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2012年5月 2日 (水)

美術:平塚市美術館「棟方志功展」「木下晋展」

  名称   市制80周年記念 棟方志功展
       木下晋展 祈りの心
  会場   平塚市美術館
  会期   棟方志功展 2012年4月14日(土)~6月 3日(日)
       木下晋展  2012年4月21日(土)~6月10日(日)
  鑑賞日  2012年4月30日(月)

  参考   公式ホームページ

 

 「棟方志功展」は、青森県立美術館・棟方志功記念館・棟方版画館の所蔵品で構成。若き日の油彩作品が数点、紙に描かれた絵が数点、後は版画で、計55点が展示されています。

 一番多く観た作家で最近は感慨が薄い。いつ観ても良いと思うのは「二菩薩釈迦十大弟子」、六曲一双の屏風仕立て。窮屈な形で版木に治まる十大弟子が愛らしく、白と黒のバランスも美しい。三十代半ばの貧乏だった頃の作品。

 気になったのが「丸紋百花譜」という四曲一双の屏風仕立ての絵、絵にあまり興味を感じなかったのですが、隅に「依躅飛々沫技法」と書かれていたことです。富山県福光にある真宗寺院光徳寺の山号が躅飛山、この寺には棟方志功の襖絵などもあって、ここから取られたと気付きますが、制作時期と疎開の時期が合わない。単に疎開前にも行ったということだけのようでした。

 人気があるでしょうし、これからも観る機会は多いと思います。

 

 「木下晋展」は、観終えて打ちのめされた思いがしました。

 木下晋は今回で三回目。最初は直島スタンダード展、民家の奥に飾られていて、遠めに写真と思った記憶が残ります。10H~10Bの鉛筆で紙に描かれた作品、鉛筆と紙ならば大抵はエスキースと思いますが、ちょっと見には写真と思える繊細さで仕上がっています。

 その手法が何と出会うかですが、木下晋は市井に生きる人、社会の隅で生きざるを得なかった人に向かいます。最後の瞽女と言われた小林ハル、谷崎潤一郎「痴人の愛」のモデル和嶋せい、元ハンセン病患者の詩人桜井哲夫、木下の母など。

 副題の「祈りの心」は、全作品に通じる深奥な意味合いが篭もっているのですが、永年温めてきた「合掌図」に新作が加わって、これもじっくり観るに値します。合掌図は両の手を合わせた手首から先を作品にしています。合わせた手のちょっとした左右のずれ、かけた爪、老若の差。新しい作品は、東日本大震災を目の当たりにしたことが制作のきっかけです。

 他に湯殿山中注蓮寺の天井画「天空之扉下絵」とエスキース。

 鉛筆に紙の作品といえば誰にも大方の想像はつくでしょうが、一度その前に立てば、想像を絶する思いに叩きのめされると思います。木下晋のオリジナリティと、社会の隅に光をあてるその性根に脱帽でした。

 写真は直島スタンダード展(2001年9月4日~12月16日)カタログより、インパクトありました。
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   (2012年5月2日記録)

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