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2013年4月 2日 (火)

美術:東京都美術館「エル・グレコ展」 (やや長文)

  名称   エル・グレコ展
  会場   東京都美術館
  会期   2013年1月19日(土)~4月7日(日) 、詳細は要確認
  鑑賞日  2013年3月31日(日)

  参考   公式ホームページ

 

 昨年11月に大阪・国立国際美術館で鑑賞、堪能した。今回も堪能したが、細かい描写にも関心が向かった。テキスタイルの質感、蝋燭の滴などに見られる物理法則、定かでないが作品の展示位置。

 

 テキスタイルの質感は、特に聖職者等の肖像画で強く感じた。厚手薄手、光沢の有無、刺繍。輝きと陰影の描写にも大きく関係する。

 例えば「福音書記者聖ヨハネ(*1)」等で、左肩から掛ける布片、日本で言えば袈裟、の厚手のごわごわしたテキスタイルの感じ。大きなドレープの具合から伝わった。「聖ラウレンティウスの前に現れる聖母(*2)」における法衣の模様は、明確に刺繍と思えた。一針一針、糸を刺した感じが描かれていた。
Fig1 Fig2

 自分の白髪を観察すると、加減で毛の何本かが銀色に輝くのを見る。「白貂の毛皮をまとう貴婦人(*3)」においては、要所に銀色に輝く毛が見られた。純白で描かれていたが、毛皮全体が灰色がかった白で描かれるので、そこだけが輝いている。細やかな描写だ。
Fig3_2

 「受胎告知(*4)」では、座位のマリアの全身像が描かれる。特に左膝周辺のドレープで、薄手の柔らかなテキスタイルを感じた。服の中の足の形まで想像できた。
Fig4

 これらは、対象の形の的確な把握、輝きと陰影の効果が相乗してもたらすと言って良いだろう。多くの作品に、荒々しいタッチとも思える部分が見られるが、一つの作品として調和している。全体と細部の関係が見事。

 

 「燃え木で蝋燭を灯す少年(*5)」は、蝋燭の滴が真下でなく、糸を引いて斜め下に落ちつつある。実は、手が動いているので、滴は慣性で後方に落ちると思った。しかし、蝋燭にまだ火は灯っておらず、滴は落ちないだろうと気付いた。凄い描写だと思ったが、疑問が残った。
Fig5

 「十字架のキリスト(*6)」は、釘で十字架に打ち付けられた手足から流れ出る血の跡に目が引き付けられた。足から流れる血は真下に向かうが、手から流れる血は少し内側に向かっている。手に凹凸があるからだろうと思って、その場で小さくまねてみたが結論は出ていない。
Fig6

 芸術が客観的である必要もない。しかし、そこに意図があったり、私の常識が違うならば、何かを契機にはっきりさせることも大事だ。

 

 最後の展示「無原罪のお祈り(*7)」が小さく見えた。347㎝高×174cm巾だから、決して小さい作品ではない。国立国際美術館の展示よりは低い位置に展示されていたからと思っている。展示室の高さや周辺の環境にも影響するだろう。確認する方法もない。
Fig7

 

 「エル・グレコ展」、素晴らしい企画。何回見ても見尽くすことなど無いだろうけど、異なる会場で各1回、見られたことで良しとする。以前と比べれば、最近はしっかり見ている。宗教画はその背景を知らないと、的外れな解釈をしてしまうことも自覚している。それでも、実物を目の当たりにすることが貴重だ。
 他人と比較しても意味はないけれど、良い鑑賞者になれるように、少しづつ努力は重ねたい。

  引用:*1~*7 エル・グレコ展図録より
      発行者:NHK、NHKプロモーション、朝日新聞社 発行日:2012年10月16日

   (2013年4月2日記録)

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