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2011年12月16日 (金)

随想:抜粋要約「近世大名と菓子」

 姪から論文抜き刷り4冊が届く。そのうち「近世大名と菓子(*1)」を抜粋要約で紹介する。身近だけに興味深く、考えさせられるところもある。

 『菓子は元々果子から派生し果物を指したことは周知のところ、一概に菓子の定義を定めることは難しい』。

 漫画「美味しんぼ」に『和菓子は柿の甘さを超えてはならない』という一言があったと記憶する。菓子の原点は水菓子。

 『近世大名の愛好した御留菓子。御留とは、権力者の保護のもとに乱用を防ぎ、価値を高め、使用者の権威を象徴する意味があり、御留武術、御留窯などもある。伊予松山藩松平家の「タルト」、平戸藩松浦家の「カスドース」、出雲国松江藩松平家の「姫小袖」、豊後国岡藩中川家の「三笠野」、大名でないが大和国田原本平野家の「権兵もなか」など』。ここでタルトはパイ生地でなくカステラ状の生地だったようだ。

 『御留菓子の定義が確立しているとは言い難いが、一見解として、ほとんどの御留菓子が茶会で用いられたとの伝承を持つことから、茶道の嗜みが必須の近世大名に、それに伴う菓子も重要であり、藩主が保護したり、特別に注文し、藩主のみ、もしくは藩内のみで食することが許された菓子であり、流通にある程度の制限が加えられたものと言える』。

 昨秋、平戸で「カスドース」を賞味。文字で読むほどの甘さではないが、往時の人々には至福の甘みと想像する。世が世なら庶民の口に収まるものでなかったとは恐れ入る次第。

 『近世大名が菓子司または場内の台所方に作らせた菓子や自ら購入した菓子などが「御用菓子」。利用方法として、(1) 献上品や進物、(2) 茶道、年中行事、儀式などで、(3) 名物の創製と購入、(4) 城下町や寺社門前の繁栄、(5) 兵糧、保存、携行、(6) 薬として』。

 『献上菓子は日持ちが良く傷みにくい物が必須条件、多用されたのが「落雁」で、有名なのが加賀藩「長正殿」、墨型のデザインは前田利常好み、篆書体の文字は小堀遠州』。

 良くできた土産とは思っていたが、これも恐れ入る類だ。内包の栞を読めば判るだろうが、口に入れるほうが先で、そこまでは知らなかった。

 『兵糧、保存、携行の菓子にういろう餅の類、やうかんの類、細川家「朝鮮飴」、九州ではビスケット。薬としての菓子に出羽国山形藩「乃し梅」』。

 庶民の駄菓子は黒砂糖や粟などの穀類を使い、大名が口にすることは稀だったようだ。

  *1 近世大名と菓子・布谷陽子・生活文化史第57号・平成22年3月15日発行

   (2011年12月16日記録)

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