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2011年2月21日 (月)

読書:最近の読書から(2011年2月17日)

1.『よむ、詠む、読む』 高橋睦郎著、新潮社、1600円+税

 

 副題が『古典と仲よく』。本書は雑誌等に掲載した文書をまとめたもの。『「源氏物語」現在形』が2/5を占め、他で和歌、漢詩、歌舞伎などに言及。

 各々が完結していて古典という海原へ漕ぎ出すための示唆に富む。漕ぎ出した船が港に戻るように、古典に取り組んだ後に本書に戻った時、本書の真の面白さが理解できるだろう。

 とは言え今は海原に漕ぎ出すのみ、手がかりとなりそうな文章を五つ抽出した。

 

 (1) 『古典を読むに先立って現代語訳や注釈書を読んでおくことは、悪いことではない。ただし、読んだらいったんは忘れて、無染の心で原文に対すること(前書きに代えて)』

 (2) 『「読む」を仮名書きで「よむ」とすれば、日本語で詩歌の表現を意味する「詠む」と、表現された詩歌の享受を意味する「読む」とが、ほんらいの一つであることに気づかされる(前書きに代えて)』

 (3) 『在原業平に西行法師、さらにもう一人近代の石川啄木を加えて、これが和歌の三大スターではないだろうか(二人のスター ---- 業平 ・・・・ そして西行)』

 (4) 『第二次世界大戦に敗れた時、日本人一般の意識に上ったのは、純粋に自国固有の伝統的詩型と考えられて来た和歌でも俳句でもなく、漢詩の一句でした。杜甫の五言律詩「春望」の第一句「国破山河在」だったのです(漢詩への感謝)』

 (5) 『「文台引下ろせば即ち反古なり」、その覚悟の上に作られ、書かれた平生即辞世の句だからこそ、私たちの生きることの今日を励まし、私たちの生きることの明日へと導いてくれるのでしょう。(平生即辞世 ------ 日本詩歌の一伝統から)』

 (1) 取り組み方、(2) 特に短詩形の本質、(3) 華の系譜、(4) 漢字文化圏、(5) 生命力の根源、と理解。古典が照らし出す世界は多彩で興味深く、末永く付き合いたいもの。ただし暫らくは、源氏は脇におこう。

   (2011年2月21日記録)

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