音楽:ル・ポエム・アルモニーク「ヴェネッツィア~謝肉祭の街のざわめき」
演奏 ル・ポエム・アルモニーク
曲目 C.モンテヴェルディ:眠っていても
B.マリーニ :ソナタ第3番
C.モンテヴェルディ:ニンフの哀歌
F.マネッリ :ベルガマスカ・舟の客人たち
B.フェラーリ :愛を知らぬ者は
熱情に焦がされて
作者不詳 :井戸で会った娘たち
F.マネッリ :カンツォネッタ・心をくすぐる眼差し
ハカラ(ナポリ風アリア)
チャコーナ。わが心は燃え
会場 神奈川県立音楽堂(20列17番)
公演 2012年5月26日15:00~16:30
ル・ポエム・アルモニークの演奏会は初めて。というより、バロック初期の世俗音楽を聴いた経験がなく、あたって砕けろ的な思いでチケットを購入しました。会場が音楽堂(私の中で音楽堂と言えば、神奈川県立です)、その主催公演であることも影響しています。
ル・ポエム・アルモニークはフランスの古楽アンサンブル、演奏内容により編成が変わるようです。当日は歌手4人、奏者6人の編成。
歌手は、ソプラノ、テノール×2、バス。奏者は、ヴァイオリン、リローネ、ヴィオローネ、コラシオーネ、テオルボ、パーカッション、持ち替えでバロック・ギター。ヴィーオール系の楽器は膝に挟んで演奏しましたが、時にギターのように弾きました。
舞台照明を落とし、中央後方に置かれた一対の燭台で明かるさを確保。上手・下手の奥の衝立は出番でない歌手は隠れました。衣装は上下黒のシャツ姿、女性歌手のみがくすんだ赤のシンプルなドレス。陰翳礼賛を感じました。
歌手は簡単なジェスチャーを付けて歌います。曲は一覧で判るように、コンサートのテーマに沿って選ばれたもの。曲ごとに歌手の組合せが変わります。配布資料の言葉を借りれば『“虚構と現実”と“現実と妄想”の間を絶えず行き来』、『暗示と寓意、裏表二重の意味がいっぱい詰まっている』ですが、深い理解は得られませんでした。ベースがないので当然ですが。
それでも楽しく親しみを覚えたのは、ヴィブラートの無い、素直で飾らない唱法です。オペラ歌手のように技巧的な、あるいは内面を大いに表出する唱法でなく、グレゴリア聖歌のように限りない透明感を感じるわけでもありません。新鮮な思いがします。街場の音楽、ヴェネッツィアのざわめきが聞こえるようだ、との思いを伝えようとしただけです。
『舟の客人たち』は、日本風に言えば「舟がでるぞー」という掛け声で始まる楽しい曲、『愛を知らぬ者は』『情熱に焦がされて』は恋の苦しさを歌う曲。歌詞が舞台後方に投影されるので、大意が判ります。間奏曲のように演奏される『ソナタ第3番』、古楽器の音色がとても好きですが、今回のように名前をはじめて聴く楽器は、まだ音色が定かでありません。
古学は学究的な印象があります。聴き込めば楽しさが増えるでしょうけど。皆さんもそう思うのでしょうか、客の入りは7割弱でした。もっと客の入ってよいコンサートと思いましたけど。
(2012年5月31日記録)
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