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2011年2月14日 (月)

読書:最近の読書から(2011年2月12日)

『私の俳句修行』
  アビゲール・フリードマン著、中野敏子訳、岩波書店、2200円+税

 

 著者は女性、最近20年のうち8年ほどを日本で過ごす。日本語を習い始めて10年は経過。初来日は1986年で広島に2年滞在。1988年国務省入省、駐日大使館勤務は1992~5年、2000~3年。現役外交官として活動の傍ら俳句作り。同好の士を募って俳句の国際化にも貢献。

 

 外交官として講演を終え、懇親会で一人の男に会う。交換した名刺に沼杏俳句会と俳号が記されており、俳句を話題にして短い話をする。その間に挨拶の順番が回った男は「彼女は俳句の愛好者で、自作の句をいくつかご披露していただけるかもしれません」などと言って席に着く。

 何言うのと思うもマイクを持った著者は、日本語で「俳句は好きだが、作ったことはない」。それでも「私の大好きな日本語の俳句を述べます」と言って数句を暗誦する。

  夕晴れや浅黄に並ぶ秋の山    一茶
  山くれて紅葉の朱をうばひけり  蕪村
  故郷も今は仮寝や渡り鳥     去来
  行く我にとゞまるな汝に秋二つ  子規

 その場はひとしきり俳句の話題に満ち、後で男の所属する俳句会へ参加を勧誘される。

 導入部を細かく紹介したが、著者の日本語レベルや俳句の知識を理解頂くため。

 

 後日、案内状を受け取った著者は沼津御用邸の句会へ、多少のためらいを抱きながらも参加、修行の道を歩き出す。

 著者は英語と日本語で俳句を作る。外人が日本語を話しても驚かないが、俳句を作ればどうか。ワビ・サビ、余韻や伝統などは日本人だって難しい。しかし、著者の俳句修行は日本人と大して変わらない。悩みも同じだろう。思いが単刀直入に表出されているので反って判りやすい。

 初心者は共感する所も多いだろう。異文化に接する観点も興味深い。巻末の小句集から。

  turbulent water  between my fingers  -the cold
      春の水手を入れてなほ冷たかり

 俳句は面白いかも知れない。

   (2011年2月14日記録)

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