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2012年11月25日 (日)

音楽:神奈川フィル第285回定期演奏会

  指揮  金聖響

  独奏  ゲルハルト・オビッツ(Pf)

  演奏  神奈川フィルハーモニー管弦楽団

  曲目  ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5変ホ長調「皇帝」
      R.シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」

  会場  横浜みなとみらいホール(1階13列22番)
  公演  2012年11月23日14:00~16:00(休憩20分)

 

 前回定期は欠席、その間にインバル・都響のマーラー1~3番を聴いた。だから神奈川フィルはどう響くか楽しみだった。秋の夜長ではないけど、静かな曲を聞きたいなどと思いながら会場に向かった。

 予定時刻にメンバーが登場、静かな拍手が沸き起こり、最後のコンサート・マスター登場で一際高まって鎮まる。他のオーケストラを良く知らないけど、神奈川フィル特有か。良い習慣だ。

 

 「皇帝」。ゲルハルト・オビッツの名前は知るも、演奏に接するのは初めて。華麗な演奏歴、豪快にピアノを弾きまくるかと思っていた。

 オーケストラが和音を強奏、すぐにピアノのカデンツァ。豪快の印象はなく、むしろ穏やか。かといって弱々しいわけでもなし。

 最初のカデンツァが終わってヴィオリンが第1主題を演奏、神フィルはやはり繊細で渋い、いぶし銀の響き。ソリストとの相性は良い。「皇帝」に抱くイメージを突き破る予感。

 両者が相俟って美しい演奏が紡ぎだされた。豪快、華麗な印象の強い曲だけど、もちろん華麗さが無くは無いけれど、絵の具で言えばアクリルカラーの鮮やかさでなく、日本の伝統色の渋さ。好みもあるだろうけど、私は好き。
 第2楽章のピアノと弦の絡みなど、その最たるもの。慈悲深い「皇帝」、音楽を聴く喜び。切れ目無く第3楽章、幸せな気分のままに。

 目に付いたのが右端に据えられたバロック・ティンパニー、終えてみれば良くマッチしていた。
 ゲルハルト・オビッツは4回呼び出された。そのたびにオーケストラを祝福、人柄が滲み出ているようだ。ソロや室内楽を聴きたいと思った。

 

 「英雄の生涯」。録音も含めてR.シュトラウスを聴く機会が少ないので、あまり曲に対する印象は持っていない。CDを聴いて予習して出かけるべきだが、なかなか実現しない。

 演奏は聴き所が多い。まずはソロ・コンサートマスターのソロ、ホルン、一旦は舞台袖に下がって演奏するトランペット、コールアングレ、パーカッション。厚みを増した弦は言わずもがな。都響を3公演聴いた後の神奈川フィル、やはり固有の響きを感じた。短くいえば、芯のある繊細さ、かな。愛すべきオーケストラ。

 演奏を終えて数秒間、会場を静寂が支配した。金聖響が手を下ろさなかったこともあるだろうけれど、それに答えた客も少しづつ勉強している(不遜な表現ならごめんなさい)。静寂もまた、演奏者たちへの賛辞。

 

 「2013-14シーズンの定期演奏会」ラインアップのチラシが挟まっていた。もう、そんな時期だ。
 最後が「マーラー・第6番・悲劇的」。東日本大震災発生の翌日、埋まらない客席に向かって、金聖響が「我々ができることは音楽しかない。精一杯演奏する」と挨拶してから演奏された曲だ。聴けなかった方に向けてのプログラムと想像する。それにしても1年半を過ぎて、この国の政治は被害を受けた方々へ寄り添っているだろうか。悔いのない投票を心がけよう。

   (2012年11月25日記録)

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