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2012年4月26日 (木)

演劇:チェルフィッチュ『現在地』

  作・演出 岡田利規

  出演   山崎ルキノ、佐々木幸子、伊藤沙保、
       南波圭、安藤真理、青柳いづみ、上村梓

  会場   神奈川芸術劇場・大スタジオ
  公演   2012年4月20日(金)~30日(月)、詳細要確認
  鑑賞   2012年4月23日(火) 19:30~21:15(休憩なし)
  参考   公式HP

 

 チェルフィッチュを観るのは五作目。初めて観た『フリータイム』は途中退場が頭を過ぎるほど、こんなのありえないと思いました。思いとどまったのは、観客席が舞台を両側から挟むような構造でこっそり抜け出せなかったから。でも、その後も観続けるのはどこか気になる所があるからでしょう。作・演出の岡田は団塊ジュニア世代、私は団塊世代ですから、考えの隔たりは不思議でありません。

 

 『現在地』は「普通のお芝居」を目指して創られたとの本人の弁。契機は2011年3月11日、震災と福島第一原発事故によってすっかり変わってしまった日常だそうです。

 「普通のお芝居」とは何か。大きな所は、キュウビスティックな表現から現代口語演劇への移行、それが卵か鶏かは判りませんが。そして出演者7名、全て女性ですが、の役の固定に繋がる訳です。SF仕立ての内容も今回の特色の一つでしょう。

 舞台は会議室のような殺風景な空間。プロセニアムアーチを思わせる構造物が前面に、下手奥に柱、上手・下手に沿って机とパイプ椅子が数セットづつ置かれます。コーヒーカップを片手にした役者が出て来て椅子に座り上演開始。一人であったり数人であったり、交互に奥の柱周辺の空きスペースに出て行って語ります。語りといったのは、極端に身体表現が稀薄だからです。現代口語演劇というのは少々矛盾、ドラマ・リーディングに近い気もしました。

 ある日、村の上空に出現した大きな雲を巡って、住人達は憶測を交わします。あれは村の滅亡の前兆だとか、そうでないとか、そもそも雲など出現しなかったとか。湖の水位の変化や、ノアの箱舟を思わせる語りが続きます。舞台奥のホリゾント上部にはめ込まれたディスプレイに、宇宙の情景が終止投影されています。

 

 『現在地』は今までに観た演目に比して直截的です。創作のきっかけが大震災であることも強く影響しているでしょう。それと、劇の進行に連れて神の存在が意識されることもその印象を強くします。極端に抑制された身体表現が恣意的に感じられます。

 必ずしも制作順に作品を観たわけではありませんし、ここ数年観るようになった範囲内のことですが、岡田はどんどん変化しているようです。『現在地』も、前作『ゾウガメのソニックライフ』から大きく変化したと感じます。でも、少し肩透かしを食わされた感じ、表現としてちょっと後退したように思うのは私だけでしょうか。

   (2012年4月26日記録)

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