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2011年2月27日 (日)

講演:KAAT(神奈川芸術劇場)オープントーク vol.1(長文)

  内容:第1部:劇場って何?(対談、約1時間)
       蜷川幸雄 彩の国さいたま芸術劇場芸術監督
            Bunkamura シアターコクーン芸術監督
       宮本亜門 神奈川芸術劇場芸術監督

     第2部:芸術監督って何?(座談、約1.5時間))
       串田和美 まつもと市民芸術館芸術監督
       宮田慶子 新国立劇場演劇部門芸術監督
       宮本亜門
       岩城京子 演劇ジャーナリスト/KAATクリエイティブパートナー

  会場 : 神奈川芸術劇場ホール
  日時 : 2011年2月26日 13:00~16:30(休憩15分、5分)

 

 電車事故で来場が遅れる人もいて、第1部は15分遅れで開演した。第2部は16時で終わり、その後に宮本亜門の質疑応答があった。

 客は3割くらいか。ホール定員は1000名ほどなのでガラガラ、現代演劇の先端を行くこれだけの芸術監督が集まっているのに、勿体ない思いがした。今年1月オープンの新しい劇場で、まだ知名度が低く、広報も不充分かも知れない。メンバー(KAME)登録しておくとメール案内が時々届く。

 一部聴き取り難かったり、脈絡を把握できない部分があった。それでも対談、座談は実に興味深かった。充分にメモが取れなかった。抜けている部分があり、曖昧なところもある。それを承知のうえで以下を参照願う。

 

 遅れている間に宮本亜門。芸術監督として何をするかまだ迷っている。国によって、役割・予算等ぜんぜん違う。まだ若葉マークの新人、皆さんと考えていく。

 

第1部:劇場って何?

蜷川:公演ぎりぎりまで変える。俳優を変えたこともある。この劇場は良い。さいたまは与野本町、なぜあんなところに作ったのか。文化行政がめちゃくちゃ。
宮本:なぜ芸術監督を引き受けた。
蜷川:高尚な理念はない。大勢に知られる劇場にしたい。少し先を行く芝居をやりたい。
宮本:蜷川は海外で成功した先駆け。
蜷川:自分で良いと思ったものをやる。自分でチェックする。外国人には論理的に説明しなければならない。ウニのように武装している。プロヂューサーが、(俳優に)この芝居のポスター貼って良いかと聞く。レパートリーシステムで使っているバトンは使えず、残りのバトンを使う。ローテーションシステムで来る予定の人と番う人が来たので帰して、自分も帰った。そういう風にしていかなければならないこともある。
以前、埼玉は4割ぐらいしか入場していなかった。そういう状態を改めたかった。当初はシェイクスピアだけの監督だった。若い女の子が芝居っていかがわしい。観たら面白いと沢山来るようになった。了解を得た上で、近所の人を30人位づつ招いて稽古を見てもらったこともあった。
宮本:横浜には人が集まりにくいと聞いていた。
  (金閣寺に主演の森田剛について)
蜷川:昔から言われている。アイドルを舐めたらいけない。森田は凄い。
宮本:チケットを売るために呼んだわけじゃない。
蜷川:チケットを売るために呼んでも良いじゃん。
宮本:物を作る時に鬱屈した角度があって、それが良い。客寄せのつもりはない。TVでもあの立ち位置でやり続けることが良い。
蜷川:とても良い。僕は宮本より丁寧にやるから、次は僕のに出演してねと言った(笑)。ネクストシアターは、マスコミとは違う回路で動いている若者にチャンスを与えよう。冒険に溢れた仕事をやろう。財団で守ろう。人徳だよ。
宮本:そう言われてしまうと。コクーンと埼玉は変えているか。
蜷川:公共の劇場である埼玉がになうことは、知られていないものでもやる。コクーンは社会と切り結ぶ。若い人たちにコンスタントに場を与えられるようにする。劇場が信頼されないと。緊張感を持ってやる。金はこれで良い。自分達で回していく。公共の劇場、金の心配をしないで良い。アングラから始めたので、自分の金を心配しないのが良いけど。
宮本:金を貰えることにプレッシャーがある。この劇場は大きい。定員1000名、見切れもあるので800~900名、かなり大きい劇場。(全体に照明を入れる)
蜷川:でかい。芝居の魅力は生。埼玉は2列くらい潰すけど、損失は何百万。3階は使わない。困難な状況は演劇にプラスになる。
宮本:日本の演劇はどうか。
蜷川:余り行かない。自分にやりそうな物は観ない。1回観ちゃって、良い所があると後で困る。
宮本:若い人は生活が苦しい。将来が見えない。
蜷川:自分が出てきたときは新劇を壊したいと思っていた。今は誰でも俳優になれる。書ける。欲望が小さいから、他に興味がない。Twitterとか鏡の向こうとコンタクトしている。批判はしないが不満はある。かって戦場は泥、泥が無ければ稽古場に泥を敷いて、感じてもらう。今しばらくはどこへ向うか考える。
宮本:ゴールドシアターは。
蜷川:シェイクスピアをやっていて空しかった。こまどり姉妹が歌いながら舞台を横切ったらぶっ飛ぶだろう。1ステージいくらか調べた。いま70才くらいだろうけど、同じような生活者が自分達で芝居をやったらどうかを、やりたかった。やったら大変。台詞を忘れたら、2・3列目に座ってプロンプター。仕掛けをしながらやった。歩けない人が歩けるように、台詞を言えない人が言えるようになった。
宮本:精力的に演出をしているが、この数って尋常じゃない。
蜷川:年に7~8、若い頃に売れなかったから均せば年に3~4。

 

第2部:芸術監督って何?

串田:松本の芸術監督7年前。更地の時から、見える見えないだけでなく初めからやれた。小劇場は立派な座席の予定だったが、ベンチに変えて貰った。
宮本:この劇場はぎりぎりになるまでは触れなかった。色々あった。
串田:コクーンの前、六本木の小劇場に愛着がある。小屋を大事にする。通行人からチラッと見えるような所が良いと思う。松本も同じ。
宮田:うらやましい。(新国立)は立派過ぎませんかあ~。外観、演劇が一番滋味。初台もアクセスが悪い。「わが町」は広すぎて人が小さく見えるとの意見もあったが、人なんて小さいものと判って貰いたい。使い倒すつもりでやっている。小劇場は良い。
宮本:各々は国県市の芸術監督。国ってどうですか。
宮田:公共ホールを預かった時から考える。国民は顔が見えない。全体に視野が向けられない。松本はレスポンスが早い。
串田:市長に電話して何とかする。
宮田:芝居が良いか悪いかは言われたが、今までやっていけないとは言われたことはない。
   最初のプログラム発表はドキドキしたか。
宮本:それを考えたら何も出来ない。開き直り。判りやすいものをいれれば、何でそんな判りやすいものを。最初、芸術監督って何だろう。自分の喜びとして演出をやっているので。
串田:野球なら優勝が目標。芸術監督はそれが決まっていない。決めるのが役割。コクーンは私企業、オーナーを説得すれば良い。国立は全員に賛成して貰えない。自分の価値観を判って貰えれば良いのでは。全ての人の税金で一部しか観ないものに使って良いか。5人しかすまない地域に橋を架けるようなもの。観ない人に認識させるのも大事。
宮本:観客動員は。
串田:もちろん多いほうが良い。経済効果と言われるが、それはそれ。企業ならば、5人しか利用しない橋は作らない。
宮本:沖縄に住んでいて、道が沢山出来ていくと感じる。必要があるのか、考えないで出来てしまうこともある。
串田:国立だから立派にしたのだろう。
宮田:例え1回でもワーという経験をすると、思っていてくれる。箱物が出来、ソフトを作るほうとしてはそういうことで良いかなと。受け皿があるのは限りない可能性がある。
宮本:二人が優勝と決めるのものは何か。
串田:俺は人間社会の中に芸術があると認めさせる。共存していることを判ってもらう。町が変わるとか人たちが認めてくれる。
司会:手ごたえとして感じることは。
串田:コクーン歌舞伎、市民100人が稽古して参加してくれた。佐倉義民伝、出演人ばかりでなく、家族も友達も喜んでくれる。地方に行くと、その土地の民話をやれとか言われるが、世界は一緒だろう。が、演劇は何か成り立つものが違うことはある。
宮田:公演に近い感じで勉強とか講演をやっている。こんなことも、あんなこともあるというきっかけ。色々なことをやると忙しい。理念と言いながら、気楽に演劇観て頂戴よ。やりたいことはやっていこうよ。3年でやりきれないから、(任期が)4年になって丁度良い。
司会:優勝とは。
宮田:テーマを決めてとりあえずそれが今年の目標。長期展望は頭にありながら、短いスパンで。一丸となって、一年たってどんな反応があるか楽しみ。「焼肉ドラゴン」で、最後にウォーといって泣くという感想があった。そういうことが凄い。(再演は)国立の財産。日本は使い捨て過ぎる。
   (宮本の体験や、岡田利規の話があったが、聞き取れなかった)
司会:コクーンは、駅から劇場までが激空間、松本は。
串田:松本全体だと思う。狭いのですぐ集まれる。昔に比べて今は立派で居心地悪い。そこで次の工夫、この空間で何かやる。昔、歌舞伎も浅草の外れに追いやられ、そこでいつか。
宮本:ここは恵まれている。沖縄にいる感覚。公共の劇場は劇団員を持つべきか。
宮田:研修所卒業生は半契約。登録しているが優先的に使うことはない。オペラ・バレーのエキストラなどにも。緩い劇団。若い人ばかりでは役に不足する。どうしたら良いか。
串田:カンパニーがあっても良いのではないか。
宮田:静岡(SPAC)でやっている。(どうするか)悩んでいる。
串田:共産圏で良いものが出来ていた。役者は何年も経て良くなる人もいる。それを守るのも大事。
宮田:役者が給料を貰ったらいかんだろうと思う気もある。
串田:今日会って、今日良い人ばかりではない。
宮田:亡くなった座長に、気長に見ろと。60になってよい役者になるかも。20~60まで面倒見るか。
宮本:公共で。
串田:自前(の劇団なら公演の)借金を返すまでは次は出来ない。そういう仕組みで日本の演劇は続いてきた。5人の橋のように架けない訳にいかない。だから国立。
宮本:世代でやってきた違いは。
司会:こんちくしょうのある方が摩擦はあるけど、何とか生きていけちゃうけど、それも嬉しくはない。
宮本:串田さんは好きですよね。
串田:その時はいらいらする。
宮田:役者は特殊技能。あらゆる創造が出来る役者。むき出しの肉薄しろと。
司会:ばれーだんさーは、クラシック、コンテンポラリー、何でもこなすとアスリート化する
宮田:役者は得意なこともあるけど、何でもできるか。(役者以外の)凄い才能に会うと、役者でやることないじゃん。
宮本:演劇はスタイルが多い。そういう所から入ってくるのが面白い。何がリアリズムかはまた別。養成所に繰り返し受かって練習するが、実舞台には出ない。養成所は何ですかと。
串田:カンパニーは作れっていうけど、万能であれとは言わない。

 

 質疑応答は省略。

   (2011年2月27日記録)

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