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2011年10月23日 (日)

映画:朱花(はねづ)の月

  監督・脚本・撮影・編集 河瀬直美
  参考サイト       朱花の月 公式サイト
  場所          シネマ ジャック&ベティ
  鑑賞          2011年10月21日

 

 万葉集の歌が底流にある。

 一つは「香具山は 畝傍雄々しと 耳成と 相あらそひき 神代より 斯くにあるらし 古昔も 然にあれこそ うつせみも 嬬を あらそうらしき(万1-13)」。ここで「雄々し」となっているが「愛々し」とする解釈もあるようで、この映画も「愛々し」を取る、すなわち一人の女性を二人の男性が愛おしく思う。

 もう一つは「燃ゆる火も取りて裹みて袋には入ると言はずや面知らなくも(万2-160)」。女性の強い気持ちの顕示、「火だって袋に入れられると言うではないか。まして・・・」であることは判る。

 朱花(はねづ)は万葉集でも歌われた草花の名前、ただし、現在のどの草花かは特定できていないそうだ。名前からして朱色をした花であることは推察が付く。
 主人公・加夜子がスカーフを染める色でもある。しかし、見終わると物語の結末に結びつく色でもある。

 

 物語は二人の男性と一人の女性の愛が、飛鳥から少し南へ下る一帯を背景に描かれる。時代は現代であるが、遠き昔から変わることのない出来事と暗示さるかのようだ。

 現代に、そのような生き方が難しいとも思えるが、描き出される飛鳥の美しい風景、穏やかな時間の流れを感じると、それもありそうだと思えてくる。結末は決して幸福ではないが、それゆえに純愛物語とも言えそうだ。少し知的な純愛物語。

 

 監督他・河瀬直美、気にしているが見た作品は少ない。再上映の機会があれば拾うように見よう。主演の三人、こみずとうた・大島葉子・明川哲也の素朴な演技に惹かれる。助演の樹木林・西川のりお・麿赤兒など、数カットしか出ないがいい味、若い人たちを盛り上げようとする意志の現われのようにも思える。

 前述のとおり、少し知的な純愛物語とは思うが、生きることを考えてみるに良い契機となりそうだ。ここ数年、ぼちぼち映画を見るようになったが、映画も良いものだとつくづく感じる。

 藤原京跡、石舞台から少し南に下ると美しい段々畑、飛び石、雄綱・女綱、高市の街並、旅心も誘われた。そういえば神無月ではないか。

   (2011年10月23日記録)

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