土) 23時12分

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