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2011年11月11日 (金)

音楽:「エウリディーチェの嘆き」 (長文)

  演出   鈴木優人
  振付   神村恵

  演奏   アンサンブル・ジェネシス
         岩下晶子(ソプラノ) 
         アンドレアス・ベーレン(リコーダー/サクソフォン)
         山口幸恵(ヴァイオリン)       
         小峰航一(ヴィオラ)       
         懸田貴嗣(チェロ) 
         鈴木優人(チェンバロ/オルガン/ピアノ) 

  ダンス  臼井彩子、遠藤綾野、剣持真理子、
       白井愛咲、宝栄美希、宮原万智

  会場   神奈川芸術劇場・中スタジオ
  公演   2011年11月6日 15:00~16:20(休憩なし)

 

 オルフェオの妻・「エウリディーチェ」に焦点を当てた物語。モンテヴェルディの歌劇「オルフェオ」をベースに新作曲を加え、ダンス、詩、映像表現を加えた演奏会形式のオペラのような形式。内容は、プログラムに掲載された構成を末尾に引用しておくので参照願いたい。

 舞台には1m幅ほどの紗幕が無数に吊り下げられている。深い森のようでもあるけれど、「エウリディーチェ」の落ちていった冥界を表しているのだろう。

 歌劇「オルフェオ」1幕よりトッカータで演奏が開始される。舞台下手、紗幕の後ろに位置した奏者達の演奏は、冥界から響いてくるようであった。それにしては元気の良い演奏、編成以上の音が響いてくる。後で判るが、ヴァイオリン等にマイクがついていたので、音量補強していたのであろう、納得。

 奏者は位置を固定している訳でなく、進行に連れて上手に移動したり、チェロすら立って演奏したり、奏者によっては客席後方で演奏したり(多分、音の響きから)。

 ソプラノは、詩を歌ったり、オノマトペで繋いだりする。頬に密着するタイプのマイクらしきものを確認した。進行に併せて、詩が紗幕に映されたりする。

 ダンスは、トッカータの演奏が終えて次の曲に入るときに客席後方から現われたと思う。ボディタイツではないけれど、黒い練習着のような衣装は冥界を意識しているのではないか。複雑な振り付けは無いように見えたが、物語を完結するためには重要な役割が課せられていた。無ければ寂しい舞台になりそうだ。

 対訳の替わりだろうか、「エウリディーチェからオルフェオ」に宛てた手紙がプログラムに挟み込まれていた。しゃれた試み、作品の背景も判る。全文転載したいところだが、以下の一部引用に留める。

 『愛するオルフェオさま
  (略)
 昔話になるけれど、一緒に地上へ向かっていたとき、地上に着く直前に言いつけに背いてふり返ってしまったことも、もう怒っていません。そもそも蛇に噛まれたわたしがいけないのですもの。あれ、牧人に殺されたのだったかしら。とにかく冥界まで降りてきてくれて本当に嬉しかったわ。
 冥界の女王ペルセフォネも昔冥王プルートに略奪されてきたみたいなの。ペルセフォネはわたしによく似た人だから退屈はしていません。たまに白分白身なのかしらと思うくらい。
  (略)
 今日わたしは横浜の下に来ています。わたしが主役の舞台が上演されるのよ。素敵でしょ?有名なモンテヴェルディさんの音楽だけでなくて、新しい音楽もあるのよ。いつもと違ってあなたの出番はほとんどないわ。
 (略)
                               エウリディーチェ』

 

 色々な要素が入り混じった表現形式、新作曲も入って理解はあまり進まない。例によって当日券で入場、理解の進まないのは、何の準備もしていない私の問題だ。「ゆえに面白くなかったのか」と問われれば、決してそのような事は無い。むしろ、新たな試みが面白かった。

 鈴木優人が加わった演奏を何回か聞いたことがあったので、バロック音楽の演奏会程度にしか思っていなかった。鈴木優人に対する認識を新たにした。再演の機会があればまた出かけたい。

 
 

--- 参考のため、以下、当日のプログラムより引用 ---

<プロローグ>
  クラウディオ・モンテヴェルディ:歌劇「オルフェオ」1幕より(以下「オルフェオ」)
      トッカータ
      音楽の女神によるプロローグ

<幸福なエウリディーチエ>
  「オルフェオ」1幕よりエウリディーチエの独白
  タナシス・デリギアニス:
    サッフオーのテクストによるエウリディーチエの独白(初演)
  「オルフェオ」1幕よりリトルネッロ

    <挿話> 新垣隆:イザナギとイザナミ(初演) 

<蛇に噛まれて黄泉に下るエウリディーチエ>
  「タランテラ」による即興演奏
  マノレコ・ウッチェリーニ:「針箱」の主題によるアリア
  アンドレア・ファルコニエーロ:パッサカッレ
  「オルフェオ」2幕よりシンフオニア

<エウリディーチエの嘆き>
  デリギアニス:オルフェオの賛歌によるエウリディーチエの嘆き(初演)

<再び地上へ向かうエウリディーチエ>
  「オルフェオ」2幕よりリトルネッロ
  ビアジョ・マリーニ:パッサカリア

    <挿話> 鈴木優灯人:詩編によるロトの妻の塩柱(初演)   

<オルフェオの死と別れ>
  「オルフェオ」3幕よりシンフオニア
  デリギアニス:プラトーのテクストによる独白(初演)
  「オルフェオ」4幕よりエウリディーチエの独白

<もうひとつのエピローグ>
  「オルフェオ」5幕より
      「行け、オルフェオよ」のリトルネッロ
      モレスカの踊り

全編を通じて福田拓人のライブエレクトロニクス作品が初演されます。

   (2011年11月11日記録)

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