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2011年3月21日 (月)

随想:(阪神淡路大)震災と美術をめぐる・・・

117 蔵書のなかに「震災と美術をめぐる20の話・発行 ギャラリー ラ・フェニーチェ・発行日 1995年9月28日」がある。

 ここで震災は阪神淡路大震災。インタビュー形式で纏められた20の話の各々に味わいがあるけど、忘れられられない一文があるので紹介する。インタビュウを受けたのは(作家)粟国久直さん。長くなるけど引用する。

--- 引用開始 ------  

 僕は今、大阪芸大で1回生を受け持っているのだけど、長田に住んでいて家が潰れた女子学生がいるんです。彼女は今、教会に避難しているんだけど、手紙をもらったんです。2~3週間ぐらいしか経っていない頃で、克明に自分の心情を書いている。彼女はアートについて色々書いているわけよ。アートは何も出来ないって。避難所生活をしている中で、自分が美術をやっているからって何にも役に立たない。でもね、彼女は最後に「私は今、無性に絵が描きたい」って書いているの。もう感動して涙流しちゃったよ。そして、その手紙にいろんな貼り絵やドローイングみたいなものを描いていて、「先生どうでしょうか」って意見を聞いているわけ。

 そんな彼女を前にして、オレは美術にどんな力があるのかって聞かれて、答えられなかった。まじで。だって現実に、美術って力ないもの。たとえば人を集める力も、下世話な話だけど集金力もないもの。当事者である彼女に、僕は美術が力があるって風には言い切れなかった。

 でもね、美術の力っていうものは、僕は確かにあると思うのです。なんで僕らは作ろうとする。売れなくても作ろうとするやろ。有名になりたいわけでもなく。マスコミに取り上げられたり、ちやほやされたり、賞を取ったりする、それ以外のところで、もっと作ろうとしている。彼女は、自分の体験としてて二十歳にもならないうちにそれを悟ったわけ。美術は華やかな世界だけど、根底に流れているのは、個人個人のリアリティだし、意志だし、それが美術の力につながるのでは。

--- 引用終了 ------

 私は主に美術・音楽・演劇を愛好する。大震災のような激烈な環境変化に遭遇したことはないが、どのような環境にあっても美術・音楽・演劇は身近にあって欲しいと思う。まあ、本も含めたい。
 少なくとも私は、それらから力を貰うし、精神的な豊かさに繋がっていく。

 それ以上のことは言えない。しかし、他の人に伝えたかった。そういうことも意識しながら支援の輪に加わるつもりだ。

   (2011年3月21日記録)

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コメント

描いている時は作家のものかもしれません。
でも絵を観て、確かにその作家の心が伝わる気がする時があります。
ニュースで映像をこれでもかと見せられ、直後より、時間を経てからの打撃が私には大きかったです。
無力感でいっぱいでした。
そんな時、郡山で被災された画家さんのスケッチ展があり、行ってきました。
パリでのスケッチ展です。
今までブログでも実際にもその方の絵は観ていますが、
南フランスの緑の柔らかさや光の眩しさに、心が弾んでくるようでした。
元気を貰いました。
また後日観た二兎社の芝居もしかり。
明日は震災後初めてのマンドリンの練習です。
めいっぱい弾いてこようと思います。

投稿: strauss | 2011年3月26日 (土) 22時45分

 全体の内容は、美術とボランティアに関する様々な意見をまとめたもの
です。そのなかの一部分を取り上げたもので、全体の主旨からは離れてい
ると思います。

 ただ、これから復興に要する時間の長さを想像すると、被災者の中には
芸術家や芸術家の卵も少なからずいるでしょうから、ご紹介したような思
いを抱く方もおられるかと。安らぎや豊かな気持ちを持つために芸術を愛
好する方だって少なくないでしょう。

 現在、我が家の周辺では毛布を救援物資として集めています。少し時間
が経過すると救援物資の質が変わるように思いますので、各種情報に目を
配りながら、私の可能なことを心がけるつもりです。

 マンドリン楽しんでください。最近、コムラードでブログ過去記事を参
照する方が少なからずおられます。

投稿: F3 | 2011年3月27日 (日) 22時50分

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