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2012年1月27日 (金)

美術:横浜美術館「松井冬子展」

  名称   松井冬子展 世界中の子と友達になれる
  会場   横浜美術館
  会期   2011年12月17日(土)~2012年3月18日(日) 、詳細は要確認
  鑑賞日  2012年 1月25日(水)

  参考   横浜美術館松井冬子展ホームページ

 

 「ヨコハマトリエンナーレ2011」閉幕後の最初の企画展。企画展ポスターにもなっている作品「世界中の子と友達になれる」が寄託作品として常設展示されていることは承知していた。底知れないものが描かれているとの思いもあった。

 ところで、2011年NHK紅白歌合戦の審査員に選ばれた理由を、ウィキペディアは「公立美術館に於いて初の大規模な個展を開催」としている。大晦日は、会期3ヶ月のうちの2週間を過ぎたところ、評価はまだ定まらないだろう。絵以外の話題があるのか、美貌を指摘する記述は多いが。

 

 展示は第1~9章に分かれて、順に「受動と自殺」「幽霊」「世界中の子と友達になれる」「部位」「腑分」「鏡面」「九相図」「ナルシズム」「彼方」の章題になっているが、何か身構えてしまいそうだ。

 これらは宗教的なテーマを予感させる。例えば、小野小町九相図や地獄絵図を想起する。しかし表現は現代的で無機質。狂気や恐怖は感じるが、不思議と痛みは伝わらない。

 そう思う理由は描かれるものによる訳だが、抑制的な淡い彩色はあるものの無彩色を感じさせる仕上がりになっていることも大きいか。鑑賞者によって受け止め方が随分異なるだろう。

 

 副題でもある「・・友達になれる」は東京藝大学部卒業制作、そのための写生や何枚もの下図が併せて展示される。一人描かれる人物の位置も色々試行している。

 この絵の人物は画面左側に位置し、画面外側を見つめるようにに横向きに描かれる。盗み見のようでもある。「・・友達になれる」と言いながら、出る口の先から否定しているようでもある。足には血が滲む。今を盛りと咲き誇る藤の花の下方に視線を移せば、無数の蜂の群れが目に入る。右側には空の乳母車。友達になるのもなかなか難しそうだ。
 写生・下絵・作品と見比べて、その創造過程を想像するのは興味深い。この一角は特に興味深い。

 

 所蔵先を丹念に見たが公共美術館の所蔵はほとんど無く、個人蔵が多く、画廊等に留まる作品も多い。テーマの特異性によるものか、評価がまだ定まらないゆえか。「・・友達になれる」を初めて見た時から気にはなっていた。これからも注目しよう。

 結びはこれしかない。芭蕉七部集「猿蓑」より「夏の月の巻」の付合い。

   さまざまに品かはりたる恋をして  凡兆
     浮世の果は皆小町なり     芭蕉

   (2012年1月26日記録)

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コメント

興味深いですね。
時間を作って行こうと思います。
横浜美術館のHPで作品の紹介と解説があるのですが、
作家の文章と思いながら読んでいたのに、
「私も時々女装とするが」という記述が……。

投稿: strauss | 2012年1月29日 (日) 22時33分

水曜日に鑑賞したのですが、思ったよりは入場者が多いように思いました。
私は常設展示の作品を知る以外の情報を持っていなかったのですが、結構
話題の方のようですね。
松任谷由実との対談もあったようで、知っていれば応募したのに。何を話
すか興味があります。
『「私も時々女装とするが」という記述が……』は探しましたが見つかり
ませんでした。
トリエンナーレを除けば、しばらく横浜美術館に足を向けませんでしたが、
来年度はまた会員になるつもりです。

投稿: F3 | 2012年1月30日 (月) 00時47分

写真を見るだけで惹かれます。
そう思う人は多いでしょうね。

「女装」の記述。
作品《引き起こされた不足あるいは過剰》
の解説です。尾長鳥が向かい合っている絵です。
普段は女性っぽい(文脈からいくと、着飾るに近い?)服装はしない方だからでしょうか。

投稿: strauss | 2012年1月30日 (月) 18時46分

初めての大々的な個人展で会期が3ヶ月ですから、話題性に事欠かない方
なのでしょうね。
女装は了解しました。本人の文章ですよね。

投稿: F3 | 2012年1月31日 (火) 01時35分

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