映画:ハーブ&ドロシー
監督・プロデュース 佐々木芽生
参考サイト ハーブ&ドロシー 公式サイト
場所 シネマ ジャック&ベティ
鑑賞 2011年1月4日
類稀な二人のアートコレクターに迫るドキュメンタリー、数多くのアーティストも登場する。全編が現代美術に関する話題で満たされている。
ハーブ&ドロシーはニューヨーク・マンハッタンの1LDKのアパートに住む、大分以前にサラリーマンをリタイアしたであろう老夫婦。
二人の収集方針は二つ、「1.自分達の給料で購入できる作品であること 2.1LDKのアパートに収まるサイズであること」。作品選択の基準は「考えるのではなく、心に響くもの」。
収集作品は膨大で、そこに含まれる成功したアーティストの作品は高額で取引きされる。売却すれば一躍大金持ちになるところだが、二人の望むところではない。全てを国立美術館に寄贈してしまった。
二人からは、無名のアーティストの才能を信じて暖かく支援し、公共財として作品を収集、将来に引き継ごうとする、崇高な使命感がひしひしと伝わる。顕にすることはないのだが。
内容は地味だが現代美術、広く美術を愛する人は必見。現代美術に興味がないと退屈しそうだ、
監督・プロデューサーの佐々木芽生はニューヨーク在住のフリージャーナリスト。これが、初プロデュース・初監督作品。全編を通して、二人からの信頼の厚いことが感じられる。
多くのアーティスト達のインタビューの挿入は、二人の人となりを良く伝える。映し込まれる作品が美しい。
気になったのは、ハーブが元の職場である郵便局に出向いた場面。若き日のエピソードとして微笑ましいが、そこまで遡らなくても伝えたいことは充分判る。
ハーブ&ドロシーの生き方を余すところ無く記録して、素晴らしい作品に仕上がっている。前述のとおり万人向きではないけれど、これを現代美術に親しむ契機とするのもありそうだ。一人でも多くの人に見てもらいたい。
佐々木芽生は引き続きハーブ&ドロシーの生き方を記録しているようだ。続編の公開を期待したい。
(2011年01月04日記録)
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