随想:ネットメディアで衆目にさらされる記者会見(8)(長文)
ネットメディアで衆目にさらされる記者会見(6)(7)の続きである。
1. 福島原子力発電所事故対策統合本部
ニコニコ動画による第4回(2011年4月30日16:30開始)共同記者会見より
1.1. 43分55秒過ぎから約6分間ほど、
江川: 毎回毎回この問題で非常に恐縮ですけど、きのう、小佐古さんの辞任のこともありましたので、改めて福島の子供達に対しても、20mSvと、こういう問題について伺わせて頂きます。なぜ、その20mSv/年なのかということについて、それを認めたのかということについて、原子力安全委員会の助言という言葉を使わないで説明して頂けますか。
細野: 江川さんがおっしゃっている、本当に安全なのかということについて、色んな声があるのは充分承知をしておりますし、小佐古参与もそういう思いがおありだったということも、私も直接何度も聞いておりますので、そのことについては理解をしております。
ただ、そういった声があるのを十分承知をしながらも、こうした安全基準についての評価というのは、わが国政府の場合には安全委員会を通じて行うと、安全委員会の判断をまずはしっかりと聞くということが前提になっております。専門家の間で見解が異なった部分があるという風には承知しておりますが、私個人の判断がどうかということは、政府の一員として、これは申し上げるべき立場ではないという風に思いますので、お答えになっていなくて申し訳ないのですが、安全委員会の助言に基づいてこういう判断になったということに。この正式な判断ということでいえば尽きるだろうと思います。
ただ繰り返しになりますが、郡山市をはじめ自治体の皆さんが色々取り組みをされているということでございますし、実際に郡山市の方では土壌の、グランドの表面を取ったことによって線量は下がっていますから、そういったことの効果も示されているわけでございますので、それを含めてやれるべきことが何なのかということについては、検討が必用ではないかと、そのようには思っておりますし、そういう取組みが進んでいるとこういうふうに思っております。
江川: 何かというと原子力安産委員会の助言ということで、それを使わないで説明して下さいと言ったのに、またそれが繰り返されるわけですけど、原子力安全委員会の方の委員にそれを聞くとですね、今度はICRPだとこういう話になる。
じゃあ、国際放射線防護委員会がなんて言っているのかというと、1を20に上げろといっているのではなく、1~20の間でできるだけ低いところを決めてやりなさいと。それはまさに政府の判断です、どこに決めるっかってのは。そういうことはちゃんとそこの文書に書いてあります。そして、その1~20という間で、その中間的なレベルを作って良いと書いてあるわけです。にもかかわらず、そいう中間レベルを採用したり、検討したりすることなく、20という数字にこだわったというか、20ありきということになった理由を、この原子力安全委員会の助言という以外に説明できませんか。ご自信の言葉として。
細野: この決定は原子力災害本部で決まったものでございまして、大変申し訳ないんですが、私は原子力災害本部のメンバーではないんです。ですから決定そのものには直接関わっていないものですから、大変恐縮なんですが、これ以上の説明ができるですね。これはもう本当に、本音、建前、全て率直に申し上げて権限と立場にないと言うことをぜひご理解を頂きたいと思います。
江川: それに関する感想はさておき、郡山の話が出ましたけども、郡山の取組みを支援あるいは拡大していくと言う具体的な予定は無いのでしょうか。郡山の方では確かに劇的な効果が出ているにも関わらず、とった土をどうしたら良いかということで非常にいろんな心配も出ているということもありますが、これについての取組みを教えて下さい。
文科省: 今既に、もう採られてしまった土がグランドの端に置かれてブルーシートが掛けられていると言う状況は存じております。こういったものの土の取り扱い、まだ法令的には、先日、石山審議官からもご説明がありましたが、まだ、放射性物質の付着したものの法令的な取り使いが定まっていないのも事実でございます。そういう形で、どういったことで処理できるか、どこに持っていけるのか、可能なものかどうか、国で一律に決めらるのか、地元の方でお考え頂くことができるか、いずれにしても土の事を含めて線量率が下がる取組みと言うのはやっていく必要があるだろう、と言う風には思っています。ただどういったことで、何が出来るかはまだ申し上げられることはございません。
1.2. 3時間20分30秒過ぎから約10分間ほど、
江川: 先ほどの学校に関する質問、問題をまず最初に伺いたいと思うのですけども、一つはですね、校庭の泥を取った時にその泥をどうするかっていう、表土を取った時にそれをどうする、という問題がある訳ですけれども、一つは深く掘って埋めちゃう、つまり土を換えてしまうという方法がある訳ですけれども、それ以外に、そもそもは東電から飛んできたものだから東電に戻せばいいのじゃないかという考え方もあって、例えば飛散しないようにコンテナか何かに入れてですね、東電のどちらかの敷地にとりあえず保管しておくと言うことが物理的に可能なのかどうか、東電としてですね。
それからもう一つは、この間、飛散防止剤の発表がありましたけれども、あれを見てると、薄く撒いてそれを剥がして、飛散しないような形で薄くはいだような感じになった写真があったのですけども、学校の土地の表面の土を処分するのに、あの技術が使えると思わないかどうかを東電の方にまず伺いたいと思います。
安全委員会のほうには、今日の文科省の発表の資料の中で、特に激的に表土を取った後に減っているところがあるわけですね、例えば郡山市立かおる小学校というのでしょうか、3.8以上あったのが1.0くらいまで劇的に減っていると。土の処分はいろいろ問題がありますけど、こういう効果があることなのだから早く進めなさいと、泥の処分について早く方針を決めなさい、という助言をされるおつもりは無いかということをお聞きしたいと思います。
文科省には、このICRPの勧告の中に色んな対策を立てる、防護策をやるときには主要な利害関係者の代表者を計画の作成に関与させるように、ということを求めて勧告しているのですね。今回の20mという風にに決めてですね、3.8を基準とすると言うようなことについて、どういうような利害関係者の意見を聞いたのか聞かなかったのか、この点についてをまず伺いたいと思います。
東電: ご質問に有るとおり、校庭の残土と言いますか、剥いだ土を所定のコンテナのようなものにきちんと密封して、輸送中に事故が起こらないような保護をした後、当社の敷地、もともと今の状態でも線量が高いもんですからそこに集めておくというのは考え方としてあろうかと思います。ただ、今、現時点で、こういった敷地外で放射性物質に汚染されたものをどういうふうに取り扱って良いのかという基準が無いものですから、可能性としてはあるということだけ申し上げたいという風に思います。そういった法的仕組みが整えば、そういった輸送手段はあることだけ申し上げておきたいと思います。
それから飛散防止剤の件でございますが、これは埃等で、埃や風等でいま降り積もっているものが飛び散らないように撒いているものでございます。お示しした写真は、固まり状況を見たがためにいったん剥がしてきちんと固まっているかをとっているものですので、校庭等に撒いて遮蔽と言うような効果は無いというふうにも思いますが、そういった埃等をあれで、吸着させて剥ぎ取っていくと言うなやり方としては、手段としては有るのではかと思いますが、現在、そういった使い方ではないという状態でございます。
江川: ただ山積みしておくより、そのほうが飛散防止剤を撒いて剥ぎ取ったら飛散しないですむという、そういう効果は期待できないか。
東電: 飛散防止という観点では、撒いて表面を固めておくのは防止の効果があると思います。
安全委員会: ご質問にあったように、郡山市立かおる小学校などでは自主的な取組みとしてこういったことがおこなわれていまして、できるだけ児童生徒の浴びる放射線量を少なくしたいという保護者の皆さんですとか、関係者の皆さんの思いというのはよく理解申し上げるところです。
確かにこの校舎外での線量は下がっているわけでありますけど、一方、剥いだやつが校庭の片隅に残っておりまして、トータルとして見た場合、児童生徒の被ばく線量への影響がどうなるかというのを良く見なければいけない、ということが一つありますけれど、ただ、いずれにしても安全委員会としては、合理的に達成可能な限り、被ばく線量を下げると言うことはICRPの勧告の非常に大事な精神でありますから、そういう取組みが行われること、文科省の、文科省というか政府の推進本部、対策本部から出された文章でも被ばく線量を下げる努力はすると言われている訳ですので、それはぜひやって頂きたい。ただ、具体的にどういうふうな手段をやるのかということについては、合理的達成可能な限りと言うがありますから、個々の学校なんかでも状況が違ってくるところがあると思いますので、同じある一つのやり方を全部の学校でやるべきかどうかとかとかですね、学校運営の問題になってきますので、学校設置者の教育委員会ですとか、文科省の方でそういった個別の判断はしていただけたらと思います。
江川: 特に積極的な助言をするということは考えていないのですか。
安全委員会: いずれに致しましても、これは一つの例ですけども、線量を下げるられた。また他の状況なども見て対応していきたいと思います。
文科省: この暫定的(?)考え方を検討するに当たりましては、福島県の教育委員会、または福島県、県庁の方々ともご相談すると共に、今回は保育園も対象だと言うことで厚生労働省の方などともご相談致しました。ICRPが言っている利害関係者というところの見方かもしれませんが、学校の設置者が今回、都道府県ないし市町村と言うことですので、ともに設置者の関係の方とお話したと言うことです。
江川: それで教育委員会は、これで納得したということですね。
文科省: 事前には県と調整致しました。
江川: 納得したと。
文科省: 合意と言うか、こういった形でやるということは充分意見交換を行えたと思っております。
江川: 二点目にですね、これは保安員に伺いたいのですが、浜岡原発をめぐる、その調査の評価は今月一杯にということだったんですが、確か今日が今月最後の日だと思うんですが、これについてどのような評価をされたのか、あるいはまた時間がかかるとしたらなぜこれ以上時間がかかるのか、そして何時までにできるのか、教えて下さい。
保安員: 浜岡に限らず、確かに四月一杯で緊急安全対策をやって頂くことにしておりました。大体、いま各検査官が各々の発電所から出してこられた緊急安全対策の中身は、確認は終えておりますので、いま取り纏めて原子力保安員と経産省の中で、これで緊急安全対策としては世に問えると言う風になった段階で、多分、五月上旬になろうと思いますけど、発表したいと思っております。
江川: 四月末と言っていたのが、なぜ五月上旬になるのでしょうか。何か困難なことがあったということなのでしょうか。
保安員: やはり非常に重要なことなので、急がなければいけませんけど、皆さんに納得頂けるようなものとして出したいと思いますので、少し予定より時間をかかっておりますけど、そんなに時間がかからずにまとめたいと思います。
江川: 最後に東電の方に。この間、費用の件について質問したのですけれど、この工程表をやるとどれ位かかりそうか、いままでにどれくらい使ったか、判ったら教えて下さい。
東電: 費用につきましては、まだ、いわゆる発注は行っておりますけど、契約金額は決まっていない所もありますので、現時点でどのくらいかかったかということについては判っておりませんので、お答えできる状態になっておりません。
また将来分もまだ設計も進んでないような状況でございますので、トータルいくら架かるかということを見通せる状態ではありません。
(2011年5月12日記録)
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