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2011年10月 4日 (火)

講座:『今、原発を考える・広瀬隆』 (長文)

 講座『今、原発を考える』を聴講した。開催要領は次の通り。

  日時 : 2011年10月1日 15時30分~17時30分(18:00まで延長)
  場所 : 朝日カルチャーセンター横浜
  講師 : 広瀬隆(作家)

 3時間の内容だが、今日は2時間の予定なので早口で話すとの断りあり。多くの資料を投影しながらの講義、レジュメ配布なし。私が理解した概要の整理であることを承知願いたい。数値も参考に願いたい。それでも、反原発の視点に立つ興味深い話であることは伝わると思うが、興味を惹いたら講師著作を一読されて知識を確固たる物にして欲しい。私は既読2冊、もう少し読みつもりだ。

 

 3.11から半年を過ぎて報道界は原発事故などなかったかのようだ。この様子はチェルノブイリ事故に対するドイツ人の反応に似ている。報道しない、政府はでたらめ、汚染された食品が胃の中を通っていく。今日の話は皆さんの中に留めないで近所の方にも伝えて欲しい。

 放射線管理区域と同様の環境に百万人が住む。写真(被爆量の測定風景)では体表から測定しているが、何かを吸い込んでいる筈。子供、妊婦は福島からできるだけ遠くへ離れるべき。放射線は長寿命だ。放射能汚染を知っていて留まるのは自由だが、子供達は知らないので保護する必要がある。

 チェルノブイリの調査結果を福島に当てはめると、100Km圏内では50年で20万人、100~200Km圏内では50年で22万人に、放射線による癌が発症すると予測される。地上からの汚染で心配するのは食物。子供達は遊んでいて放射性物質を吸い込む可能性がある。300Kmのグレーゾーンには、東京、横浜が含まれる。国際放射線防護委員会(ICRP)の計算は内部被爆を考慮していないので ICRP<欧州放射線リスク委員会(ECRR)の予測 になる。あのフランスでさえ77%が原発に反対する。ECRRのレポートを読んでいないのは日本人だけ、被爆量を下げる努力をしないと大変なことになる。保安院の数値は低すぎる。

 チェルノブイリ事故の時、日本は食品1Kgあたり370Bq以上は輸入禁止にした。チェルノブイリでは1Kgあたり370Bq、乳幼児は37Bqを規制値とした。ドイツの放射線規制値、青少年以下4Bq、大人8Bq。多くの医師が立ち上がって叫んでいるのに、日本は何をしているか。

 食肉の放射能汚染の原因を稲藁と騒いでいたが、牛は水を大量に飲み、空気も吸う。稲藁のせいにしないと納まりがつかないからだ。千葉の水で汚染されていないところは無く、茨城は3箇所で未検出、福島は未検出ばかり。これは何を意味するか。検査試料のすり替えや、数値操作で未検出とする。測定時間は、正確には8万秒必要だが、2万秒で切り上げたりする。

 チェルノブイリ周辺地域、37000Bq/平方m。6月の東京で56箇所測定(放射能防御プロジェクト)したら、平均30000Bq/平方m、ところどころに高濃度地点。秩父は自然が残っているので高いが、都市部は低く出るかも知れない。福島に入ると300万Bq/平方m、100Km避難を叫んだ意味が、今になって判ってきた。

 ヨウ素131の半減期は8日だけど、元が大きければ問題は残る。チェルノブイリの場合、甲状腺がんは5年目から増え始めた。時が経過して青年・大人に移るので5歳以下は減るが。半減期8日は、100兆分の1になるのに320日かかる。まだ7ヶ月だ。

 浜岡原発にチェルノブイリの汚染パターンを重ねてみる。最大距離300Kmを考えると、700万人が生活している。ホットエリアの700Kmを考えれば、日本全土が汚染したことになる。今までの被害者の言葉に耳を傾けることが大切。

 スリーマイル島は放射能が出なかったという評論家達がいるが、スリーマイル島は福島より少なかった。チェルノブイリは死亡者の半分が子供。ゴメリー州では、染色体異常が発生しており、次の世代はどうなるか。東海村JCOの臨界事故で被曝した大内さん、体の組織が壊されて80日後に亡くなった。内部被爆とはそういうこと(被爆直後、症状が進行した手の写真が投影された。写真でも痛々しさが伝わる)。

 今朝(2011年10月1日)、プルトニュームとストロンチューム分布が発表された。福島から遠く離れている他ない。

 今、気をつけること。汚染食品を子供達に食べさせない。西日本に住む人の方が油断している。これから全ての食品の摂取判断は個人の責任、ただし、ベクレル表示を義務付けるべきだ。EUは、13県の食品輸入を規制している。
 素晴らしい食料自給率を達成していた県が汚染された。北海道の食料自給率は200%だが、もし事故が起きたら。南北の知事4人が最低。次の事故が起きたら日本は食べる物がなくなる。

 次の事故が起きるか。福島1号の事故の原因が、津波というのは真っ赤な嘘。田中三彦(元日立・原子炉圧力容器設計技師)は、福島1号は地震で壊れたと解析した。500ガルで配管に亀裂。保安院と東電、津波ですまそうとしている。

 なぜか。日本中の原発のバックチェック中に事故。バックチェックは信用できないことになるので、田中説を葬り去ろうとしている。東電の現場最高幹部も配管異常を言っている。これから田中がもっと重要なことを発表するだろう。

 次の原発事故が発生すれば食べる物がなくなる。原発を停止できるか。希望はある。最初は絶望したが、今は停止できる確信がある。

 西川福井県知事が原発再開に反対している。国の指示は津波対策に偏っていて地震の揺れに対する検証が行われていない。福井県民の安全確保が一番だと。こういう考えならば原発は止められる。奥田新潟県知事、川勝静岡県知事も同様の考え。北と南の原発立地県の4知事は何とかしなければ。

 阪神大震災の最大加速度は800ガル、鳥取西部地震は1482ガル、宮城沖地震は2000ガル、中越地震は2500ガル。新幹線脱線は日本が最初。

 新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原子力発電所の変圧器火災が発生してメルトダウン寸前に至った。宮城内陸地震では山が消えた。一関の観測点で上下3866ガル、断層上は4000ガル以上。これほどの揺れだと、重力加速度よりとても大きいので、原子炉が浮き上がってしまう。

 最近の地震は2000ガルの揺れが続くので、悠長に残された時間は無い。地球は生きている。ヴェグナーの大陸移動説、プレート4枚がひしめき合う所に日本は位置している。間違いなく次の事故が迫っている。

 『ホアンインゼンインアホ』とは子供が作った回文。保安院に命を預ける人間も全員アホ。全国で立ち上がりましょう。為せばなる、為さねばならぬ何事も。

 以下、質疑応答の概要。

A.知事さんたちが原発を止めてしまうのは良い。西川福井県知事のブレーンが優秀、その人たちに向かって話す。高橋北海道知事はブレーンがいない。
A.(国民投票は?)この国民で投票は安心できない。マスコミが信用できない。希望があるのは、人間を変えればよいから。
A.(事故発生直後に東電撤退との話があったが?)多くの人が踏みとどまってくれたのでここまで来た。
A.(今後、爆発が起きても隠すのでは?)福1のライブカメラがあるので恐らく隠せない。小さなものは隠すかもしれないが。
A.(燃料プールの爆発の可能性は?)余震が怖い。現場の人には判らない。材力の専門家は判っている。ひずみがたまっている。弾みで壊れるのが怖い。
A.家庭用の電気は、日中、使われることは少ない。自然エネルギーが代替できる部分は知れているし、産業は使わない。メガソーラは作ってはいけない。パネルの下は日が当たらない。それは自然破壊だ。都会人の大きなエネルギー消費が問題を起こしている。(中越沖地震の時、)柏崎原発の地元は停電していたが、原発は都会に電気を送り続けていた。
(メタン使用の)ガスコンバインドサイクル発電に移行する。総電力の20%は自家発電だが、それは売電より安いから。送電事業を分離すべき。

 

 質問者の「広瀬先生」と呼び掛けに、「私は先生ではありません」と毅然と否定されたことが強く印象に残る。原発反対を思考する多くの人たちの中核に位置する方だ。2時間強の話で細部まで理解できた訳ではないが、少なくとも考え方や現状認識の骨子は認識できた。

   (2011年10月3日記録)

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