音楽:モンテヴェルディ「聖母マリアの夕べの祈り」
指揮・音楽監督 濱田芳通
独唱 澤村翔子(ソプラノ)、
弥勒忠史(カウンターテノール)、
高橋淳(テノール)、
鹿野浩史(テノール)、
春日保人(バス)、
小笠原美敬(バス)
合唱 ラ・ヴォーチェ・オルフィカ
演奏 アントネッロ
曲目 モンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り
会場 神奈川県立音楽堂
公演 2012年1月27日 19:00~21:10(休憩20分)
夕べの祈りとは晩課、すなわち正教会の晩の奉神礼あるいはカトリック教会の晩の典礼のこと。ここら辺りまでは調べればすぐ判る。重要なことはその先だろう。しかし、それが判るのを待っていれば、美しい音楽を聴くことは一生涯ないだろう。判ってから聴くか、聴いてから判る努力をするか、私はある時期に後者を選択した。努力はさほどしていないが。
濱田芳通・アントネッロを聴いたのは4年前の「オルフェオ」、作曲はモンテヴェルディだし、会場も県立音楽堂であった。ファンファーレが客席後方から響いたその瞬間に魅了されたしまった。モンテヴェルディなのか、濱田芳通・アントネッロなのかは定かでなかったが、多分両方であっただろう。
今回の演奏会も良い一夜になるだろうと期待していた。そして期待を裏切られなかった。音楽的に色々なものが詰まっており、演奏も趣を感じた。
聖母マリアの夕べの祈りは、モンティヴェルディ作曲の華麗な表現、その間に挿入される静謐なグレゴリア聖歌がみごとに融合して、美しくかつ劇的な響きが延々と続く思いがした。
演奏で言えば、多くの独唱や重唱・異なる声部による合唱・器楽演奏や通奏低音。合唱者がリコーダーや確かサックバット(トロンボーンに似た楽器)を奏したり、濱田がリコーダーやコルネットをを奏しながら指揮することもあった。通奏低音のチェンバロとハープ(ヒストリカルな物)の持ち替えはびっくり、テオルボが意外に響くことを知った。一度、テノールとサックバットが舞台袖に下がって、そこでオブリガートを奏することもあった。耳ばかりでなく、目も楽しませてくれた。
華麗、力強くもあり静謐でもあり、そして楽しい演奏で二時間余があっという間に過ぎた感じがした。独唱も合唱も演奏もバランスが取れていた。強いて言えば独唱が少し強かったかも知れない。会場が小さいから、オペラ歌手が加減してもそういうことに成るかとも思った。
もっと知識を持ち合わせていたらより楽しくなるかも知れない。しかし、現状でも大いに満足できた。宗教音楽はとっつき難い一面があるけれど、聴けば結構面白い。特にモンティベルディは楽しさも感じる。
(2012年1月29日記録)
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