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2013年3月15日 (金)

路上観察:戦跡と歴史を訪ねる沖縄旅行・第1日目(やや長文)

 沖縄の中・南部の戦跡と琉球の歴史をたどる2泊3日の旅を終えた。基礎知識取得のために、既読を含む6冊の書籍を出発前に読むつもりだったが、2冊残して出発当日を迎えた。

 羽田空港を8時に出発、那覇空港へ11時過ぎに到着。3日間の全行程をレンタカーにて移動。2泊とも宜野湾に面したホテル。

 第1日目は「ひめゆりの塔」「平和祈念公園」「斎場御嶽」を巡り、時間に多少の余裕があったので「糸数城」に寄った。

 

 「ひめゆりの塔」に近づくと他の多くの慰霊塔への案内が目に付いた。「ひめゆりの塔」は数多ある慰霊塔の一つ。この一帯は沖縄戦で一番の激戦地だったことを実感した。

 「ひめゆりの塔」は、旧南風原陸軍病院第3外科壕跡の上に建立された慰霊碑。名称は、看護活動のために動員された沖縄師範学校女子部と第一高等女学校の生徒で構成された「ひめゆり部隊」に因む。塔は小さなものだが、後方に名前を刻んだモニュメントが建立されている。左手に「ひめゆり平和祈念資料館」がある。

 アメリカ軍が迫るなか「ひめゆり部隊」に解散命令が出され、そのために砲撃の中を逃げ回り、多くの死者が出たと知った。「軍隊は、窮すれば多くの国民を守らない」と覚えておこう。「守るものは何か」を良く吟味したい。
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 「平和の礎」は、県営平和祈念公園内にある施設の一つ。海岸台地にあって、平和の広場から波が広がるように、国籍や軍人、民間人の区別なく、沖縄戦などで亡くなられたすべての人々の氏名を刻んだ石碑が連なる。刻まれた氏名は24万余。沖縄県出身者は昭和6年9月18日の満州事変から、沖縄県出身者以外は昭和19年3月22日の沖縄守備軍第32軍創設から、沖縄で降伏調印式のあった昭和20年9月7日から一年以内に亡くなられた方だそうだ。沖縄戦戦没者追悼のためと思っていたが範囲が少し広い。

 「平和の礎」とした経緯は追って調べたいが、24万余の数字に気が遠くなる思いがした。ちなみに、第二次世界大戦の日本人戦死者は約310万人と認識する。朝鮮・台湾出身者遺族の中には「日本軍関係者と同列にされたくない」と刻銘を拒否した人々もいたそうだが、その思いは理解できる。虐げられた人たちを含めての一億総懺悔に通じるものがあるように思う。
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 「斎場御嶽(セーファウタキ)」は、琉球王国最高の聖地。本来は男子禁制の場所、時を遡れば目の当たりにすることさえ適わなかった所。御嶽には6箇所の神域があり、中でも大庫理・寄満・三庫理は、首里城内にある建物や部屋と同じ名前を持ち、首里城と斎場御嶽との深い関わりを示しているとのこと。ウローカーという神域への道が崩れていて通行止めになっていた。帰宅後にネット検索したところ、自動車道からは行けるようで、興味ある方は調べてみては如何か。 

 原始信仰の聖地・神域は、場所だけ拝見しても単なる自然で深みは無いはずだが、何となく神秘的な感じに至るのは聖地ゆえか、矛盾した思いに至る。移動途中に池状の窪みがあったけれど、太平洋戦争の際の着弾跡だそうで、聖地を守ってきた人たちは、その時にどのような思いがしただろうか。沖縄は迫害の歴史の中にあると感じた。
 三庫理からイザイホーの久高島がうっすらと見えた。島に渡る計画も考えたが一日を費やしそうで今回は見送った。次の機会があれば、ぜひとも渡りたいと思っている。
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  「糸数城跡」に到着したのは17時に近かった。人一人いないのは時刻が遅いためと、観光地化していないためであろう。三山時代初期(14世紀)の築城らしいが、詳細は不明のようだ。

 城壁は野面積みと切石積み併用で構築されていた。見事に積み上がっていて、技術の高さが実感できた。城壁を少し上ったが、巾が狭く、途中からスロープが急になるので恐怖感を感じ、途中で引き返した。初めて見る城跡、琉球史の一端に触れる思いがした。後に、多くの城跡をみることになるのだが。
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   (2013年3月15日記録)

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