随想:2010年私的芸術回顧
演劇・音楽・伝統芸能の公演を合わせると、2010年は週一回のペースで出かけました。リタイアして時間的な余裕の出来たことが最大の理由です。働いている時は年20回の目標を達成することはほとんどありませんでした。
大雑把に言えば、2009年からは神奈川フィルハーモニー、2010年4月から駒場アゴラ劇場の年間会員になりました。両者の公演を併せると20公演ほど。残りは興味にまかせて選択しています。
演劇の22公演中で最も印象に残ったのは、第17回BeSeTo演劇祭における「劇団コルモッキル・そんなに驚くな」です。韓国の劇団、泥臭い舞台でしたが底辺の生活を描いて強烈な衝撃を受けました。言葉こそ異なるものの、様々な観点で日本と非常に近い国であることを感じました。演劇の忘れられかけている一面を観た気がします。
他に、「彩の国シェイクスピア・シリーズ:ヘンリー六世」、「劇団MODE:変身」、「青年団:革命日記、砂と兵隊」などが印象に残ります。「チェルフィッチュ:わたしたちは無傷な別人であるか?」は評判が高いようですが、私は未だになじめず。新国立劇場における「JAPAN MEETS・・・Ⅱ:ヘッダー・ガーブレル、やけたトタン屋根の上の猫」ははなやかな舞台にはなっているものの、今ひとつ冴えがないように感じました。
音楽の24公演中で最も印象に残ったのは「ゲヴァントハウス弦楽四重奏団」でした。ヘンデル・モーツァルト・シューベルト(ピアノ五重奏・ます)、音楽の厳格さを失うことなく、楽しさ・温もりを感じさせた至福のコンサートでした。会場である神奈川県立音楽堂も素晴らしい音を響かせ、コンサートホールも楽器であることを感じさせました。
「オペラ・アーサー王」は、演出に難を感じました。「アンドレアス・ホモキ演出:ラ・ボエーム」は、気になる点もありましたが印象的でした。神奈川フィルハーモーニーは創立40周年を迎え、その歴史の一部しか認識しない私も素晴らしいことと思いました。記念演奏会における「マーラー:交響曲第2番・復活」は記憶に残ります。定期演奏会も毎回を楽しみました。
ダンスは「ピナ・バウシュ ブッパタール舞踊団:私と踊って」の1公演だけでしたが、深いものを感じました。カーテン・コールにピナの姿の無いことが実に残念でした。
伝統芸能の分野では、能・狂言、文楽などに出かけました。楽しみではありますが初心者のため味わうほどの境地に至りません。これから足繁く通いたいと思っています。
美術展は月一回強のペースで出かけました。最も印象に残った企画展は「平塚美術館:長谷川潾二郎展」でした。小さな作品ばかり120数点の展示でしたが、そこから受けた印象は真摯の一言。
他に「神奈川県立美術館葉山館:浜田知明の世界展」が印象に残りました。「原美術館:崔在銀展」は次の機会を楽しみにします。
2010年も残すところわずか、大急ぎで一年間を振り返りました。多くの芸術に触れることが出来たことが、改めて豊かな一年に繋がったと思います。この一年、多くの方に「ブログ・変様する港街から」に訪れて頂いたことも望外の喜び、深く感謝いたします。
新しい年が多くの皆様に幸多い一年であることを祈念し、世界の隅々にまで平和な日々が実現することも祈念して、2010年の幕を閉じることにします。
(2010年12月31日記録)
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