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2012年6月26日 (火)

美術:東京芸大美術館「高橋由一展」

  名称   近代洋画の開拓者 高橋由一
  会場   東京芸術大学大学美術館
  会期   2012年4月26日(土)~6月24日(日) 、会期終了
  鑑賞日  2012年6月23日(土)

  参考   山形美術館、京都国立近代美術館に巡回、詳細は公式HPで。

 
 興味二つ。「鮭」など高名作品の鑑賞と、近代洋画の開拓者の足跡の確認。

 鮭と言えば高橋由一、「鮭」が三匹(枚)を並んで展示されていた。中央に芸大所蔵・重文指定の「鮭」、他の二枚より色調が明るく、丁寧に仕上がっている。皮のぶよぶよした感じ、皺のより具合などリアル。サイズも140.0Cm高×46.5Cm巾とかなり大きい。床の間へのおさまりも良さそうだが、意図したかは判らない。何故挽き付けられるのか。教科書の図版がスタンピングされているのは確か。ユニークさもあるし、モティーフの身近さも魅力。

 「花魁」は、華やかさに隠れた陰の部分を突きつけられるようで、恐らく5回ほど観ているが、今回もぞっとした。鼈甲のかんざしで装った頭髪、その割りに肩に乱れた毛の束が懸かったりしてリアル、美人画の系譜に属しない美人画と思う。

 「丁髷姿の自我像」は、最初の展示。油彩自我像に丁髷姿を留めた。ぎょろっとした眼、少し突き出た口、削げた頬、武士らしい面構え。明治直前、つまり慶応時代に描かれた、恐らく最初の油彩画。そういう意味の感動もある。

 

 全体を6区分で展示。「プロローグ」には、「丁髷姿の自我像」、高橋の肖像写真など。
 「1.油絵以前」には、紙などに彩色、墨で描いた作品。「ヒポクラテス像」など、世界の風を感じさせる。
 「2.人物画・歴史画」には、「花魁」を含む肖像画が多い。肖像画の様式なども必至に取り込んでいたのだろう。
 「3.名所画風景」には、横浜美術館蔵「愛宕山より品川沖を望む」が。これを観ると、130年ほど過ぎた現在の様子と思わず比較してしまう。洋画の系譜と、画に留められた往時の風景の二つの面白さが迫ってくる。
 「4.静物画」には、三枚の「鮭」が。豆腐・焼き豆腐・油揚げをモティーフにした「豆腐」は、質感を描き分けて興味深い。何でも描く旺盛な意欲も感じられた。
 「5.東北風景画」には、肖像画や旅行途中のスケッチが多い。スケッチは「3.名所風景画」と同様、古き日本を留めて郷愁が感じた。東北地方にさして縁はないが。

 

 高橋由一の個人展を初めて観た。注文制作の肖像画なとを含め、身近なものを何でも描いた印象が残った。開拓者の意気込みも感じられた。作者のオリジナリティは濃くないと思えるが、描くこと自体がオリジナリティと思えた。薄塗りの作品に、画材入手の苦労も何となく感じられた。充実の企画展。

   (2012年6月25日記録)

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