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2013年2月23日 (土)

美術:神奈川県立近代美術館葉山館 検証・二枚の西周像

  名称   美は甦る
       検証・二枚の西周像
         -高橋由一から松本竣介まで
  会場   神奈川県立近代美術館 葉山館
  会期   2013年1月26日(土)~3月24日(日) 、詳細は要確認
  鑑賞日  2013年1月21日(木)

  参考   公式ホームページ

 

 展覧会名称からは企画意図が少々判りにくいように思えるが、軸は二つ。「二枚の西周像に関する修復・調査の成果報告」と「収蔵品による日本洋画の変遷」。軸の交差するところが高橋由一。

 

 島根県津和野町立津和野郷土館に高橋由一作「西周像」がある。津和野町の太鼓谷稲荷神社で高橋由一作と考えられる「西周像」が新たに発見されたが、痛みが激しく、二枚が酷似することから、学芸スタッフが中心となって修復・比較検討調査を実施した。

 西周とは、明治維新前後に活躍した啓蒙思想家・教育者。西周からみて森鴎外は従兄弟の子。未読なれど森鴎外に「西周伝」あり、荷風が誦読するに最適と高く評価するとは、とある日本文学史からの受け売り。

 二枚の「西周像」は並べて展示される。素人目には同一作者と思える。良く見れば、髭や勲章を下げる紐、ステッキの房?の形に細かい差異がある。顔は、新発見が修復直後も関係するのか肌色がやや濃く、全体につややか。背後のカーテンも色が濃く暗い。ただ、それらは本質的なことではないだろう。

 調査結果の一端はCGによる解説がある。修復前の側面光投影で確認できる大きく波打つカンバス、透過画像による二枚の像の重ね合わせ。高橋由一と関係者間の手紙等の関係資料展示もある。新発見の「西周像」が高橋由一作と断定されていないけれど、日本洋画史の最上流に位置づけられることは確かだろう。誰かの模写としても、日本洋画を切り開こうとした力の存在は感じられる。

 多くの客を呼ぶ派手な企画ではないが、美術館の底力を垣間見せられるようで興味深い。そういう所にもっと注目して良いと思った。

 

 「高橋由一から松本竣介まで」は、収蔵する日本洋画作品を、黎明期から戦中までの時の流れに沿って展示するもの。作品リストが無かったので、思い出す範囲で浅井忠、高橋源吉、黒田清輝、萬鉄五郎、佐伯祐三、岸田劉生、村山知義、古賀春江、藤田嗣治。高橋由一「江ノ島図」、松本竣介「立てる像」など、昨年の大々的な個人展で見たばかりだ。
 印象的な作品に関根正二「少年」、見つめるのは手に持った花か、さらに遠くの見えないものか。この作品を初めて観た時から、ジョー・オダネルの一枚の写真と切り離せなくなっている。

 日本の近代洋画史を概観する思いがする。それにしても収蔵品は充実していると感じる。日本初の公立近代美術館として活動してきた成果だろう。

 

 小企画「石巻文化センター所蔵作品の東日本大震災による被災美術品の修復報告」を併催、大震災のあまり気付かれない傷跡を目の当たりに出来る。
 そして、「アントニー・ゴームリー 彫刻プロジェクトIN 葉山 TWO TIMES -ふたつの時間」は3月3日まで。半年ほど海風にさらされてさびが進んだ。
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   (2013年2月22日記録)

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