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2010年12月

2010年12月31日 (金)

随想:2010年私的芸術回顧

 演劇・音楽・伝統芸能の公演を合わせると、2010年は週一回のペースで出かけました。リタイアして時間的な余裕の出来たことが最大の理由です。働いている時は年20回の目標を達成することはほとんどありませんでした。

 大雑把に言えば、2009年からは神奈川フィルハーモニー、2010年4月から駒場アゴラ劇場の年間会員になりました。両者の公演を併せると20公演ほど。残りは興味にまかせて選択しています。

 

 演劇の22公演中で最も印象に残ったのは、第17回BeSeTo演劇祭における「劇団コルモッキル・そんなに驚くな」です。韓国の劇団、泥臭い舞台でしたが底辺の生活を描いて強烈な衝撃を受けました。言葉こそ異なるものの、様々な観点で日本と非常に近い国であることを感じました。演劇の忘れられかけている一面を観た気がします。

 他に、「彩の国シェイクスピア・シリーズ:ヘンリー六世」、「劇団MODE:変身」、「青年団:革命日記砂と兵隊」などが印象に残ります。「チェルフィッチュ:わたしたちは無傷な別人であるか?」は評判が高いようですが、私は未だになじめず。新国立劇場における「JAPAN MEETS・・・Ⅱ:ヘッダー・ガーブレルやけたトタン屋根の上の猫」ははなやかな舞台にはなっているものの、今ひとつ冴えがないように感じました。

 

 音楽の24公演中で最も印象に残ったのは「ゲヴァントハウス弦楽四重奏団」でした。ヘンデル・モーツァルト・シューベルト(ピアノ五重奏・ます)、音楽の厳格さを失うことなく、楽しさ・温もりを感じさせた至福のコンサートでした。会場である神奈川県立音楽堂も素晴らしい音を響かせ、コンサートホールも楽器であることを感じさせました。

 「オペラ・アーサー王」は、演出に難を感じました。「アンドレアス・ホモキ演出:ラ・ボエーム」は、気になる点もありましたが印象的でした。神奈川フィルハーモーニーは創立40周年を迎え、その歴史の一部しか認識しない私も素晴らしいことと思いました。記念演奏会における「マーラー:交響曲第2番・復活」は記憶に残ります。定期演奏会も毎回を楽しみました。

 

 ダンスは「ピナ・バウシュ ブッパタール舞踊団:私と踊って」の1公演だけでしたが、深いものを感じました。カーテン・コールにピナの姿の無いことが実に残念でした。

 

 伝統芸能の分野では、能・狂言、文楽などに出かけました。楽しみではありますが初心者のため味わうほどの境地に至りません。これから足繁く通いたいと思っています。

 

 美術展は月一回強のペースで出かけました。最も印象に残った企画展は「平塚美術館:長谷川潾二郎展」でした。小さな作品ばかり120数点の展示でしたが、そこから受けた印象は真摯の一言。

 他に「神奈川県立美術館葉山館:浜田知明の世界展」が印象に残りました。「原美術館:崔在銀展」は次の機会を楽しみにします。

 

 2010年も残すところわずか、大急ぎで一年間を振り返りました。多くの芸術に触れることが出来たことが、改めて豊かな一年に繋がったと思います。この一年、多くの方に「ブログ・変様する港街から」に訪れて頂いたことも望外の喜び、深く感謝いたします。

 新しい年が多くの皆様に幸多い一年であることを祈念し、世界の隅々にまで平和な日々が実現することも祈念して、2010年の幕を閉じることにします。

   (2010年12月31日記録)

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2010年12月27日 (月)

演劇:リア王

   演目   SCOT 『リア王』

   原作   ウィリアム・シェイクスピア
   演出   鈴木忠志

   出演   老人(リア王)   ゲッツ・アルグス
        ゴネリル      エレン・ロウレン
        リーガン      チャン・イジュ
        コーディリア    高野綾
        グロスター     蔦森晧祐
        看護婦1      加藤雅治  他

   会場   吉祥寺シアター
   公演   2010年12月15日(水)~12月26日(日)、詳細要確認
   鑑賞   2010年12月18日 14:30~16:10(休憩なし)

 

 鈴木忠志演劇の代表作の一つ。1980年代末に初めて接してから、SCOT・SPAC・米人俳優版、確か日米俳優版も観た。基本的に脚本・演出に変化はなかった。出演者は全て男優、例外は看護婦役を吉行和子が演じた時くらいか。何せ古いことで多少心許ないけど。

 今回は四ヵ国語版。2009年利賀フェスティバルで観た。その時と、出演者の多くは同じ、役も同じ。独・米・韓・日の俳優が各々母国語で台詞を言う。間の開き過ぎや重なりは無い。違和感を覚えない。日本語訳がディスプレイ表示される。

 旧版は全ての役を男優が演じた。能・歌舞伎の存在を感じない訳にいかない。ただし、面をつけるでもなく、顔を白塗りするでもないから、髭の生えたコーディリアが生まれる。衣装も男女差を感じさせない。男優を通して女性を描き出すことになる。
 四ヶ国語版は、基本的に男役は男優が、女役は女優が演じる。想像のわずらわしさは軽減するが、伝統芸能の世界からは遠ざかる。四ヶ国語版ゆえか、男優不足か、定かでない。

 音楽は変化、と言うより追加されている。
 旧版は「ヘンデル:オンブラ・マイ・フ」「チャイコフスキ:スペインの踊り」が効果的に使われる。
 四ヶ国語版は、「ライバッハ演奏:KRST」「早春賦」が加わる。緊張感が少し緩む気がしている。上演時間の延びたことも関係するのだが。
 それと、吉祥寺シアターの音響は少し乾燥していないか。

 鈴木の「リア王」は、シェイクスピアの「リア王」を換骨奪胎したものだ。最後、死んだコーディリアをリアが抱いて登場する場面も、なぜ死んだかは判らない。原作を承知することが、演出者と観客との間の暗黙の了解事項だ。

 現代演劇の再演は多くないと思う。再演は自分自身の変化に気付くためにも良いことだ。遅きに失した感はあるものの、年を重ねて少しづつ気付くことがある。
 駄文でも残すのは、自分のために良いことだとも気付く。

   (2010年12月27日記録)

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2010年12月24日 (金)

路上観察:みなとみらいのオフィス全館点灯(2010年12月24日)

 12月24日の16時30分~21時30分の間、横浜みなとみらい地区のオフィス全館は点灯しました。今年は夕焼けが薄く、大きな黒雲があって、写真撮影には良いコンディションではありませんでした。しかし、年にたった5時間のイベントですから、人混みに紛れて写真撮影しました。

 みなとみらい地区を遠望、最初の一枚は横浜港大桟橋から、他は赤レンガ倉庫近くの万国橋上から撮影しました。
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 ホテルナビオスのキャンドルサービス、汽車道越しにランドマークタワーを撮影しました。
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 横浜三塔を撮影しました。最初の一枚が税関(クィーン)と県庁(キング)、後は県庁、税関、開港記念会館(ジャック)です。
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 氷川丸とマリンタワー、マリンタワーは色が変わります。何色変化するかは確認しませんでした。
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 みなとみらいのオフィス全館点灯は来年まで待たなければなりませんが、他のライトアップやキャンドルサービスはこちらで確認できます。年末年始の横浜に来てみませんか。

   (2010年12月24日記録)

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よこはまみなと未来全館点灯

よこはまみなと未来全館点灯
まもなく全館点灯が始まります。万国橋は満員です。詳細は数時間後に。

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音楽:小林道夫チェンバロ演奏会

  演奏  小林道夫(cemb)

  曲目  J.S.Bach ゴールドベルク変奏曲
      J.S.Bach 平均律クラーヴィア曲集第2巻21番前奏曲(アンコール)

  会場  津田ホール(Q列24番)
  公演  2010年12月23日14:00~15:50

 

 「J.S.バッハ・ゴールドベルグ変奏曲」はクラーヴィア練習曲で、バッハ自身による標題は「2段鍵盤付きクラヴィチェンバロのためのアリアと種々の変奏」です。

 「ゴールドベルグ変奏曲」とクリスマスとの関係はないと思いますが、小林道夫は今の時期に「ゴールドベルグ変奏曲」の演奏会を続けています。私が認識したのは20代後半だったと思いますが、その時からでも30有余年が経過しています。実際は40年近くになると思います。

 私が演奏会に出かけたのは、10年ほど前の大阪公演に1回、昨年と今年の東京公演と計3回です。若い時から継続していたら立派なものですが、なかなか余裕がありませんでした。

 その頃、私は除夜の鐘の変わりに様々な奏者の録音した「ゴールドベルグ変奏曲」を聴いていました。しかし、年を重ねるにつれ、夜中に1時間以上の音楽を聴くのも困難に成り、何時しか新年の最初に聴く曲になりました。

 最近は時間的制約もなくなったので、小林道夫の演奏会を年末恒例にしようと思っています。私はクリスマスに何かする習慣もないので、一年の締め括りの演奏会の位置づけです。

 

 軽く目を閉じて聴いていると、しみじみとした情感が湧いてきます。多少気になるところがなかったわけではありませんけど、装飾音などに新しいものもあったと感じました。残念ながら断定できないのが悲しいですけど、いつになっても前進していると思いました。

 末永く「ゴールドベルグ変奏曲」の演奏会が続くことを祈念しています。

   (2010年12月24日記録)

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2010年12月22日 (水)

路上観察:鎌倉史跡碑巡り・2(2010年12月20日)

 

 第1回鎌倉史跡碑巡り暫定整理も終えて、第2回目に出かけました。JR鎌倉駅を起点・終点にして東南方面、小町から大町、和賀江島を目指しました。4時間30分ほどで次の13の史跡碑を確認しました。

 北條執権邸旧蹟~青砥藤綱旧蹟~東勝寺旧蹟~日蓮聖人辻説法之址~夷堂橋~比企能員邸址~万葉集研究遺跡~町屋址~元八幡~乱橋~日蓮聖人草庵阯~瓣谷~和賀江島

 「北條執権邸旧蹟」は第1回の道筋でしたが、宝戒寺は既に門を閉めていたので素通り。よって、まず宝戒寺へ。ところが史跡碑は門前に建っていました。良く確認すれば、改めて出かけることもなかたのに。

 「青砥藤綱旧蹟」について受け売りを。
 「青砥藤綱の正式な名前は青砥左衛門尉藤綱、執権・北条時頼に仕えた武将。夜、滑川を渡って十文を落とした。すぐ家来に五十文で松明を買わせ、その灯りで十文を探し出した。他人は十文のために五十文を使ったら損だと笑った。藤綱は、十文であっても探さなければ天下の貨幣は永久に失われる。見つかれば十文は手元に残り、五十文は商人から次々に流通する。これが天下の公益と説いた」。東勝寺橋から眺める滑川は渓谷を思わせます。
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 「東勝寺旧蹟」は、祇園山ハイキングコースの昇り口にあります。脇に北條腹切りやぐらが。何時来ても人の世のはかなさを感じます。
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 「夷堂橋」の西側に本覚寺があり、一角に夷堂。夷さんは関西の風習と思っていましたが、ここでも1月10日に縁起物が売られるようです。ただ、9日の宵えびす、11日の残り福はないようです。興味あれば確認して下さい。
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 「元八幡」は、源頼義が石清水八幡宮を勧請し、ここに由比若宮を創建、その後、現在の鶴岡八幡宮の地に移したそうです。
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 この辺りは東側の山裾を歩くので、大町通りを南に向ったのは初めて。「夷堂橋」「元八幡」なども初めて。鎌倉も、色々歩いているようで知らないところが沢山あります。

   (2010年12月22日記録)

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2010年12月18日 (土)

音楽:ゲヴァントハウス弦楽四重奏団演奏会

  演奏  ゲヴァントハウス弦楽四重奏団
      コルネリア・ヘルマン(Pf)
      吉田秀(Cb)

  曲目  ハイドン  :弦楽四重奏曲第80番変ホ長調
      モーツァルト:弦楽四重奏曲第17番 変ロ長調「狩」
       (休憩)
      シューベルト:ピアノ五重奏曲 イ長調「ます」
      シューベルト:ピアノ五重奏曲 イ長調「ます」第4楽章(アンコール)

  会場  神奈川県立音楽堂(16列24番)
  公演  2010年12月17日19:00~21:05

 

 秋の夜長は弦楽四重奏などと思っていたが早くも年の瀬、遅くなったが世界最古の弦楽四重奏団の演奏を聴きに出かけた。それは楽しく、温もりを感じさせた至福のコンサートだった。

 奏者の協調なしに音楽が成り立つ筈がない。しかし四人が協調して奏でた音楽は、ありきたりの概念で表現されるようなやわなものでないようだ。弦楽四重奏という厳格な様式の音楽の、厳格さを極めた彼方に楽しさと温もりが生まれるようだ。

 

 ハイドンは、私の中で谷間のような存在で、標題付き交響曲をいくつか聴いた程度である。しかし、今回の演奏に接して、他の弦楽四重奏曲も聴いてみたいと思わせた。内声がクリア、四重奏であることが良くわかった。

 モーツァルトも然り。冒頭の弾むような旋律で一気に惹き付けられた。ハイドンセット中の一曲、続けて聴けば、ハイドンを敬慕する感じも伝わってきた。

 シューベルトは、第2ヴァイオリンが外れ、ピアノとコントラバスが加わる変則的なピアノ五重奏。厳格な中に華やかさが加わった。実は、この曲につられて出かけたようなものだが、充分堪能した。音楽を聴く時、多くは録音を頼ることになるが、良い演奏に巡り合った時の感動は録音に比でない。

 演奏を終えて舞台袖で少し話し合っていたようだが、アンコールに第4楽章、望外の喜び。終わった時、暫らくは拍手をしたくなかった。余韻を楽しみたかったが、直ぐに拍手が沸き起こる。名演奏に対して悪くはないが、静寂もまた敬意の表出ではないかと思うのだが。

 

 名演奏を支えたのが神奈川県立音楽堂。神奈川県の文化施設としては古い方で、そのためか座席は多少窮屈だ。しかし、音の良いことは広く知れ渡っている。今回のコンサートも音がとても近くに聴こえて、サロンコンサートのようだった。王様とは言わないが、列席する貴族ぐらいの気分に浸れる。一度、味わってみませんか。

   (2010年12月18日記録)

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2010年12月16日 (木)

路上観察:鎌倉史跡碑巡り(2010年12月15日)

 鎌倉には、大正6年から昭和16年までの約24年間に鎌倉町青年団が建立した80余基の史跡碑があります。その位置を Google Map にプロットしたことは前日のブログで報告しました。

 本日は天気も良かったので早速、JR鎌倉駅を起点・終点にして鎌倉八幡宮方面の史跡碑巡りを行い、4時間弱で次の23の史跡碑を確認しました。

 段葛~源平池~鉄井~二十五坊旧蹟~今宮~柳原~畠山重忠邸址~西御門~太平寺跡~法華堂跡~大蔵幕府旧蹟~東御門~荏柄天神~永福寺旧蹟~理智光寺址~歌之橋~文覚上人屋敷迹~勝長寿院旧蹟~関取場跡~筋替橋~土佐坊昌俊邸址~若宮大路幕府址蹟~宇都宮辻幕府蹟。

 

 参考資料を確認し、地図を作製していたので、大多数の史跡碑は比較的容易に見つかりました。ただ、物陰になっていたり、横道を脇に少し入ったところにあったりして気付きにくいところもありました。

 例えば、太平寺跡(写真左)は来迎寺入口脇にあるのですが、来迎寺案内(左柱の後)にほとんど隠れています。関取場跡(写真右)は、写真奥から手前に歩いていたのでうっかり通り過ぎるところでした。
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 今回、初めて知った名所・旧蹟が二ヶ所ありました。

 鶴岡八幡宮裏手の今宮(写真左)は、社殿に後鳥羽・土御門・順徳の三天皇を祭神として祀っています。住宅街の奥まったところにあるので気付く人は少ないと思います。理智光寺址の前に護良親王墓(写真右)がありました。正面の木立の奥、但し倒木のため現在は立ち入れませんでした。
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 史跡碑めぐりは、オリエンテーリングしているようで楽しかったです。残りも早めに巡りたいと思っています。
 成果はただいま整理中で追って報告いたします。内容にも徐々に分け入りたいと考えています。

   (2010年12月16日記録)

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2010年12月15日 (水)

路上観察:手水の使い方

 「手水の使い方」を整理してホームページに掲載しました。
 既に何回か掲載していますが、ストック写真を調べ、今までに撮影したもの全てを掲載しました。今後、拡充予定です。

 「鎌倉史跡碑」を整理してホームページに掲載しました。
 まだ事前調査の内容だけですが、今後、現地に出向いてディープな鎌倉の情報を追加します。ホームページに掲載しておくと、出先からデータ確認が可能になります。iPhone画面は小さいですが、それに耐えるホームページ作りを試行するつもりです。

 

 話はぜんぜん変わりますが、先日、自宅からインターネットへのアクセスが半日ほど停止しました。原因は、光ケーブルを受ける回線終端装置の寿命(電源故障)だそうです。

 全てのLEDが滅灯していたので、念のため別の電源に繋ぎ替えて確認するも同様の状態。そこでNTTにサービス要請、代替器持参で係員が来宅。

 多少判るので最短で復旧しましたが、故障したら困る方もおられるだろうと思いました。ネットワークを簡単に利用できるのは、裏に複雑な仕組みがあるのです。

   (2010年12月15日記録)

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2010年12月11日 (土)

演劇:演劇入門

   演目   青年団リンク 本広企画 『演劇入門』

   原作   平田オリザ
   脚本   岩井秀人
   演出   本広克行

   出演   Agora_4

   会場   こまばアゴラ劇場
   公演   2010年11月27日(土)~12月13日(月)、詳細要確認
   鑑賞   2010年12月09日 15:00~16:40(休憩なし)

 

 演目は、平田オリザの著書「演劇入門(講談社現代新書1422)」を髣髴させる。が、脚本の岩井秀人の演劇に関する四半生の体験を描いたオムニバス形式のストーリー。

 

 ブラームス・弦楽六重奏曲第一番の重厚な音楽が響いて舞台が明るくなると、そこは場末の酒場か。ママと客は韻を踏んで力みかえった台詞を交わしている。「オープニング・カルチャーセンター」の場面だ。すなわち劇中劇になっていて、演出家が駄目を出したりしている。

 「大学時代」「卒業後」「外国台本」と展開する。内面を重視したり、抗うような表現をしたり、原作の状況を近づいたりすることが、演技の要諦として要求されたりする。演劇の大筋はそのような変遷を経てきたということ。

 この後は最近の戯曲、口語演劇に迫る。「演劇入門(朗読)」「東京ノート」などが挿入される。最後は世代ギャップを感じさせる場面もある。

 

 爆笑をさそう場面もあり、各場面が楽しく仕上がっている。前半、過去を振り返ると今となってはおかしいと思える笑いだろう。後半は、ここに居る多くの人たちが目の当たりにしている演劇の裏側を覗く様な面白みがある。

 ただし、全体的に貫くものは岩井の体験だから、共感するとかの類があるわけではない。そういうこともあったという思いである。演劇を長く広く観ている人ほど面白さを感じるだろう。

 100分を飽きさせないで繋ぐの脚本の良さもあるだろうし、役者の上手さもある。
 何より演出の本広のエンターテイメント性が存分に発揮されているからだろう。私は見ていないが、映画「踊る大捜査線シリーズ」等を監督しているとのこと。演出の勉強のために口語演劇を見ているうちに引っ張り出されたとのこと。異分野交流か。

 狭い劇場だが平日マチネーにも関わらず補助席が出ていた。当日券も多少は出るようだ。観て損はない。

   (2010年12月11日記録)

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2010年12月 9日 (木)

路上観察:針尾無線塔 --- ニイタカヤマノボレ ---

 

 平戸ツーデーウォーク(2010年9月25・26日)に参加したこと、その往路で高校生の時の修学旅行を思い返して西海橋に寄ったことも報告しました。その後日談です。

 

 レンタカーでハウステンボスから西海橋に向う途中、不思議な建造物を発見しました。煙突状で、間隔を空けて三本が青空を突き刺しているようでした。名前が判らないので胸にしまってありましたけど。

 まずは西海橋周辺から撮った写真と不思議な建造物をトリミングした写真を次に示します。
001 001a 002 002a

 

 「朱雀の洛中日記」は愛読ブログの一つ、見識を備えた内容で気付かされることが多々あります。2010年12月8日のテーマは「ニイタカヤマノボレ」。そこに、『12月8日(水)曇り。今日は第二次世界大戦の開戦記念日。1941年のこの日、日本の連合艦隊がアメリカの真珠湾を攻撃して、太平洋戦争が始まった。長崎県佐世保市の針尾にある無線塔からこのときの暗号「ニイタカヤマノボレ」が発信されたといわれている』と記されています。

 これで不思議な建造物の正体が判明しました。写真の向きを考慮して Google Map を検索すると、次の航空写真が確認できたので、間違いないでしょう。
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 不思議な建造物とは、旧日本海軍針尾送信所無線塔です。
 三角形の一辺は約300m、単純に1/2波長アンテナとすると500Khz、NHK東京第一(594Khz)より低い周波数を使用していたことになります。往時は、このようなことを調べていたら捕まってしまいそうです。

 名前が判れば大まかな情報はすぐに判ります。高さ130m以上、現在は使われていない、壊してしまおうとの話もあるようです。無線塔に罪はありませんが、戦争を記憶する遺産として残すわけにはいかないものでしょうか。新西海橋の遊歩道に案内を設置して頂けると、多くの方に認識して頂けるでしょう。再び戦争を繰り返さないためにも。

   (2010年12月09日)

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2010年12月 7日 (火)

美術:川村記念美術館「バーネット・ニューマン」展

  名称   開館20周年記念展
       アメリカ抽象絵画の巨匠 バーネット・ニューマン
  会場   川村記念美術館
  会期   2010年9月4日(土)~12月12日(日) 、詳細は要確認
  鑑賞日  2010年12月4日(土)

 

 バーネット・ニューマンは、川村記念美術館のニューマン・ルームに展示される大きな作品「アンナの光(2760×6110)」の作者として記憶する。他の作品もどこかで観たことあるが、強烈な印象は残っていない。

 「アンナの光」は企画展会場に展示されているから、ニューマン・ルームは現在、閉鎖されている。何回か訪れているこの部屋、確か小判型、の正面に「アンナの光」が展示され、左右の窓から北総の風景が目に入る。色彩の対比も鮮烈だ。私は「アンナの光」と北総の風景を一対で記憶している。

 

 今回の企画展はニューマンの名前を冠した国内初の展覧会のようで、見どころは「国内外のアクリル画、油彩画、クレヨン画、版画、彫刻とバリエーションが揃い、同時に初期から晩年までの変遷をたどれる出品内容となっています」だそうだ。

 会場入口を飾る作品は、「存在せよ I(1949年、油彩・カンヴァス)」。赤く塗られたカンヴァスの中央に白く細い縦線、この縦線はジップと呼ばれる。多くはジップを表現した作品だ。他に、シュールぽい作品が4点。18点の「詩篇」と題されたリトグラフ、この一部はどこかで観ている。ジップを立体化したと思える鉄の造形。
 最後に「アンナの光」、絵は変化しないが、ニューマン・ルームに展示されている時と印象が異なる。何か素っ気無い。

 この企画展の評判は良いようだが、私はそういう気持ちを抱けなかった。ニューマン・ルームを越える感動はなかった。これからも私は、ニューマンを「アンナの光」と北総の風景の一対で記憶するだろう。

 

 早い機会に出かけようと思っていたが、結局、会期末になった。常設展・企画展を鑑賞し、併設レストランで昼食、周囲を散策する。横浜から川村記念美術館に出かけると一日がかりだ。とは言うものの寄り道はできる。今回は姉ヶ崎でみかん狩りをした。

   (2010年12月07日記録)

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2010年12月 5日 (日)

音楽:神奈川フィル第267回定期演奏会

  指揮     現田茂夫

  独奏     遠藤真理(Vc)
  独唱     幸田浩子(S)
         山下浩司(Br)

  演奏     神奈川フィルハーモニー管弦楽団

  合唱     神奈川フィル合唱団
  合唱音楽監督 近藤政伸

  曲目     團伊玖磨   :管弦楽のための幻想曲「飛天繚乱」
         サン=サーンス:チェロ協奏曲題1番イ短調
          (休憩)
         フォーレ   :レクイエム

  会場     横浜みなとみらいホール(1階29列24番)
  公演     2010年12月3日19:00~20:47

 

 年度末は3月だが2010年最後の定期。地味なプログラムで静かに一年を締め括るようだ。それも良し。

 

 「團伊玖磨:飛天繚乱」は晩年の作品、ヴァイオリンをマンドリンのように構えてのピチカートやトレモロ奏法があった。パーカッションが印象的だ。それを除けば、特異な技巧・奏法はなかった。プログラムの一曲目は初めて聴く曲が少なくない、まあ一曲目に限らないが。初めての曲は、印象もなかなかまとまらない。

 

 「サン=サーーンス:チェロ協奏曲第1番」は2管編成・単一楽章の三部構成、大曲ではないが味わい深い。遠藤真理は若い演奏家、経歴を確認すると20代のようだ。NHK「竜馬伝」第三部の音楽担当とのこと、私は視聴しないので知らないが。

 指揮棒一閃、オーケストラが一音を奏でるとすぐに独奏チェロが主題を提示する。これがチェロだ、というような厳しい表情の旋律ですぐに惹きこまれる。協奏曲にしては短い曲だがチェロの魅力を存分に楽しめた。遠藤真理はこれからも聴く機会は多いだろ。

 

 「フォーレ:レクイエム」は死者を静かに弔う情感に満ちている。最後のイン・パラディスム(楽園に)のように劇的なところもあるが、それすら控え目だ。フォーレの思いが良く伝わってくる曲だ。

 合唱は、最初は少しざらついた感じもしたが、次第にフォーレの思いを体現していて引き込まれていく。きょうも合唱が素晴らしい。独唱は華々しく活躍する機会が少ない。特にソプラノ、もっと聴きたい気もしたが、それは次の機会に。バリトンは良い声だ。演奏は小編成、ヴァイオリンが途中まで演奏することはない。オルガンも朗々と響かせはしない。
 合唱・独唱・演奏の全てが抑制されているが、そこから不要なものをそぎ落とした美しさが湧き出したようだ。イン・パラディスム、オルガンはトランペットの音色を選択したと思うが、天使が舞う中、騒々しい一年を締め括ったように思えた。

   (2010年12月05日記録)

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2010年12月 4日 (土)

路上観察:手水の使い方(2)

 神社の参拝前、身を清める作法として手水を使います。神社によっては、手水舎に「手水の使い方」の案内を掲載しているところがあります。以前、私が見つけた案内をまとめて「手水の使い方」を掲載したことがあります。

 先日、旧東海道品川宿を散歩した際に二箇所で案内を見つけました。そこで、前回掲載以降に見つけた案内を整理しておきます。ちなみに写真も、手水舎全景と案内拡大の二枚を撮ることに決めました。

 

1.鎌倉宮(鎌倉市)
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2.伏見稲荷大社(京都市)
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3.照国神社(鹿児島市)
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4.荏原神社(東京都品川区)
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5.鮫洲八幡神社(東京都品川区)
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 照国神社と鮫洲八幡神社は標準タイプです。多くで見かけるので勝手に標準タイプとしています。

 鎌倉宮は文字タイプ、かなり丁寧に説明しています。しかし、何も知らない人には「清める」とか「水の入った柄杓を手前に立て」などの動作が伝わるかどうか。私は難しいように思いますが、如何でしょう。

 伏見稲荷大社は、文書が鎌倉宮と似ていますが、イラスト付きで理解は進むと思います。ここで、おじさんの絵は初出です。

 荏原神社は、もっとも丁寧な案内になっています。手水は身だけでなく、こころもきれいにすると知りました、強いて言えば、心と身をきれいにすることが手水を使うことと同義と理解できるか。動作が具体的に説明されているだけに、末尾の心づかいは抽象的と感じました。

 

 会社務めをしている時、技能伝承の導入に良い例がないかと探しているうちに見つけたものです。動作を説明するのは難しい、内に秘めたものまで現すのはなお難しい、と今でも思っています。説明がうまく伝わったか、今でも疑問に思っています。
 と言う訳で、ケチをつけようなどと思ったことはありませんのでご容赦を。

 ちなみに、参拝の「二礼・二拍手・一礼」は動作の説明として紛れが少ないと思います。

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2010年12月 3日 (金)

美術:原美術館「崔在銀」展

  名称   -アショカの森-
  会場   原美術館
  会期   2010年11月11日(土)~12月26日(日) 、詳細は要確認
  鑑賞日  2010年12月01日(水)

 

 崔在銀(Jae-Eun Choi)はソウル生まれの女性アーティスト、日本の美術館における初個展。創りだすものは森、「アショカ王の5本の樹の森」という故事に想を得ている。

 

 入場直後のGalleryⅠは、柱状の木材、きれいに仕上げられていない、を手前から奥への昇り勾配で敷き詰めた「夢想家の散策」。少しなら室内に入るのも可。二階への階段の踊り場からも見下ろせる。部屋に木の香が漂よう。

 木材は温かみを感じる建築材、緩いスロープが何か起こりそうな雰囲気を醸しだすが、そこまで。。踊り場から見ると多少雰囲気が変わる。対話が途中で止まってしまうような、中途半端な思いがした

 

 GalleryⅡはメインの展示空間。横並びの5面スクリーンを使ったビデオインスタレーション。映像は、大きな古い樹の表面を舐めるようにゆっくり移動する。各面は異なる映像が異なる速度で移動する。

 テーマ「アショカの森」を直に意識した構成。それでも印象的な作品だ。ビデオインスタレーションは映し出す対象を唐突に感じてしまうことが少なくないが、ここでは大きな古い樹の存在感が偉大だ。生命力が空間を支配する。高田みどりのパーカッションが重厚さを増す。

 

 SUnroomはつくばい(手水鉢)に俯瞰した樹を投影する「もう一つの月」、GalleryⅢはビデオ「森はいつからそこにあったのでしょうか?」、他にカラー写真が合計10枚ほど。写真は、ポスターに使用されたものが深奥で静寂な風景を写し止めて好感。

 テーマにべたな表現が多いと思えるが、見終わるといやされたような、さわやかな心持になる。宗教的倫理観、自然崇拝とはこういうことか。ビデオインスタレーションで実現するところが現代なのだろう。
 判りやすいと思う。現代アートに食指の動かない人にもお勧めする。不満があっても責任は取れないが。

   (2010年12月03日記録)

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2010年12月 2日 (木)

路上観察:金沢山称名寺(2010年11月30日)

 京浜急行金沢文庫駅から鎌倉街道を歩くつもりで出かけました。しかし、あまりにも良い天気だったので、いきなり北条実時開基の金沢山称名寺に寄り道しました。黄葉はやや遅い感じでしたが、まだまだ見事でした。

 金沢文庫駅から徒歩約15分で赤門前に到着します。
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 赤門を潜って少し歩くと二層の立派な仁王門に至ります。
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 仁王門を左から回りこむと、池の向こうに金堂などが見渡せます。背後は全山紅葉でもありませんが、それでも秋の景色です。少し風があって、池に映る姿が乱れています。
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 少し近づくと、金堂・釈迦堂・鐘楼が鮮明になります。
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 視線を左に移すと、三本の大きな銀杏の木が見事に黄葉、風に吹かれて散る姿は美しい。
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 金堂に向って左側に、神奈川県立金沢文庫に繋がるトンネルがあります。「企画展・仏典大図解」を開催中、興味はあるけれど鑑賞するには知識不足です。本当は「企画展・仏像の見方」のつもりでしたが、会期がとっくに終了していました。
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 金沢文庫の表側です。称名寺側は裏でもないのですが、やはり裏でしょう。恐らく。
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 来年は、季節ごとに出かけて写真を撮ろうかと思っています。浄土式庭園、かなり美しいです。

   (2010年12月1日記録)

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