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2011年10月18日 (火)

文楽:NHK ETV特集「杉本博司が挑む『曾根崎心中』オリジナル」を視聴して

 10月16日、NHKのETV特集「杉本博司が挑む『曾根崎心中』オリジナル」が放映されました。これは、今年の8月14日から16日の間、神奈川芸術劇場で5公演が行われた「杉本文楽 曽根崎心中付り観音廻り」における、杉本博司の演出に迫るドキュメンタリーです。

 私は、8月15日17時からの公演を観ました。以前に「曽根崎心中」は2回観ており、随分大きな差異があることを感じました。その感想はこちらで、末尾を「太夫たちの素直な感想はきけないものでしょうか。とても興味があります」と締めました。

 そのことに関して、ドキュメンタリーには次のような場面がありました。

 公演を終えた(何回目か判らない)後で、三味線の人間国宝・鶴澤清治が「いい反応で嬉しかったですね。久しぶりにね、こんなお世辞でない拍手を貰ってね、なかなか幸福感に浸りました」。豊竹嶋大夫は「見えないんですよ、真っ暗で。でもね、この特殊な劇、前衛的なものと純古典とがね、この劇場ですごいマッチして、本当に嬉しかったですよ」と話しています。

 稽古、公演での人形を遣う場面は多々ありました。例えば、人形遣いの演出に関する要望として人間国宝・吉田蓑助のメモが映し出されました。「現行の曽根崎では、編笠をぬぎます--->編笠で顔が隠れていると芝居がしにくい(感情表現がしにくい)。9頁8行~10頁8行までの初の台詞の間に編笠を(ぬぎた?)いのですが」。演出意図を尊重しながらも、人形遣いとして最良の状態を生み出そうとの意志の表出でしょう。

 これらの場面で語りつくされているということでしょうか。公演に関して人形遣いの話す場面はありませんでした。皆、大変だと思いますが、この演出は人形遣いに一番大きな変化を求めらたと思うので、何か一言でも話す場面を差し込んで欲しかった。

 このドキュメンタリーは杉本博司の演出に迫るもので、これはこれでとても興味深いものがありました。
 しかし、太夫・三味線・人形遣いの技芸員にもっと迫るドキュメンタリーも視たいと思いました。新演出は、他のジャンルでは当たり前です。技芸員はどう感じているのか、それが知りたい。今後の可能性に言及することにも繋がるでしょうから。それと舞台録画はないのでしょうか。是非とも放映して欲しい。

 それにしても、舞台公演でしか接点のない文楽の裏側を垣間見られたようで、とても興味深い思いがしました。

   (2011年10月18日記録)

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