美術:奈良国立博物館「正倉院展」
名称 第64回正倉院展
会場 奈良国立博物館
会期 2012年10月27日(土)~11月12日(月) 、終了
鑑賞日 2012年11月 7日(水)
博物館企画展が風物詩になっているのも珍しい。第64回正倉院展に出かけた。
関西在住の時は欠かさず出かけたが、離れると疎遠になる。横浜に戻ってからは初めて。おそらく7・8年ぶり、通算10回目くらい。何が面白いか、千年余を経た現実が目の前に展開することか。
博物館脇の遊歩道のテント列は、会場の新館から本館裏手まで100m以上。入場を待つ人がそこに並ぶ。列に付いた時は1時間待ちの案内で、テント列の半分より前だった。実際は30分ほどで入場できた。
今年は初出陳9件を含む総計64件、聖武天皇ゆかりの宝物が収めらる北倉(正倉院は一棟だが三分割されている)からの出陳が例年より多いそうだ。初出陳を確認できないが、以前観たものでも記憶にないものは多い。(写真は正倉院全景、第64回正倉院展図録より引用、以下の写真も同様)
週日にも関わらず大混雑。案内員が声を高めて「空いているところから見学して下さい」って、デパートの催事じゃない。過去10回のうちで一番過混雑していると感じた。
独立した展示ケースに列を作っていたのが『螺鈿紫檀枇杷』。表面全面に、鳳凰などの螺鈿細工が施されている。見事としか言い様がない。螺鈿の鳳凰の顔立ちが愛嬌味を帯びている。
もう一つ、列を作っていたのが『瑠璃杯』。紺色のワイングラス状。完成直後のような鮮やかさ。周囲の三段の同色のガラス環がしゃれている。大きく見えるが、口径8.6Cm、高さ11.2Cmで、ワイングラスなら普通サイズ。童謡に「瑠璃や真珠の飾り窓」とあるが、ガラスは美しさの象徴。権力の象徴でもあっただろう。
『木画紫檀双六局(双六盤)』は象牙や木材で細工した模様が美しく、『密陀彩絵箱』は模様を描く色彩のグラデーションが美しい。指物の類の他の御物は、どれを見ても技に惚れ惚れする。
金属器はしゃれたデザインの物が多いが往時の輝きは失い、布製品は痛み・退色の目立つ物が多い。しかし、往時の輝きを想像すれば楽しい。
文書類は、簡単な説明はあっても理解困難なのことが残念。面白いことも書いてありそうに思う。
見事な展示品を目の当りにする興奮がある。また訪れる機会があるだろうけど、混雑で展示品を良く観られないのでは出向く甲斐がないとも思う。私も多くの中の一人だから何も言えないけど。
周囲の古社寺を巡る方が実り多いかとも思う。最近は琵琶湖周辺、近江の古社寺に惹かれることが多い。
(2012年11月14日記録)
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