« 美術:奈良国立博物館「正倉院展」 | トップページ | 美術:横尾忠則現代美術館「反反復復反復」展 »

2012年11月17日 (土)

美術:「エル・グレコ展」

  名称   エル・グレコ展
  会場   国立国際美術館(大阪市)
  会期   2012年10月16日(火)~12月24日(月・休) 、詳細要確認
  鑑賞日  2012年11月 8日(木)
  参考   公式ホームページ

 

 国内のエル・グレコの作品は、大原美術館『受胎告知』、国立西洋美術館『十字架のキリスト』がある。
 エル・グレコ展は東京に巡回するが、関西旅行に組み込み、過日、鑑賞した。展示作品はテンペラ数点を含む51点。一部で客が二重に取り囲むことはあったが、鑑賞を妨げにもならず堪能した。国内で接する機会の少ないエル・グレコ、ファンならずとも見逃す手はない。

 

 作品は次のように大別してある。
   Ⅰ-1 肖像画家エル・グレコ
   Ⅰ-2 肖像画としての聖人像
   Ⅰ-3 見えるものと見えないもの
   Ⅱ  クレタからイタリア、そしてスペインへ
   Ⅲ  トレドでの宗教画:説話と祈り
   Ⅳ  近代芸術家エル・グレコの祭壇画:建築家として
 ここで“建築家として”とは、画を据え付ける祭壇の構成にまで配慮を巡らせるとの意味合い。最高の傑作と言われる『無原罪のお宿り』は高さ347Cm・幅174Cmもある。据え付け位置で印象が異なることは想像に難くない。

 エル・グレコは通称、本名はドメニコス・テオトコプーロス。
 生まれは現ギリシャのクレタ島、イコン画などを描いていたが20代半ばでベネッツィアへ。そこで、明るい色彩の表現に衝撃を受け、ティツィアーの工房などでイタリア絵画を学ぶ。数年後にローマへ。そこではラファエロやミケランジェロが活躍、エル・グレコもローマ随一のパトロンの宮殿に住むことになった。理由は定かでないが30代半ばにはマドリードに居住した記録が残る。と言うのが、大雑把に調べた人生前半の動向。
 明るい色彩、強めのコントラスト、大胆なタッチ、大振りな身体表現などの背景と感じられる。

 どの作品も興味深い。ステレオタイプと思えるような肖像画も、実は奥深い。Ⅰ-1に分類される『ディエゴ・デ・コバルピアースの肖像』、参考出品されているサンチェス・コエーリョ・アロンソの同名の作品と比べると良く判る。

 ほぼ最後の展示が『無原罪のお宿り』。上方に向かって揺らぐ構図、大胆にして鮮やかなドレープの描き方など、特徴が良く判る。
 上中央に聖母マリア、下半身が異様に長い。下右には花・蛇・鏡などマリアの象徴、下左にはトレドの街並が小さく描かれる。中間に描かれる天使達は、やはり下半身が長い。天子の羽は強引な感じ、特に左の天子の羽は側面から描かれており、一目見たときは黒い棒の様に思えた。
 気になったのが天使の足先の形、唐突だが『舟越保武・日本二十六聖人記念碑』の聖人の足が思い浮かんだ。浮遊する時の足先は垂れ下がるのだろう。小さく描かれたトレドの街並を思い合わせると、急速に天に向かって上昇しているとも思えた。下半身の長いのはそのためか、単なる思い付きだけど。

 

 先日、北方ルネッサンスからオーストリア・分離派に至る絵画史の講義を聴いた。スペインは含まず、咀嚼もできていないけれど、多少は画を探る契機になった。それもあって、『エル・グレコ展』は興味深かった。東京巡回の折に、再度、噛み締めたい。

   (2012年11月16日記録)

|

« 美術:奈良国立博物館「正倉院展」 | トップページ | 美術:横尾忠則現代美術館「反反復復反復」展 »

コメント

東京に来たら是非行こうと思います。
若い時にエル・グレコを追ってスペインに行ったのを思い出します。
大原美術館で「受胎告知」に感動したからなのですが、
トレドの街をその日の宿を求めてさすらったのが懐かしいです。

投稿: strauss | 2012年11月18日 (日) 23時52分

 情熱的な体験ですね、絵に惹かれてスペインまで出かけるなんて。
 テーマで大別された展示作品を観て大いなる感動を味わいましたが、
でも、本来あるべき場所で見たら一層素晴らしいと思いました。私は
不慣れなので国外に出かけることは無いと思いますが、東京に巡回し
ているうちに、もう一度、出かけるつもりにしています。

投稿: F3 | 2012年11月19日 (月) 18時09分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/180824/56131501

この記事へのトラックバック一覧です: 美術:「エル・グレコ展」:

« 美術:奈良国立博物館「正倉院展」 | トップページ | 美術:横尾忠則現代美術館「反反復復反復」展 »