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2011年6月18日 (土)

音楽:ミュージカル「太平洋序曲」

  作詞・作曲  スティーブン・ソンドハイム
  台本     ジョン・ワイドマン
  演出・振付  宮本亜門

  キャスト   桂米團冶(ナレータ・将軍・天皇)
         山田太郎(万次郎・百姓・士官)
         田山涼成(阿部・大工・士官)
         八嶋智人(香山・魚屋)  、ほか

  会場     神奈川芸術劇場ホール(1階18列12番)
  公演     2011年6月17日~7月3日(詳細は要確認)
  鑑賞     2011年6月17日19:00~21:40(休憩15分)

 

 時代は江戸末期から明治初頭にかけて、場所は浦賀であり、横浜村。

 鎖国破りの罪で捕らえたジョン万次郎が、取調べの際に、開国を迫るアメリカがやって来ると告げる。体制は右往左往、浦賀与力の香山に全権委任する。
 やって来た黒船に町は混乱。香山は開国出来ぬと伝えるものの、アメリカ大統領の親書を受け取るセレモニーを行わなければ攻撃すると言われる。香山と万次郎はこの事態を奇策で切り抜けようとするが、流れは思わぬ方向に。

 横浜村で行われた交渉の傍らにある木の上で覗き見したと歌われますが、交渉した場所は現在、開港広場として整備されていて劇場から5分も歩けば到着する。覗き見した木が特定される訳ではないが、開港を見つめた玉楠の木が開港記念資料館に残る。古い横浜市民としては、舞台上の展開を身近なものに結び付けてしまう。悪いことではないが、テーマは時代に翻弄されながらも、ある意味従順に寄り添っていく日本人気質、いや体制を描いている。日本に、抗う体制は伝統的にないと訴えているように思える。

 珍しく初日に出かけた。地震の影響で「曽根崎心中」がキャンセルされたので、ホール公演は初めて。ホールで開催された宮本亜門他の講演会を聞いたことがあるので内部の様子は承知していた。

 宮本亜門が神奈川芸術劇場の芸術監督になったことで、ミュージカルが多く取り上げられることは想像できる。しかし、私はミュージカル公演を鑑賞するのはこれが初めて。

 以下、当日の様子に触れます。鑑賞予定の方は読まない方が良いと思います。

 
 
 
 

 ミュージカルを評価する尺度を持ち合わせないうえでの感想だが、正直なところ「ゆるい」と言うのが総合評価。比較の対象はオペラだが、楽曲にしろ、歌唱にしろ、その思いが湧く。演技は似たようなものかも知れないが。ただ、ゆるさを前提にした表現がミュージカルの特徴かもしれないと思う。オペラと同じなら存在価値は無いわけで。

 前面に傾斜した二重舞台、舞台前方の上手・前面・下手に本水を使った水槽、海岸線の象徴だろう。舞台全体を覆うように立派な門構え、鳥居状のもので、これは権威の象徴だろう。舞台中央から客席中央を通る花道、客席は傾斜しているので花道もかなり急傾斜。

 ふすま(障子)状の作り物を並べたり、隙間を空けたり、回転させたりして、場面転換を行っていた。場所の転換であり、時の転換であり、あるいは彼我の空間を浮き立たせたり、限られた舞台空間に深みを与えるアイディア。とりたてて珍しいことでもないけど。

 前半、かなり鮮明さが不足、言葉・歌唱が聴き取り難い、バランスが悪いとも。その中で、名前を知らないけど脇役と言われる方たちは、八嶋や、渦中の山田をしっかりサポートしていた。

 後半、クライマックスに向けて盛り上がってるが、鮮明さは多少増した。抗わない体制も浮かび上がってくる。最後、門構えが崩れて新しい時代の幕開けを象徴する。

 八嶋、山田、田山、よく見かける顔だがミュージカルの経験は。そつなくこなしていると思ったが、確固たる存在であったとは断定しがたい。半月ばかりの期間でどう変化していくか、興味はある。

 

 日本人でなく米国人の歴史観、江戸末期から明治初頭の日本の光景であることを念頭において鑑賞することがポイントだろう。歴史に「もし」はないけど、黒船が来なかったら、米国や各国の平和観が多少でも異なっていたら、原発事故はなかったかも知れない。終わりに歴史上のトピックスが読み上げられ、最後が原発事故で幕が降りる。って、幕はないのですけど。

 ミュージカルへの興味は大きくなっていないが、後半にもう一度鑑賞したい気持ちは湧いた。どう変化するか。それと、7月の「スウィニー・トッド」も出かけたくなった。二・三回鑑賞すれば様子はつかめるだろうから。

 

 帰りがけに中華街入口のバーへ。カクテルはもちろん「ヨコハマ」。劇場が東京だと寄り道などは思い浮かばないが、横浜山下町ならば多少遅くなったとして、どうにでもなる。私からすれば便利なところに新しい劇場が出来て大歓迎。

   (2011年6月18日記録)

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