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2012年12月16日 (日)

随想:この人・百話一芸 第19回「常磐津英寿」

 2012年12月15日14時~15時40分、第19回横浜能楽堂講座「この人・百話一芸」。ゲストは常磐津三味線で重要無形文化財保持者(人間国宝)の常磐津永寿、「古き礎の上に新しきぞ建つ」が座右の銘。

 「この人・百話一芸」は好企画。毎回のゲストをほとんど知らないけれど、修行を重ねた人の話は味わい深い。聞き手・進行の元NHKアナウンサー・葛西聖司の深い知識と話芸にも感心する。

 

 登場時、「木挽町」の声が掛かる。縁もゆかりもないけれど味わい深い響き、木挽き職人が多く住んだ町と想像できる。現在の東京・歌舞伎座周辺、常磐津英寿はそこに生まれ住む。

 演奏家・作曲家。NHK・FM放送番組「邦楽のひととき」のテーマ曲も作曲した。昨年、パートを増やした。作曲当時のままで演奏しているのではない。

 写真を投影しながら。小学生の頃、野球している時に稽古に呼び出されるのが辛かった。突き指して稽古の出来ないことがあって、野球禁止に。昭和20年5月、空襲で家が焼けた(まだ煙が出ている写真)。父(3代目常磐津文字兵衛)がカメラ好きで、ライカを持って逃げた。

 (花柳)寿南海代表作「我輩は猫である」は、奥さん(鈴木好恵作詞、四世常磐津文字兵衛(英寿)作曲)が作った。

 兄がいたが、膝が悪くて正座できない。今なら椅子に座って山台で隠すことも出来るだろうが、当時は正座が出来なくては駄目だった。そこで自分が跡取りに。兄は結核で25才で亡くなった。自分も結核を10年近く患い、多くの病気もした。昭和26年に歌舞伎座、演奏していないが作曲を。三味線は叔父・甥から習い、父からは何も。

 自動車が好きで、周りからやめろと言われるが、今でも近所なら運転している。

 「五つの楽器のための~」のスコア(五線譜に)写真。350曲ぐらい作曲している。

 85才になるが、病弱で何度もこれで終わりかと思ったことがあった。

 

 一芸として、常磐津「夕月船頭」「乗合船」より。弾き語りが常磐津英寿、上調子が常磐津孝野。

 「夕月船頭」。四世市川小団次が、江戸の芝居に出演した際に大阪土産として演じた曲で、夕月の中、淀川を伏見に下る船頭の様子を語る。最初に江戸・隅田川の賑やかな様子が描写され、淀川に移ってゆったりした様子、最後にまた江戸に戻る。それらが解説付きで弾き語りされた。

 「乗合船」。隅田川の渡し舟を宝船に、乗り合わせた七人を七福神に見立てた、おめでたい曲、とのこと。

 

 語りは余技、演奏の理解などできるものでもないが、興味はある。文楽の太棹も良いけど、中棹の三味線の音色も味わいがある。と言うより、一芸に秀でた人の技芸は何にも味わいがある、というのが正しい受け止め方だろう。

   (2012年12月16日記録)

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