« 音楽:「小林道夫チェンバロ演奏会」 | トップページ | 舞踊:神奈川芸術劇場『中国の不思議な役人』アフタートーク (長文) »

2012年12月28日 (金)

舞踊:神奈川芸術劇場『中国の不思議な役人』 (やや長文)

  1.『solo for 2』(20分)
    演出振付 金森穣
    音楽   J.S.バッハ<無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ>より
    椅子   須長檀
    出演   Noism1

  2.『中国の不思議な役人』(30分)
   演出振付 金森穣
   音楽    B.バルトーク
   出演    Noism1+Noism2
          養子の娼婦(ミミ)  :井関佐和子
          役人形(役人)    :中川賢
          役人形の黒子     :宮原由紀夫
          ミミの養父(悪党3) :宮河愛一朗
          ミミの用祖母(悪党2):藤井泉
          ミミの義妹(悪党1) :真下恵

  3.アフタートーク
   出演    篠山紀信(写真家)
          金森穣

  会場     神奈川芸術劇場ホール
  公演     2012年12月25日(火)・26日(水)、詳細要確認
  鑑賞     2012年12月25日(火) 19:00~20:10(休憩20分)
  参考     Noism 公式HP

 

1.『solo for 2』

 「NHKバレエの饗宴 2012」招待作品で、当日上演の全6作品がTV放映された。プログラムは、広義のクラシック・バレーが5作品と『solo for 2』。

 『solo for 2』はひときわ異彩を放っていた。それはプログラムの妙でない。跳躍・回転を主体にするクラシック・バレーとは異なり、少しでも遠くへ、少しでも高くへ、身体を躍動させるコンテンポラリー・ダンスの表現方法によるものだ。それが目の前で展開すれば、驚きを通り越して畏怖の念さえ抱く。おじさんだって、一度は客席に身を置いて体験すれば新しい世界が開けるだろう。

 上演順に、第1番 Srabande(duet)、第2番 Allmende(duet)、第1番 Corrente(duet)、第2番 Corrente(duet)、第1番 Allmende(duet×2)、第2番 Srabande(solo)。形式は舞曲だけれど、踊ることが想定されていただろうか。第1番・第2番から選曲だけれど、前後半で対象に配置されている。

 片足の短い椅子、不安定な椅子にダンサーは座っている。人が座れなければでなく、座らなければ役に立たない椅子。順に立ち上がって踊り、退場する。
 トップの井関佐和子は第2番 Allmendeを踊ってから椅子に座りなおし、最後の第2番 Srabandeも踊る。以前、静岡芸術劇場の歌劇「椿姫」に挿入されたダンスで、シャープな表現を感じた。しかし、自前のプログラム、より舞台に近い場所で観て、一層シャープでコントロールされた動きを感じた。井関はルードラ・ベジャール・ローザンヌなどの経歴を持つ。

 物語性の無い身体表現に畏怖の念さえ感じるのはなぜだろうか。トップ・アスリートから受ける印象に近い。理屈などいらないかも知れない。でも、少しは理屈を極めたいと思っているのだが。

 

2.『中国の不思議な役人』

 初演時に物議を醸したそうだが、退廃的なストーリーがある。ダンサーたちの有能さは既に認識している。特筆すべきは、演出だ。

 黒尽くめの舞台。ダンサーは黒い衣装、すなわち黒子、で整列する。舞台中央に低い大き目のテーブルが置かれる。やがて主要人物の上物が剥がされて、無彩色から有彩色の世界に変わる。ミミの養父はテーブルの下から這いずり出してどてらを羽織り、石川五右衛門を思わせる。歌舞伎が意識されているのだろう。鮮やかな始まりだ。

 役人は役人形と案内されているように、人形振りで表現される。中川賢の表現は実に雄大で鋭く、度肝を抜かれた。まさに「中国の不思議な役人」。

 刺された役人が吊るし首にされると、天井からいくつも吊るされて、束ねられていたシャンデリア風のランプが解き放されて、ゆっくりと揺れる。不安定な状態が表現されて、視覚的にも印象的だ。

 中国を題材にした西洋音楽に、日本の伝統様式美をミックスした演出に何の違和感も感じない。と言うより引き込まれてしまう。金森もまた、ルードラ・ベジャール・ローザンヌなどの経歴を持つ。才能ある若者に、世界は広くないと感じた。

 

3.アフタートーク

 篠山・金森のトークは興味深かった。簡単なメモを取ったが、要旨は追って掲載する

 

 終演後のロビーで、金森と懇談している鈴木忠志を見かけた。「椿姫」などを通して、近い関係にあるのかもしれない。

   (2012年12月28日記録)

|

« 音楽:「小林道夫チェンバロ演奏会」 | トップページ | 舞踊:神奈川芸術劇場『中国の不思議な役人』アフタートーク (長文) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/180824/56411177

この記事へのトラックバック一覧です: 舞踊:神奈川芸術劇場『中国の不思議な役人』 (やや長文):

« 音楽:「小林道夫チェンバロ演奏会」 | トップページ | 舞踊:神奈川芸術劇場『中国の不思議な役人』アフタートーク (長文) »