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2012年3月10日 (土)

美術:神奈川県立近代美術館鎌倉「藤牧義夫展」

  名称   生誕100年 藤牧義夫展 モダン都市の光と影
  会場   神奈川県立近代美術館鎌倉
  会期   2012年01月21日(土)~3月25日(日) 、詳細は要確認
  鑑賞日  2012年03月07日(水)

  参考   公式ホームページ

 

 1911年1月群馬県館林に生まれ、1935年9月失踪。確かに生きた証は、記録に残る24年余の生と短い創作期間に生み出された作品群。岡本太郎1911年2月、佐藤忠良1912年7月生まれと知れば、多少は私の生と重なる期間があって良かった筈なのに、なぜ生き急いだか。

 藤牧を知ったのは木版手彩色の「赤陽」。恐らく平塚市美術館「画家たちの二十歳の原点展」で観たと思う。建物の輪郭は太く鋭い線彫り、壁面は影になり、電車の走る路面は夕陽に輝く。人気の無い街並が淋しげ。建物の向こうに手彩色の赤陽。時代は異なるにしても、私の心象として存在する古き街並のように思えて何故か気になった作品だった。

 

 展示作品は木版主体、一部を除けば小品として括られる範疇。他に資料、写真。
 一部の版画は、摺りの異なる作品が並べて展示されていて興味深い。私が気付くような版木の変化は無かったが、色や掠れの差はある。

 「赤陽」は展示の中ほどにあった。415×280mm、展示作品中では大きい方。最初に観た時の印象は変わらないが、藤牧の人生を知れば余計に淋しげに見える。摺りの異なるものの展示があればさらに興味は増す。手彩色の差、一部コラージュになっているのでその辺りの差はどうなっているだろうか。あるか無いかは知らないが。

 「白描絵巻(申孝園)」は巻子の体裁だが、庭園内を散歩して次々と目に入る光景を連続的に描画したもの。視点が次々と移り変わる様子が、簡素な描画ながら大胆にレイアウトされていて斬新な印象が伝わってくる。現代風に言えば劇画背景か。他に「隅田川絵巻」二巻、試作一巻も楽しい。

 

 大正が1912年、昭和が実質1927年から始まる。第一次世界大戦が1914~18年。藤牧は大正と昭和一桁に生き、幼少期に第一次世界大戦が勃発、創作活動は晩年の4年間。どういう時代だったのだろうか。

 作品を見渡すと随分とモダンな感じを受ける。都市が急速にモダン化し、藤牧の表現が相乗効果でより輝きを増したように思える。版画家集団の創設に参画したりして、前途洋々たるものがあったように感じられるのだが、なぜ失踪。

 印象深い企画展と言える。地味ながら時代を掘り起こすような企画展は捨てがたい。週中の鑑賞であったが、予想より客が多いと感じた。もちろん鑑賞に支障をきたすような混雑では無かったけれど。

   (2012年3月10日記録)

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