« さわやか横浜:媽祖祭行列(2013年3月20日) | トップページ | さわやか横浜:きょうの桜(2013年3月21日現在) »

2013年3月21日 (木)

演劇:MODE公演「城」 

  原作    フランツ・カフカ
  構成・演出 松本修
  音楽    斉藤ネコ
  振付    井出茂太

  出演    K(測量士) 笠木誠
        フリーダ   山田美佳 ほか

  会場    あうるすぽっと
  公演    2013年3月14日(木)~20日(水・祝)
  鑑賞    2011年3月17日(日) 13:00~15:55(休憩10分)
  参考    公式HP

 

 カフカの中・長編小説を読む契機は、「城」の観劇準備のためだった。と言っても今回は再演、その話は国立劇場における初演時のこと。

 「城」を観る契機は、松本修主宰のMODEに親近感を抱いていたから。この25年ほどの間、水切りする石のような感じでMODEに接してきた。垣間観たのは、チェーホフ、ベケット、はたまた近松。素朴な身体表現ながら、洗練された展開に粋を感じたし、親近感を抱かせた。

 再演までに8年。この間、カフカ原作のMODE公演は「失踪者」「審判」「変身(初演・再演)」などを重ねた。言わば、満を持していた、いやそんな気負いはないだろう。

 閑話休題、先に書いておく。2013年12月1日~17日、座・高円寺1にて「失踪者」「審判」「城」の一挙上演が予告されている。観るのも大変だけれど、この意欲的な取り組みを見逃す手はない。暇な身ではあるが、この間、他の予定は入れないようにしておこう。

 

 カフカの作品は難解だけれど、「城」がもっとも捉えどころがない。登場しない権力者クラム、クラムの愛人でもあるフリーダなどが名前を持つのに対して、主人公の測量士はKと記号化されている。

 深い雪の中、城に招かれてやってきたKは、泊まるところもなく、酒場の片隅で眠る。翌日、城を目指すが、城は見えるのに城へ通じる道が見つからない。何とか見つけた宿屋に戻ると一日は終わっている。そこへ、Kを追いかけてきた昔ながらという二人の測量助手が立っている。事実か虚実か判らないままに現実として受け留めるK。

 役者は一人何役もこなしながら23人が登場するが、初演時の出演者は3名のみ。K役の笠置誠、フリーダ役の山田美佳も今回初出演、集団創作で作り上げることを考えれば、今回も初演と言える。

 笠木は朴訥な演技、へたうまとも言える。始終、予想外の出来事が連続するこの物語を滑らかに演じられても興ざめで、私は充分に肯定できる。
 山田は上半身裸になってのKとの愛欲場面がある。若い女性としてつらいものもあるだろうが熱演。急速に燃えて急速に冷める、体制から逃れたいのに逃れられない立場の女性が見えた。

 舞台セットは、周囲を二階床が囲む立体構造になっている。ここを黒尽くめの秘書たちが埋めると、Kのみならず体制に監視される恐怖感が伝わった。二階床へ上がる階段や、床下の部屋のドアーを移動して場面転換するのも面白かった。

 面白いと言えば、場面転換に集団の奇妙な踊りが使われる。伝統的な演劇様式ならば何幕かになるこのストーリーをうまく展開する役目を帯びている。エスニック風な音楽も不思議な世界へ誘う大きな役割を果たした。

 

 100年前に書かれた小説が、今の社会を端的に捉えていることに驚愕する。MODEが如何にリアライゼーションするか、それが興味の焦点。そして、十分に納得させられた。12月の三部作一挙上演への期待が大きく膨らむ。原作を読み直しておこう。

   (2013年3月21日記録)

|

« さわやか横浜:媽祖祭行列(2013年3月20日) | トップページ | さわやか横浜:きょうの桜(2013年3月21日現在) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/180824/57005216

この記事へのトラックバック一覧です: 演劇:MODE公演「城」 :

« さわやか横浜:媽祖祭行列(2013年3月20日) | トップページ | さわやか横浜:きょうの桜(2013年3月21日現在) »