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2011年12月31日 (土)

演劇:SCOT「エレクトラ-オレステスを待ちつつ」

  原作   ホフマンスタール、エウリピデス

  演出   鈴木忠志

  出演   演奏家      高田みどり
       エレクトラ    ビョン・ユージョン
       クリテムネストラ 内藤千恵子
       クリソテミス   佐藤ジョンソンあき
       オレステス    竹森陽一 、他

  会場   吉祥寺シアター
  公演   2011年12月9日(金)~25日(日)、詳細要確認
  鑑賞   2011年12月23日(金・祝) 15:00~16:20(?)

 

 おぞましいギリシャ悲劇が演じられようとしているにも関わらず、打楽器演奏、車椅子・看護婦の登場は観る者を面食らわす。エレクトラを韓国人女優のビョン・ユージョンが母語で演じるが、当然、日韓語が混在して進行することになる。それが鈴木忠志演出の特徴であり、主張の形成する重要な要素である。私は何度も観てきたので今さら驚きは無いが、初めて観る方は何が行われているのか唖然とするように思う。それにしては、吉祥寺シアターは満員だ。

 

 車椅子に座る半裸の男達5人が登場、舞台中央で円を描くように行進する。動きは良く統制されている。5分か10分か、とにかく延々と行進が続く。単に舞台を何回か横切るだけなら演劇の一場面で終わるだろう。しかし、執拗に繰り返される意味は、この悲劇の性格を規定しようとするものであろう。

 車椅子で登場するビョン・ユージョンは、オレステスが帰って来て母へ復讐してくれることと強く信じるエレクトラの狂気性を色濃く表出する。かなり野性味を持った女優と感じた。台詞は多くないのは車椅子の男達が代弁するからである。あるいは打楽器演奏が内面に呼応するからである。

 エレクトラの思いを受けて母親に復讐を果たそうとするオレステスも車椅子で登場する。演じるのはベテラン・竹森陽一、見かけの強さとは裏腹に老いて弱々しいオレステスを浮かびあがらせる。果たしてエレクトラの思いをかなえられるのか。エレクトラと二言三言、言葉を交わすが医師に促されて去って行く。
 クリムネストラの叫び声、「もう一振り」、叫び声、「もう一振り」と車椅子の男達がエレクトラの思いを叫ぶ。

 エレクトラ・オレステスに限らず車椅子での登場は限定された世界を、医者・看護婦の登場はそこが病院であることを暗示する。とするならば、ここで演じられたのはギリシャ悲劇か、幻想か。鈴木忠志が描く代表的な世界だ。私も多くの劇団を観ている訳ではないが、今となっては貴重なスタイルと思う。
 もしまだ観たことがないならば一度は観て損はないと思う。

 

 確か、エレクトラは1995年利賀フェスティバルにおいて初めて観た筈。野外劇場に浮かび上がる美加理のエレクトラが記憶に残るが、さて車椅子に載っていただろうか、脇はSCOTだったのだろうか。演劇も一所に留まることはない。

 

 この一年、「変様する港街から」にお越し頂いた全ての皆様に感謝いたします。良き新年をお迎え下さい。

 

   (2011年12月31日記録)

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