随想:ネットメディアで衆目にさらされる記者会見(2)
2011年4月9日付け朝日新聞朝刊(東京本社14版5面)の
が気になった。東電原発事故関連で、見出しおよび冒頭部分は次の通りである。
『米の「80キロ圈避難」 実は仮想シナリオ NRC幹部証言「判断しないよりましだ」
福島第一原発の事故に伴い、米政府が原発から半径80キロ圏内に住む米国人に避難勧告を出した根拠は放射線量などの実測データに基づくものではないことがわかった。勧告の根拠となった米原子力規制委員会(NRC)の勧告は、仮想の事故シナリオによるものだったという。NRC幹部が7日、外部の専門家で構成される委員会で語った。』
この記事のポイントは「半径80キロ圏内に住む米国人に避難勧告を出した根拠は放射線量などの実測データに基づくものではないことがわかった」であろう。すなわち、退避勧告の根拠が薄いと印象付けているように感じる。
退避勧告は3月16日に出されているが、それ以前に充分な実測データは公開されていただろうか。多少の親切心があるならば、主張を鮮明にしようとするならば、記事はその点を明確にすべきであろう。
もし実測データが公開されているならば、その後の見通しを加味した放射能物質の拡散予測(距離で漸減するわけでもないだろう)などが判断材料として加えられるだろう。
しかし安全第一の視点に立つならば、理屈抜きに80Km以上の退避勧告はあり得る、なるべく離れた方が良いのだから。
日本政府は周辺住民に対して20Km圏からの避難と20~30Km圏の屋内退避を指示している。マスメディアはこの妥当性を検証して記事にすべきで、重箱の隅をつつくような点を掘り下げるのは後回しで良い。
ところで関係者達はどこまで避難したのだろうか。現場から離れることも出来ずに作業している方もおられるのだが。
記者会見の感想にたどり着かなかったが続きとする。
(2011年4月9日記録)
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