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2013年7月18日 (木)

音楽:コムラードマンドリンアンサンブル 第41回定期演奏会

  曲目 【第1部】  指揮:日高哲英
       狂詩曲『スペイン』  E.シャブリエ/鈴木静一編曲
       Il voto (誓い)   U.ボッタキアリ
       アルルの女第二組曲  G.ビゼー/佐藤洋志編曲
        ・パストラール
        ・間奏曲(日高哲英編曲)
        ・メヌエット
        ・ファランドール
     【第2部】
       初夏の夜/濡れた木立/疾走する Passacaglia 加藤千晶
       音楽物語「雪の女王」           鈴木静一
       組曲「ホルベアの時代より」第1楽章
                E.グリーグ/飯塚幹夫編曲(アンコール)

  会場 第一生命ホール
  公演 2013年7月14日14:00~16:00(休憩15分)

 

 縁あってこのアンサンブルを聴くようになってから今回で確か5回目。
 編成は、マンドリン・ギターの5部にコントラバス2丁。曲によって、管・パーカッション・ピアノ・ナレーションが加わりました。

 会場の第一生命ホールは、1・2階席合計767席の楕円形。開演直後は空席が残りましたが、途中からは満席に近い状態でした。

 

 狂詩曲『スペイン』、管などが加わった大編成。印象的な原曲が、マンドリンアンサンブルでどのように響くか、興味がありました。
 やや歯切れの良さが欠けていたようで、音が固まって聞こえました。8分の3拍子、音符と休符が交互に出てくるリズム、テンポも速く、難しかったと思いました。1曲目で多少の緊張もあったでしょう。
 舞台一杯に配置されたメンバー、私は前後中央の下手寄りの座席で、音響的にちょっと条件が悪かったかも知れません。

 Il voto(誓い)。やや『スペイン』の尾を引いていたようなに感じました。重厚な曲。コントラバスが鮮明に識別できました。音色だけではなく、音量、奏法の差もあるでしょう。マンドリン族の繊細さが印象付けられました。

 アルルの女。ようやく調子が出てきたようで、とても素晴らしい演奏でした。マンドリンアンサンブルの繊細さが充分に伝わりました。通俗名曲とも言われるこの曲、長いことご無沙汰でしたが、改めて通俗名曲の偉大さを感じました。
 メヌエットは、第1マンドリンとギターのトップのデュエットで始まり、原曲とは異なるさわやかさが会場に響きました。第1マンドリンのトップ、すなわちコンサートマスターは、私が聴くようになってから同じ方が務めています。コンチェルトのソロを弾いたこともありました。長年の研鑽の賜物でしょうけど、アマチュアながら上手な方がおられるものです。

 Passacaglia。世界初演。他の曲の多くも初めて聴くようなものばかりですが、この曲は捉えどころの無いままに終わってしまいました。悪い意味ではないのですが、言葉がうまく見つかりません。

 雪の女王。管などが加わった大編成。濃淡のあるブルーの衣装に白いブーツを履いたナレータも加わりました。劇的なナレーションが、ぐいぐいと全体を引っ張ていく印象が強烈でした。管なども美しく響いて壮大な演奏になりました。しかし、壮大に仕上がれば仕上がるほど、マンドリンアンサンブルへの注目が希釈されることはいなめません。難しいところだと思いました。

 

 5回も聴けば、否、そこまで回数を重ねなくとも、このアンサンブルが高いレベルを保持していることは判ります。プログラム編成や、コンディションで多少のばらつきはあったと思いますが、それは些細なこと。何より一生懸命に演奏していること、鈴木静一作品の全曲演奏と言う高い目標を掲げて継続していることが、何よりも素晴らしい。

   (2013年7月18日記録)

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コメント

ご来場、ありがとうございました。
 第一生命ホールはステージ上でも音の響きがクリアに聞こえて、とても弾きやすかったです。
しかしながら今年は難解な新曲やら、打楽器・管楽器のないアレンジのアルルの女やら、仰る通り8分の3拍子の乗りが難しいスペインやら、まとめるのに苦労の多い選曲でした。
 音楽として成立させるには個人個人の、その曲に対する乗りが集まることが前提と思います。オケのレベルはどうしても個人個人の掛け算で決まっていきます。
個人の基礎技術の向上は当然ですが、曲の持っている乗り、呼吸感を合わせて行く訓練が必要と感じております。
 来年も鈴木静一作品は大曲を、そのほかは珍しい曲に取り組みます。ぜひまたお越し下さい。

投稿: 小野智明 | 2013年7月22日 (月) 12時21分

 当日はお疲れ様でした。またコメント頂きましてありがとうございました。
 アマチュアアンサンブルの場合、演奏する皆さんが主役だと思います。だから、聴かせて頂いている、というのが私の思い。自分なりの感想をまとめるのも、その一端です。ただ初めて聴く曲が多いし、深い素養があるわけでもないので、あくまで自分なりの感想です。
 この定期演奏会が楽しい時間になっているのは確かです。それは皆さんのレベルが高いことが前提になってのことです。暫くして来年に向けての活動が始まると思いますが、ますますご発展下さい。次の機会を楽しみにしています。

投稿: F3 | 2013年7月22日 (月) 15時17分

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