演劇:─現代劇の系譜をひもとく─Ⅲ「わが町」
珍しく初日に出かけました。上演中なので感想はHPに掲載しました。支障なければ参照願います。以下は思いつくまま。
表現される時代が現代であれ過去であれ、身体表現をもって生身の人間の営みを彷彿させるのが演劇ではないか。そこに観客は喜怒哀楽を重ねる。
「わが町」は特異な演劇で死後の世界を描く。1938年世界初演の近代戯曲だが、底流となる思想から日本の伝統芸能・能の世界を想起することは容易だ。
私が初めて観た「わが町」は、1992年・劇団MODE・松本修演出による「瀬戸内版(坂手洋二脚本)」、観ていないが「北海道版(松本修脚本)」と交互に上演されていた。後年、「池袋を舞台にした版(平田オリザ作)」も上演された。その後も他劇団により繰り返し上演されているようだが、各々の地方に置換して上演されること少なくないようだ。
今回の「わが町」、脚本は新訳。舞台はアメリカ合衆国ニューハンプシャー州グローヴァーズ・コーナーズという小さな町、原作どおり。帰り際に気付いたが、新国立の玄関から中劇場までの間、グローヴァーズ・コーナーズ(英語表記)への腰高の道案内ができていた。
「現代劇の系譜をひもとく」シリーズの1回目「ヘッダー・ガーブレル」、2回目「焼けたトタン屋根の上の猫」は小劇場で上演された。3回目の今回は中劇場、中劇場の機構が必要だったと思っているが、観終われば理由は多分わかる。
日本人の感性に受け入れられ易い演劇。これからも繰り返し上演されるだろうから、時をおいて観れば自分の感性の変化にも気づきそうだ。近・現代演劇になじみのない方も、手始めにグローヴァーズ・コーナーズを訪ねてみませんか。チケットは要確認。
(2011年1月16日記録)
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