美術:三井記念美術館 「近江路の神と仏」
名称 特別展「琵琶湖をめぐる 近江路の神と仏 名宝展」
会場 三井記念美術館(東京日本橋)
会期 2012年 9月 8日(土)~11月25日(日) 、詳細は要確認
鑑賞日 2012年10月 8日(月・祝)
参考 公式ホームページ
三井記念美術館を訪れるのは初めて。展示面積はそれほど広くはないが、それでも作品をじっくり観れば軽い疲労感を覚える。祝日のためか客は多かったが、人の頭越しに観るほどでもなかった。
高月の渡岸寺、膳所の義仲寺は何回も訪れた。園城寺、石山寺、日吉大社、延暦寺などにも足を向けている。それらの一部名宝と、さらに広範な社寺からの名宝が展示されている。
第1室 小金銅仏・金工品
第2室 金工品
第3室 広重の近江八景の写真展示
第4室 仏像・神像
第5室 絵巻・経巻・神像
第6室 パネル展示
第7室 仏画・垂迹画
第1室。「誕生釈迦仏立像(善水寺)」はふくやか、おおらか。「金銀鍍透彫華籠(神照寺)」「金銅透彫華鬘(長命寺)」などの精巧さ・美しさ。
第2室。「金銅経箱(延暦寺)」のみを展示。華紋の繊細さが何となく判るが、次の機会までに単眼鏡を用意しよう。
製作用工具・治具は今よりはるかに拙劣の筈なのに何とも見事。確かな職人技だが、金も時間もかかっているだろう。権力者と庶民の関係も伺えそう。
第4室。3面が展示ケース、高さに制約はあるが、わりと間隔をつめた展示が圧巻。
琵琶湖周辺と十一面観音が結びつくけど、長福寺・飯道寺・円満寺・櫟野寺から。地蔵菩薩も同様、東南寺・永昌寺・長命寺から。全体的に平安時代の重文指定の像が多い。各々に味わい深いが、これだけ並ぶと頭の中が混乱。
第7室。難しい分野だが、「弥陀三尊二十五菩薩来迎図(安楽律院)」の逆くの字に配置された仏のデザインはユニーク、「涅槃像(長命寺)」の嘆き悲しむ諸仏は華麗。
「これやこの行くも帰るも別れては 知るも知らぬも逢坂の関 蝉丸」。京都から一山越えると雰囲気は随分変わる。それでも石山寺や園城寺などは、まだ京都か。琵琶湖の西岸でも東岸でも北上すれば鄙びた世界に変わる。数少ない体験だから的を射ているかは定かでない。改めて、随分と多くの社寺が点在することを認識した。
京都を金に例えれば、琵琶湖周辺は銀か、それもいぶした銀。のんびりと巡ってみたいものだ。あわせて湖上から眺める海津大崎の桜も見たいし、叡山回峰行の極めて一部でも間近に接してみたい。交通不便で自動車利用が前提になりそうだが、所定めて山に分け入りたい。
そのような思いを沸き立たせる特別展だった。
(2012年10月14日記録)
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