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2010年12月27日 (月)

演劇:リア王

   演目   SCOT 『リア王』

   原作   ウィリアム・シェイクスピア
   演出   鈴木忠志

   出演   老人(リア王)   ゲッツ・アルグス
        ゴネリル      エレン・ロウレン
        リーガン      チャン・イジュ
        コーディリア    高野綾
        グロスター     蔦森晧祐
        看護婦1      加藤雅治  他

   会場   吉祥寺シアター
   公演   2010年12月15日(水)~12月26日(日)、詳細要確認
   鑑賞   2010年12月18日 14:30~16:10(休憩なし)

 

 鈴木忠志演劇の代表作の一つ。1980年代末に初めて接してから、SCOT・SPAC・米人俳優版、確か日米俳優版も観た。基本的に脚本・演出に変化はなかった。出演者は全て男優、例外は看護婦役を吉行和子が演じた時くらいか。何せ古いことで多少心許ないけど。

 今回は四ヵ国語版。2009年利賀フェスティバルで観た。その時と、出演者の多くは同じ、役も同じ。独・米・韓・日の俳優が各々母国語で台詞を言う。間の開き過ぎや重なりは無い。違和感を覚えない。日本語訳がディスプレイ表示される。

 旧版は全ての役を男優が演じた。能・歌舞伎の存在を感じない訳にいかない。ただし、面をつけるでもなく、顔を白塗りするでもないから、髭の生えたコーディリアが生まれる。衣装も男女差を感じさせない。男優を通して女性を描き出すことになる。
 四ヶ国語版は、基本的に男役は男優が、女役は女優が演じる。想像のわずらわしさは軽減するが、伝統芸能の世界からは遠ざかる。四ヶ国語版ゆえか、男優不足か、定かでない。

 音楽は変化、と言うより追加されている。
 旧版は「ヘンデル:オンブラ・マイ・フ」「チャイコフスキ:スペインの踊り」が効果的に使われる。
 四ヶ国語版は、「ライバッハ演奏:KRST」「早春賦」が加わる。緊張感が少し緩む気がしている。上演時間の延びたことも関係するのだが。
 それと、吉祥寺シアターの音響は少し乾燥していないか。

 鈴木の「リア王」は、シェイクスピアの「リア王」を換骨奪胎したものだ。最後、死んだコーディリアをリアが抱いて登場する場面も、なぜ死んだかは判らない。原作を承知することが、演出者と観客との間の暗黙の了解事項だ。

 現代演劇の再演は多くないと思う。再演は自分自身の変化に気付くためにも良いことだ。遅きに失した感はあるものの、年を重ねて少しづつ気付くことがある。
 駄文でも残すのは、自分のために良いことだとも気付く。

   (2010年12月27日記録)

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