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2012年1月22日 (日)

脱原発世界会議(4) 「日本のメディアはなぜ事実を伝えないのか?」 (長文)

 2012年1月14・15日の両日、パシフィコ横浜にて開催された「脱原発世界会議」。
 その中の15日に行われたセッション「日本のメディアはなぜ事実を伝えないのか? ~脱原発の進むドイツとメディア制度がここまで違う!」の概要を整理した。

 講演は日隅一雄(NPJ編集長・弁護士)・川島隆(滋賀大学経済学部特任講師)、司会は岩上安身(IWJ代表)。

 会場定員は130人だが、左右後方通路には立っている人、中央通路には座り込む人がいて、定員の倍以上の方が詰め掛けていたように思う。

 セッションは約1時間半、ビデオ記録は次のサイトに掲載されている。

  (A) Our Planet TV
  (B) Independent Web Journal

 興味深い話なので時間を都合つけて視聴願いたい。なお、(1)の方が記録が鮮明、(2)は司会者との討論途中で記録が終わっている。

 (A)について言えばセッションは86分まで続き、およその進行は次の通りである。なお、講演で使われたパワーポイント資料はこちら

  (a)  0m30s 企画者の説明
  (b)  2m50s 司会者の挨拶
  (c)  5m05s 講演
      ドイツでの報道(日隅)
      メディア制度をチェックする際のポイント(日隅)
  (d) 15m15s 講演
      ドイツの制度(川島)
  (e) 26m00s 講演
      仕組みの重要性(日隅)
  (f) 31m00s 司会者との討議
  (g) 57m30s 会場との討議

 

 企画者説明で、企画意図は、(1) 個別メディアの問題でなく、海外と日本のメディアは仕組みとしてどう違うか、(2) ドイツのメディア制度、を明らかにすること。1945年、戦後のドイツと日本はメディアの改革が求められ改革したが、60年以上を経て大きく違ってしまったことも判るだろう。

 

 講演概要は十数行後から掲載する。

 

 司会者との討議では、まず講義の補足的な質問から始まった。

 オルタナティブのメディアは、本質的なレベルで日本とドイツの差はない。

 脱原発で言えば影響力の強かったのは新聞。インターネットは受信料出さなくても良いよねとなるので、欧州でもアメリカでも伝統メディアは危機的状況になる。重要なのは世代を超えた活動、インターネットも例外でなく、人が集まって議論できる場が必要。持続面でも弱い。従来メディアも必要。

 持続のための財政基盤は、混合財源が良いだろう。ドイツでは企業からお金を貰えない。公的助成金には弊害もあり、体制が変わって活動できなくなったことがある。

 市民メディアはどこも赤字だろう。今回、情報の価値に気付いた方は多いだろうから、是非支えて頂きたい。

 その後(43分30秒以降)はクロスオーナーシップや原子力政策の背景など、シビアな内容に言及するので、是非ビデオ記録を視聴されたい。メモも上手く取れていないし、残念ながら私は正確に伝えられない。

 

講演概要

《日隅》 ZDF(ドイツ国営放送)は、作業員が防護服で寝転んで休む様子や各種報道機関の取材を受けないという誓約書を書かされたと報道。4月1日の保安院の会見の「人間は海水を飲みません」に、「確かに海の水は飲まない」とからかった。

 シュピーゲルや海外メディアは、事故当日から日本の気象庁が提供する放射能汚染の拡散情報を報道、5月28日には原子力村について突っ込んだ報道をした。

 専門家の意見に加え各党の意見、安全なことも危険なことも報道する。
 日本は、会見に専門知識を持たない記者が配置されるため専門家の一次情報が伝わらず、一番重要な最悪の状態の想定も報道しない。ドイツのような報道がされないのは仕組みが関係する。

 世界的に考えられていることは、(1) 外部圧力を防ぐ仕組み、(2) 内部(経営層)圧力を防ぐ仕組み、(3) マスメディア以外のメディア。今回はインターネットがあったが日本ではまだ不足。(4) 我々の役に立つ情報が出るか。娯楽一辺倒、ニュースでのタレントのコメントなど、見るに絶えない。

《川島》 ドイツの (1)メディア体制、(2)オルタナティブなメディアについて話す。

 欧州のメディア制度はアメリカと対照的。ドイツは国営放送の時代が長く、民放導入は1984年。日本は戦後直ぐ。

 特徴を一つは集中排除。ナチス政権のメディア支配への反省が強く、国家や大企業、内・外部から圧力を防ぐ仕組みがある。

 地方ごとに公共放送、ZDFは様々な公共放送の連合。公共放送の内部委員会は中立性チェックの制度。民放にも国家や大企業の影響排除の仕組みがある。

 州ごとに独立行政機関の政府から独立したメディア庁があり、財源は受信料から約2%を確保。メディア委員会で意思決定し、委員は様々の世代、男女別にバランスの取れた人選をする。

 欧州に共通するコンセンサスは、オールタナティブの市民メディアは世間が支える。放送受信設備を持つ人の受信料から予算を出す。英仏蘭、北欧に様々な制度。

 1970年代、深刻な環境破壊が進行。原発建設が進む状況で反対運動が盛り上がる。「みどりのラジオ」あるいは「自由ラジオ」、当初は海賊ラジオだが、マスメディアの伝えない反原発情報などを伝えた。結果的に「みどりの党」のできた遠因にも成った。

 「市民放送局」とか「オープンラジオ」と言うが、意見を持つ市民団体は番組を作って自由に放送できる。ドイツ全体で80~100局ぐらいある。

《日隅》 日本はTV・新聞が同一資本下にあるが、他国では考えられない。TVは免許で支配、それが新聞にも及ぶ。利益のために政府に近づくことがある。例えばウォーターゲート事件。

 他国では、例えばトヨタとホンダが同じ広告代理店を使うなどはありえない。日本では当たり前だが、公取はやりすぎと指摘する。

 仕組みが良くてもやる気がなければ駄目。やる気があっても仕組みが無ければ、家庭を犠牲にしてまで報道に殉じようと考える人は少ない。ドイツでは、広告料に関して州議会が関与できる余地を残すことは違憲だと。後で確認できないから、権限を排除できる仕組みが大事なんだと。

   (2012年1月21日記録)

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