音楽:神奈川フィル第286回定期演奏会
指揮 下野竜也
独奏 三澤徹(トランペット)
演奏 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
曲目 ニコライ :歌劇「ウィンザーの陽気な女房たち」序曲
ハイドン :トランペット協奏曲変ホ長調
ブラームス(シェーンベルク編曲)
:ピアノ四重奏曲第1番ト短調
会場 横浜みなとみらいホール(1階13列22番)
公演 2013年1月25日17:00~20:50(休憩20分)
コンサートに出かけるのは楽しむためだから、プログラムを見て敬遠したくなることはある。選り好みであったとしても。
今夜はちょっと敬遠したくなる組み合わせだけれど、定期会員になった以上は出かける責務がある。と、それほど堅い意思でもないが。逆に言えば、選り好みを避ける意味で定期会員になった一面がある。
閑話休題、「ニコライ」。この題名でウィキペディアを検索すると、シェイクスピアの同名の喜劇が先にヒットする。この曲は、それをテキストにしたオペラの序曲。残念ながら喜劇もオペラもまだ観ていないけれど、曲から、演奏から、指揮者の動きから、何か含み笑いしそうな雰囲気が漂ってきた。何よりオペラ・演劇へ誘われる思い、そういう楽しさがが伝わる演奏だった。
「ハイドン」。ソロの三澤は神フィルの首席、出だしはちょっと緊張している様子が伝わったきた。仲間がバックだったからだろうか。
トランペットが明るい音色だし、曲も凱旋を思わせるような雰囲気があるし、新年を寿ぐ雰囲気が存分に漂い、まず楽しい。外部からソリストに迎えるのも良いけれど、仲間内からソリストを出すのも、多少語弊のある言い方になるけれど、一体感が感じられて楽しかった。こういう機会が時々あるけれど、良いことだと思う。
「ブラームス」と「シェーンベルク」、生みの親と育ての親がいるようなこの曲は、やさしい性格の子が、勇気と力強さを兼ね備えて成長したようだ。育ての親の影響が大きい、すなわちオーケストレーションの妙。神フィルの弦の美しい繊細さと管の煌びやかさが余すところなく引き出さた。4楽章の途中、第2が遅れて弾きだすけど弦のトップによる四重奏の形が現れる。生みの親が思い出される瞬間だし、神フィルの核が確認できた。
プログラムは、前半で祝祭の雰囲気を醸し出し、後半で神フィルの実力をさらけ出して、新年をスタートするととらえた。下野の紡ぎ出す音楽は、オーケストラとともに、厳しくも楽しさが付いて回っていると感じられる。
終えてみれば大いに楽しめた、2013年初の神フィルの定期だった。だから選り好みしてはいけないということか。
クラッシクコンサートを敬遠している方も、音のシャワーを浴びてしまえば結構楽しいから、今年こそ最初の一歩と言わず、二歩三歩、を踏み出しては如何でしょうか。
(2013年1月27日記録)
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